磐城さんと火輪さんをお借りしました。
ほぼ名前だけですが……!><
再会する前のお話。
――――――――――
久しく見ていなかった親友と自分の騎獣の姿に、息を呑んだ。
火輪の背に乗って戦場を駆ける磐城。それはいいんだ、むしろ不自由なく動けているのを見て一瞬安堵したのも事実だから。
でも……磐城。そんな風に戦うお前を、今まで見たことがない。
なあ、人殺しのために修行しているんじゃないと、毅然と言ったのはお前じゃないか。
そう思う一方で、何となくわかってもいた。磐城があんな風に薙刀を振るうのは、恐らく俺が原因。
きっとお前は、俺があの国に殺されたと思っているんだろう。
俺が死んだら、磐城はああなるのか。ああなって、しまうのか。
まざまざと未来を見せつけられて、ろくに動けもしない。
ただ頭だけは働いていた。
俺はどこかで、磐城を縛りつけていたのかもしれない。二人で旅したことを否定するつもりはない、それでも、最善ではなかったのかもしれないと。
今の磐城を見て考えさせられる。
もしも立場が逆だったらどうだった、俺だってあの国の勝手さに怒りを覚えた。俺だって、ああなるかもしれないんだ。
あんな風に、沢山いる仲間の誰より先陣を切って。“一人”で、戦って。
それは、俺にとっても、お前にとっても最善ではないはずだ。
そうだろう?
そうだと、信じる。
「……火宴」
すぐにでも主の元に駆け付けたいだろうに、待ってくれと呼びかけたきり止まっていてくれる火宴からやっと降りる。
火宴。あの時俺を庇ってくれた、磐城の騎獣。
その体躯を撫でながら、決意の言葉を紡ぐ。
「俺は、磐城に会うよ」
磐城、俺は大丈夫だ。生きている。
だから憎しみに突き動かされて戦うのはやめてくれ。
「お前もきちんと磐城に返す。……ただ、貴嶺として会うことはしない。俺はデュランタと名乗る。わかってくれるか、ジニア」
俺が記憶を取り戻すまで呼ばれていた名前、呼んでいた名前。
火宴、いや、ジニアが俺をじっと見る。凪いだその瞳は、全てを察しているようで。
「“貴嶺”は、磐城を縛ってしまう。俺は、デュランタはそんなことしたくない。……だから、忘れたことにする。あのまま思い出せなかった、そういうことにしてくれ。俺達の関係が変わらなければ、未来は変わらないと思うから」
俺が磐城の唯一であってはいけない。磐城の世界を、俺に限ってはいけない。
だからお前の知っている“貴嶺”はもういない、そういうことにしてくれ。
磐城、お前を裏切るような真似をしてすまない。
申し訳ないとは思う、それでも俺は見届けたい。お前が居場所を得ることを、そこで心から笑ってくれることを。
お前の居場所が俺の隣だけだなんて、もったいないだろう?
俺一人がいなくなっただけでお前の居場所が失われるなんて、嫌なんだ。
なあ、互いに強くなろう。こんな未来が来るのなら、俺は死んでも死にきれない。
見届けるまで死ぬものか。
そして同じように、俺も居場所を得たのだと磐城に見届けられるまで死ぬものか。
「俺は貴嶺という名を捨てよう、何よりも互いの未来のために」
ここに、誓う。
ジニアが小さく喉を鳴らし、体勢を低くした。
乗れ、と言ってくれている。
「……感謝する。さあ、お前の主の元へ、連れていってくれ」
再びジニアにまたがってそう頼んだ。
戦いはいつの間にか終わり、ほとんどが撤退している。
閑散とした戦場で果たす再会まで、もう間もない。
――――――――――
以上、です……!
磐城さんと対面する前にデュランタがした決意。
デュランタ、ジニアという仮名は、流された後助けてくれた親切な人につけられたものです。
ほぼ名前だけですが……!><
再会する前のお話。
――――――――――
久しく見ていなかった親友と自分の騎獣の姿に、息を呑んだ。
火輪の背に乗って戦場を駆ける磐城。それはいいんだ、むしろ不自由なく動けているのを見て一瞬安堵したのも事実だから。
でも……磐城。そんな風に戦うお前を、今まで見たことがない。
なあ、人殺しのために修行しているんじゃないと、毅然と言ったのはお前じゃないか。
そう思う一方で、何となくわかってもいた。磐城があんな風に薙刀を振るうのは、恐らく俺が原因。
きっとお前は、俺があの国に殺されたと思っているんだろう。
俺が死んだら、磐城はああなるのか。ああなって、しまうのか。
まざまざと未来を見せつけられて、ろくに動けもしない。
ただ頭だけは働いていた。
俺はどこかで、磐城を縛りつけていたのかもしれない。二人で旅したことを否定するつもりはない、それでも、最善ではなかったのかもしれないと。
今の磐城を見て考えさせられる。
もしも立場が逆だったらどうだった、俺だってあの国の勝手さに怒りを覚えた。俺だって、ああなるかもしれないんだ。
あんな風に、沢山いる仲間の誰より先陣を切って。“一人”で、戦って。
それは、俺にとっても、お前にとっても最善ではないはずだ。
そうだろう?
そうだと、信じる。
「……火宴」
すぐにでも主の元に駆け付けたいだろうに、待ってくれと呼びかけたきり止まっていてくれる火宴からやっと降りる。
火宴。あの時俺を庇ってくれた、磐城の騎獣。
その体躯を撫でながら、決意の言葉を紡ぐ。
「俺は、磐城に会うよ」
磐城、俺は大丈夫だ。生きている。
だから憎しみに突き動かされて戦うのはやめてくれ。
「お前もきちんと磐城に返す。……ただ、貴嶺として会うことはしない。俺はデュランタと名乗る。わかってくれるか、ジニア」
俺が記憶を取り戻すまで呼ばれていた名前、呼んでいた名前。
火宴、いや、ジニアが俺をじっと見る。凪いだその瞳は、全てを察しているようで。
「“貴嶺”は、磐城を縛ってしまう。俺は、デュランタはそんなことしたくない。……だから、忘れたことにする。あのまま思い出せなかった、そういうことにしてくれ。俺達の関係が変わらなければ、未来は変わらないと思うから」
俺が磐城の唯一であってはいけない。磐城の世界を、俺に限ってはいけない。
だからお前の知っている“貴嶺”はもういない、そういうことにしてくれ。
磐城、お前を裏切るような真似をしてすまない。
申し訳ないとは思う、それでも俺は見届けたい。お前が居場所を得ることを、そこで心から笑ってくれることを。
お前の居場所が俺の隣だけだなんて、もったいないだろう?
俺一人がいなくなっただけでお前の居場所が失われるなんて、嫌なんだ。
なあ、互いに強くなろう。こんな未来が来るのなら、俺は死んでも死にきれない。
見届けるまで死ぬものか。
そして同じように、俺も居場所を得たのだと磐城に見届けられるまで死ぬものか。
「俺は貴嶺という名を捨てよう、何よりも互いの未来のために」
ここに、誓う。
ジニアが小さく喉を鳴らし、体勢を低くした。
乗れ、と言ってくれている。
「……感謝する。さあ、お前の主の元へ、連れていってくれ」
再びジニアにまたがってそう頼んだ。
戦いはいつの間にか終わり、ほとんどが撤退している。
閑散とした戦場で果たす再会まで、もう間もない。
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以上、です……!
磐城さんと対面する前にデュランタがした決意。
デュランタ、ジニアという仮名は、流された後助けてくれた親切な人につけられたものです。