小学五年生のとき中古のクラッシックギターをもらった。ネックは太いし扱いにくいがギターを手にした喜びはあった。山の中の分校中にその話は一日で広まり、他校との合同演奏会にギターのパートで出てくれとなって、チューニングもできないのに快く引き受けた。
名曲、コンドルは飛んでいく、と聞いてもまっいいかと思っていた。楽譜も読めないのにね。Fのコードすら押えられず、もちろん他のコードもうろ覚えな状態で発表会はやってきた。音程の狂ったギターを抱えさも難しい演奏してる風に顔をしかめたり左手をじっと見たりしながの数分間はすぐに終わった。ギターを抱えたエアギターで口パクの歌手なみに罪悪感は微塵もなく知らん顔でデビュー戦を終えた。この肝っ玉少年のはったりハートは今も健在だ。