ほんわか亭日記

ダンスとエッセイが好きな主婦のおしゃべり横町です♪

「止めた! 止めた!」

2024-05-19 | エッセイ
2024年5月19日(日)

今日は、ウィステが出発する前の出来事のエッセイを・・。
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 「止めた! 止めた!」

 十年ほど前、一軒家からマンションに引っ越しをした。以来、暮らしの中で、
特に、水を零さないように気を付けている。一軒家なら、それこそバケツの水を
零そうが、私一人が慌てて、拭き取ればよいだけだが、マンションで
水漏れとなったら、下の階の方にまで迷惑をかけてしまう。コップ一杯ほどの水なら、
なんとかなるだろうが、怖いのは、帰宅して、キッチンや洗面所の蛇口を閉め忘れ、
しかも、排水口も閉じていて、水が、そこらじゅうに溢れていることを発見した場合だ。
下のお宅から、ご夫婦が怒りながら駆けつける様まで、想像できてしまう。
 だから、出かけるときは、キッチンの蛇口と洗面所の蛇口を何度も確認する。
だんだん、目で見るだけでは心配で、蛇口に触ってみる。そのうち、蛇口を指さし、
「止めた! 止めた!」
と、声でも確認しないと、心配になった。
 最近、私の心配は、さらに進み、一度では済まず、もう一度、確認して
回らなくては、落ち着かなくなってきた。それほど、自分の確認というものに
自信が無くなってきているのだ。誰に迷惑をかけるわけでもないし、気持ちが
収まるのが大事と、出かける前は、家の中で、うろうろと確認を重ねている。
 その心配性が、進んできたかもしれないと思ったのは、今日、銀行へ行った
ときの出来事だった。銀行の貸金庫を借りているのだが、久しぶりに用事で
貸金庫室へ入った。中には、番号のついた小さな金庫がぎっしり並んでいて、
私は、私の金庫の鍵を開け、中からボックスを取り出して、必要な書類を取り出し、
また、ボックスを元に戻した。
 用事も済んで、銀行から外へ出た時だった。
(あれ? 私、貸金庫の鍵を閉めたかな?)
 急に、どっと心配が押し寄せた。
(開けっ放しで出てきてしまったかな? 
 次の人が入ったら、どうしよう?
 盗まれるってこともないだろうけれど、けれど、けれど……。)
 心配したまま帰ることは出来ないと、私は、すぐ、銀行へ戻った。
 貸金庫室へ入るためのカード操作の間も、反応が遅く感じられて、地団駄を
踏みたい思いだった。
 戻った貸金庫室の中は、しんとして、すべての金庫の扉は閉じられていた。
私は、自分の金庫の扉に触れてみたが、きちんと鍵がかかっていた。
それでも、念のために、もう一度金庫を開け、ボックスの中味を見直したのは、
確認のためもあるし、防犯カメラで私の行動を確認しているであろう銀行員に、
勘違いで戻ってきたという姿を見抜かれたくない見栄も、もちろんあったのだった。
 帰り道、つくづく思った。
(止めた! 止めた! と、いつものように指差呼称を、するべきだった。)
 そう、それを、私の呪文にして、何でも忘れがちになる自分自身と、
なんとか付き合っていかなくては……。
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はい、今日も、「止めた! 止めた!」をやってから、ダンスの自主練会へ
行ってきました。

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