雲南省公安庁の調べでは、当初疑われた即席緬と豚の油かすには特に問題が見られなかった。しかし、「豚の油かすを入れたビニール袋に殺鼠剤が付着していたため、中毒を引き起こした」という見解である。公安は毒殺を狙っての犯罪でなく、過失と見て調査を進めている。
中国では共稼ぎ家庭が多いので朝食を用意しないのが普通である。子供は親から小遣いをもらって即席麺を途中の屋台で買って食べるのである。
屋台が即席麺も売っているのである。お湯も用意してある。さすがに即席麺だけでは寂しいので様々なトッピングが用意してある。今回の悲劇の元になった「豚の油かす」など最も安価なトッピングなのだろう。「これを入れていた袋に殺鼠剤が付着していた」と言うのだ。
公安の発表など、勿論信用できない。
中国では病院の食堂でも税務署の食堂でも殺鼠剤が日常的に使われている。とにかく中国は鼠が多いのである。食糧事情のよろしくない中国にとって鼠害は蝗害以上に深刻な災厄なのである。
殺鼠剤には一度の食餌で殺傷させる急性毒剤と、数度の食餌に分けて殺傷させる累積毒剤に大別される。急性毒剤は、ペットや子供などが誤食して被害が出るなどの問題となったことから日本ではほとんど用いられていない。黄燐(猫いらずとして有名)、リン化亜鉛、ノルボルマイド、シリロシド、タリウム、硫酸タリウム、α-ナフチルチオウレアなどが代表である。
累積毒剤は、数度に分けて継続的に摂取させる必要があるが、誤食に対する安全性が高いため、一般的に利用されている。クマリン系のクマテトラリル、フマリン、ワルファリンなどが代表である。
で、中国の場合は国民性からして累積毒剤などというまだるっこしい手段をとるとは思えない。今回混入されていた殺鼠剤も急性毒剤であったと思われる。
今回事故を起こした即席麺であるが、日本ではノンフライ麺が主流である。中国では油で揚げている即席麺が多い。その一部からは発癌性も確認されている。更に中国では「下水溝油」という下水から回収した油を再利用したものを使って、一部の悪徳業者は即席麺を揚げている。モンゴルの留学生が即死したのもこれだ。
4人の小学生が地元で売っていた即席麺を食べたのが午前8時頃、30分もしないうちに腹痛と吐き気が襲ってきた。午前9時から10時の間に口から白い泡を吹き、意識を失い、次々に死亡した。
午後2時40分に司法解剖、午後10時には埋葬を終えている。
亡くなったのは5年生男子1名、3年生女子2名、1年生女子1名である。
死者の家族には慰謝料が一人あたり6000元支払われたようである。
公安庁は他に殺鼠剤入りの即席麺は発見できなかったと発表しているが、製造過程で調味料のラードに殺鼠剤が混入してしまった可能性も否定できない。ということは、今後も犠牲者が出る可能性があると言うことだ。
2003年8月、安徽省阜陽市で即席麺による中毒事件が発生し、幼稚園児1人が死亡、小学生1人幼稚園児1人が入院した。製造過程で殺鼠剤が混入したことが原因と見られている。2004年5月には湖南省岳陽市で中学生25人が即席麺が原因の腹痛で入院している。
2006年年10月にも、広西チワン族自治区百色市で小学生 31人が入院する事件が発生した。
また、一部即席麺から基準値を超えた鉛が検出される事件も発生した。
中国では人間が即死する殺鼠剤が至る所に置かれている。食品製造現場でも例外ではないわけだ。逆に、そういう場所だからこそ殺鼠剤が必要という理屈である。
(記事)
12/9追加-麺のカスから麺自体には毒物が検知されなかったが、ラードのカスから殺鼠剤に汚染されていることがわかった。
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