早稲田大学ウリ稲門会

在日コリアンOB・OGのためのオフィシャルブログ

時代は変った?

2009-03-14 10:54:07 | 私の意見・交流・日常

「彼氏に家族旅行に誘われているの?行ってもいい?」
今から6年ほど前のある日、突然このメールを受け取ってからの私達
夫婦の慌てようと言ったら。
ご両親と一緒に、スペイン在住の彼氏の兄夫婦のところに
クリスマス休暇をとりに行く、旅費は一切持つから一緒に行こう、と
誘われたらしい。

現地で付き合っているイギリス人男性がいる、とは
聞いていたが、まだ日にちも経っていないしそんな深い仲ではないだろうから
寧ろボディーガード役として都合がいっか?現地のネイティブ相手なんて
あいつも中々やるなぁ、どっちに似たんだ?はっはっはっ、なんて妙に
安心していた矢先。

ご両親と一緒だと言うし、親戚のところだったらまぁ心配ないか?
許可するしかないだろう?でもまだ学生だぞ、どうする?
こちらの不安を察知したのか、続いて届いたメールで
宿泊先のコテージを紹介するホームページを教えてきた。

早速パソコンを起動し、そのURLをクリックするが、当時まだまだ遅い。
夫婦で頭を突き合わせながら今か今かと画面を覗き込む。
出てきたのは、ジブラルタル海峡に近い、アンダルシア地方の海辺の
コテージ。「ほぅ、中々良いところじゃないか?」と感心する私をよそに妻が
早速頁をクリックすると「ここが両親、兄夫婦はこの部屋。そして
私たちがこの部屋。」
んっ?この部屋ってベッドが一つしか見当たらないぞ、おい、それは
まずいだろう、よく探してみろよ、どこ探すの?どこって...。

それからというもの、娘のブログには日々の生活や学業
(ロンドン大学チェルシー美術学校)のこと、そしてその彼氏と一緒に過ごす日々が
綴られて始めた。同時に我々夫婦のこと、そして日本のことが徐々に少なく
なっていったのは当然のことだろうと思う。娘は変った。

彼女は在日3世。高校卒業まで日本の学校に通い、日本の教育を受けた。
わずかに、本名である「崔 瑠美=チェ ユミ」で通わせたことだけが、彼女の
民族的なアイデンティテイだったのかもしれない。その彼女がこう言った。

自分は日本では(名前のせいか)何時もどこか、周りと違う「他所の人」的な感覚が
あった。それがこちら(ロンドン)に来てからも役に立った。つまり、こちらでも
「他所の人」なので周りの日本人たちより早く、現地に溶け込めた、というのである。
彼女にとっては日本もイギリスもどうせ、どこか他所の国なのだろう、という点で
一致していたというのである。少し分かる気がした。

そんなわけで二人は今年の2月、目出度くゴールインした。英国での結婚式
の際には、在英の朴淳徹先輩(前号でご紹介)に一方ならぬお世話になった。
ご夫婦には心から感謝申し上げたい。圧倒的な数のイギリス人相手に新婦両親の
通訳に始まって、果ては新婦のサムチュン役?まで買っていただいた。
パーティが大変盛り上がったのはご夫婦のお陰である。

帰りの機中、妻が先日亡くなった彼女の母(享年85歳)の昔に娘を重ね、
「これから彼女は「1世」としてどれだけ苦労するのだろうか?おばぁちゃんも
単身日本に渡ってきて、随分苦労したからね。」としみじみと話していた。
でも時代は変った。

今や、例え地球の裏側でも、気軽に電話で話せるし(スカイプ)、日々のできごとは
ブログを通じて知ることができる。リアルタイムで顔色を見ることさえもできるのだ。
お金も簡単に送金し、引き出すことができる。最早、手紙すら必要ない時代に
なったのである。

そしてそれよりも何よりも、色んなものの境界というものが
無くなりつつあると感じる。特にかつて言われていたような
もの=既存の価値観=が壊れつつある。結婚式に集まった人物を見渡しても
外見だけでは国籍や人種、育った地域等は判然としない。
それぞれが交じり合い、融合していっているのが現実世界の大きな
流れであり、それを何人も止めることはできないと考える。
果たして個人は流れに身をまかせていくしかないのだろうか。

かの国の大統領を見ても分かるように、時代は変ったのである。
そして、我々も自らを変えなければならない時代になった。

Yes, we can Change!

崔 相敦
1979年 第二文学部卒業



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2 コメント

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娘さん御結婚祝賀ハムニダ! (ヒョビル)
2009-03-18 09:42:15
相敦さん
娘さん、ご結婚おめでとうございます。数年前先輩の家に年始参りをした時会った娘さんが、もう成人されてロンドンで英国人と結婚するなんて、時間の過ぎるのは早いですね!でも英国に親戚がいるなんて羨ましい限りです。私であればすぐにでも、サッカーを見に行きます。
 結婚するに至るまでの、親と子供の心の変遷が手に取るようにわかります。やはり男親より、女親の方が度胸が座っているものですね。我が娘もどこの男性とどのように結婚するのか今からドキドキしています。
では、韓国に来られる時はご連絡下さい。
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協一さん、お久しぶりです。 (崔 相敦)
2009-06-08 02:49:39
コメントをありがとう。ヒョビルさんのレポート大変興味深く読ませてもらいました。どの国も(自分の国であっても)生まれ故郷以外はまた別なところだと言うことが、よく分かりました。私の娘も別なところに行ってしまいましたが、でもやはり同じ人間だなぁと感じることも多々ありますよね。言語と文化の違いと一言で言っても、実は奥深いものがあると思います。
ところで、サッカーのチケットは向こうでも結構手に入れるのが大変らしくて、婿はもっぱらTV観戦のようです。現地の男性にとって、あたかもサッカーはDNAに織り込まれているようです。
奮闘なさっている、ご家族の皆さんに心から応援のエールを送ります。頑張ってください!
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