Good Night Rambler

気が向いた時にディスクレビューを投稿しているブログです。

Neu!『Neu!』

2010年04月25日 19時01分02秒 | ディスクレビュー K~O
ノイ!『ノイ!』


心地良い8ビートの反復。『ノイ!』は、この一言で全てを形容できるアルバムです。そしてその最たるものである、名曲「ハロガロ」は、聴くものに対して、まるでハイウェイを走る車を想起させます。ちなみに、この名曲を聴いたことのある人間の大部分は、どこかでこれと似たような音楽を聴いたことがあるはず。そう、生音版「アウトバーン」なのです、これ。つまり、「ドライブそのもの」をシンセサイザーを使って一つの音楽にしてしまったのが「アウトバーン」という曲であり、ドラムやギターなどの生の楽器を使って音楽にしたのが「ハロガロ」という曲なのであります。


さて、なんでこの2曲がこんなに似てるのか。そして、なんでこの『ノイ!』というアルバムを聴いたことのある人間の大部分が、『アウトバーン』を聴いたことがあると断言できるのか。その理由は簡単。だって、ノイ!というバンドはクラフトワークを脱退したメンバーが作ったバンドだから。そりゃ似るわ。そりゃ聴くわ。一方は電子楽器でシンプルなテクノを、もう一方は生の楽器でミニマリズムの追求を。まさに両者は表裏一体といっても過言ではない…んじゃないのかなぁ。更に「アウトバーン」「ハロガロ」という、それぞれのアルバムの代表曲のみならず、アルバム全体の曲構成も、似てる。似てるなんてもんじゃない。まんまだよ。


えーと、よく分かんない人は、とにかく両方聴いてみて下さい。使ってる楽器の種類は違えども、あまりにもやってることが同じで、ホント面白いです。「心地良い反復」を是非ご堪能あれ。


[1972年発表作品]


Neu! - Hallogallo

Primal Scream 『Give Out But Don’t Give Up』

2010年04月18日 16時46分14秒 | ディスクレビュー P~T
プライマル・スクリーム 『ギヴ・アウト・バット・ドント・ギヴ・アップ』


プライマル・スクリームの4thアルバム。分厚くうねりまくるベースと、ゴスペル風コーラス、そしてホーンセクションが全編を彩りまくる、非常にファンキーな作品。特に序盤の4曲目までの楽曲のクオリティが半端じゃなく高いので、個人的にはプライマル作品の中でも結構お気に入りです。


まずディストーション・ギターが積極的に空間を引っかきまくる、ノリノリな「ジェイルバード」「ロックス」の布陣で初っ端からアクセルは全開状態。それに続くのは、暖かみのあるオルガンの音色を土台にし、ピアノとギターが絡み合う名曲「(アイム・ゴナ)クライ・マイセルフ・ブラインド」。また、その名の通りの「ファンキー・ジャム」では、ワウペダルとミュート・プレイを組み合わせたバッキング・ギターの音色が非常にコミカルです。


このように序盤のメドレーが素晴らしいだけに、中盤以降のどうしようもない中だるみ感が非常に残念。ありていに言えば、退屈。おそらくローリング・ストーンズの『ベガーズ・バンケット』『レット・イット・ブリード』のような、黒人音楽志向の名盤を意識したような結果なのでしょうが、どうにもそれが空回りしてしまったような印象です。ラストの「アイル・ビー・ゼア・フォー・ユー」も名曲と言って差し支えないクオリティで、名盤と呼ばれる可能性は充分にあったんじゃないかと思われるだけに、非常に惜しい作品と言えます。


ちなみにこの作品、本国イギリスでのプレスの評価は軒並み低かった模様です。大成功を収めた前作『スクリーマデリカ』のようなレイブ・ミュージックから、いきなりこうしたファンキーなラケンロール方向へ急激な路線変更をしたことに加え、こうした作品自体のアンバランスなクオリティも問題だったのではないかと思うのですが…。


ただし、セールス的には全英2位まで上昇するという好成績だったようです。


[1994年発表作品]


Primal Scream - Jailbird live Glastonbury 2003