若生りえ Jazz Songs & Diary

ジャズ歌手の若生りえがジャズスタンダードソングの歌詞やエピソードについて語る。
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『 ROSE ROOM (In sunny Roseland) ~ローズ・ルーム~』

2010年02月12日 | 私の好きな曲 ~ジャズ訳詞一覧~
ROSE ROOM(In sunny Roseland)
~ローズ・ルーム~
1917年
作詞/ ハリー・ウィリアムズ Harry Williams (1919年)
作曲/ アート・ヒックマン Art Hickman(1917年)

【ビッグ・バンドの創始者が作ったインスト(演奏)で有名な曲

もともとはタップ・ダンサーで、ドラマーでピアニスト、

そして自身のバンドを持っていたという、アート・ヒックマン


ビッグ・バンドの創始者とも呼ばれる彼の出世作でもあります


これは、彼が当時演奏して活躍していた、

サン・フランシス・ホテルの『ローズ・ルーム』で、

彼のバンドのテーマ・ソングとしていたものを、

1917年に宣伝をかねて楽譜を売り、その後、

ハリー・ウィリアムズに作詞を依頼してレコードも売れて、

この曲で成功しました


歌詞の中にも「Ball(舞踏会)」という言葉がありますが、

一般的には当時流行していた『ボール・ルーム』と呼ばれる

ダンスを楽しむ施設が流行っていた頃ということもあり、

こういった楽しげなノリの良い曲が人気の理由の一つ

だったのかもしれません


ジャズ・メンたちは、『ボール・ルーム』でのダンスの伴奏(演奏)も

主な仕事場所でもあったので、ヒックマンのバンドが

ニューヨークに移動して活動し、ニューヨーク中のホテルや

キャバレーなどでも、こぞって演奏され、

有名なバンドにも取り上げられ、ダンスの定番曲のようにもなり、

スタンダードとしても残りました


しかし、面白いことに、こんなに素敵な歌詞があるにもかかわらず、

今ではほとんど歌われず、これだけたくさんのインスト物での

名演はあるのに、たとえば有名なビリー・ホリデイや

エラ・フィッツジェラルド、サラ・ボーンなどの歌手の、

歌物も探すことができないほど、歌物が少ないのです。

これは当時の時代背景として、歌詞を楽しむというよりも、

ダンスをする時の定番曲として、あまりにも音楽の方が

時代にマッチしてしまったからなのかな?

と個人的には思っています


【やっぱりバラは、愛の象徴?】


歌詞を書いたハリー・ウィリアムズは、ポピュラー音楽の

世界などでも活躍した人で、作曲もしたようですが、

有名な仕事はやはりこの作詞のようです

(「林檎の木の下で」という曲も有名!)


彼はどうやら『ローズ・ルーム』という言葉の響きは

ホテルの「○○の間」のように『バラの間』のような

表現をあまり好きではなかったのではないか?

といわれています。


それを裏づけるかのように、そのまま『ROSE ROOM』

という言葉が歌詞の中に使われず、『Roseland』という

別の言葉や、『バラの花でいっぱいの部屋』、私の表現だと、

『バラの花で満ちあふれている秘密の場所』というような

表現で描かれています。


そうはいっても、この美しい歌詞

彼の描いた『バラの咲く場所』というのは

なんとロマンティックなんでしょう


ここでの『バラ』というのは、「バラの花」ことでもあり、

また「きみ」と「ぼく」そのものでもあるようです


『バラ』という言葉を辞書で調べると、「バラの花」の他に、

『The rose of the party』といった表現では「パーティの花形」、

「その一行中で一番の美人」などという意味もあり、

この歌詞の最後の一行にある、「a beautiful rose」というのは

まさに『一輪の美しいバラ、それは君』というような

訳が自然かな、と思いました


やっぱり『バラの花』というのは「愛の象徴」なのかもしれません


【インストは数え切れないほど!歌はさがしましたぁ~!】

さてさて!

もう、インストは、アーティ・ショウ、ベニー・グットマンなど

クラリネットでの演奏はかなり有名で、あとはデューク・エリントン、

オスカーピーターソンやナット・キング・コール、テディ・ウィルソン、

などのピアノ、ジャンゴ・ラインハルトなどのギター、あとはもう、

ルイ・アームストロング、ジェリー・マリガン、ライオネル・ハンプトン、

などなどなど、書ききれないほどの有名ミュージシャンに

演奏されています


歌物では「イアン・ウィットコム」という、エンターテイナーで、

歌手で、ウクレレを弾いたり作曲なんかもする彼が、癒しボイスで、

また、「ベティ・ハットン」という、映画や舞台で活躍した女優で、

歌手の彼女、その二人が『ヴァース』から歌っていますが、

ただし二人とも長くなってしまうからか前半部分だけを歌い、

そのあとコーラスを歌うというものでした


ちなみに男性が歌うときは、「君をバラの園へ案内したい」

となりますが、女性の「ベティ・ハットン」などが歌うときは、

ちゃんと「私をバラの園へ連れて行って」みたいな言い回しに

歌われていました


今回ヴァースを全部歌っているものは見つかりませんでした

ルイ・アームストロングやナット・キング・コールも、

歌っているものはさがせませんでした


でも

コーラス好きの私のお気に入りは、4人兄弟の

『ミルズ・ブラザーズ』による歌物はなかなかグッドです


ヴァレンタインのこの時期に、

とってもロマンティックな良い歌をみつけてしまいました!!


私もこれを機に、レパートリーにしようと思っています


それでは!!

みなさんもどうぞ、


『ローズ・ルーム』の中へ


《英語歌詞》

(VERSE)

I want to take you to a little room

A little room where all the roses bloom

I want to lead you into Nature’s hall

Where ev’ry year the roses give a ball

They have an orchestra up in the trees

And they will sing us a song

As we’re strolling along

The ball is over and the tulips meet

Their little kisses are so short and sweet

The lilies nod to the forgetmenots

When they’re departing in their flower pots

But all the roses with their spirits high

Remain to love until they droop and die

And dear, why shouldn’t it be

Just so with you and with me

(CHORUS)

In sunny Roseland where summer breezes are playing

Where the honey bees are “A- May-ing”

There all the roses are swaying

Dancing while the meadow brook flows

The moon when shining is more than ever designing

For ‘tis ever then I am pining

Pining to be sweetly reclining

Somewhere in Roseland beside a beautiful rose


《日本語和訳歌詞》

(ヴァース)

君を、ちょっとステキな

秘密のあの場所へ連れて行きたいな

そこは、あたり一面がバラの花で満ちあふれているんだ

僕は、そのステキな自然のお城に君を案内したい

そこでは毎年、その時期になると

「バラの大舞踏会」が開かれるのさ

バラの木々の上にはオーケストラもいて

鳥やミツバチの楽団員たちが待ちかまえているよ

そして、僕たちが「バラの園」を散策する間も

ずっと僕らを祝福するかのように

二人のまわりを飛び、歌を歌ってくれるんだ


その「舞踏会」が終わると

自分たちの「花鉢の家」に帰る花々に出会うんだ

チューリップに出会うと

彼らは短く、かわいらしいキスをくれる

そしてユリの花たちは、ワスレナグサに小さく会釈する

でも、そこに咲くバラの花たちだけは

舞踏会の余韻に酔いしれたまま

いつかうなだれて枯れるその日まで

愛し合うために、誰一人として

ここから帰ろうとはしない

ねぇ、君

それっていけないことかな?

だって、そのバラたちは

まさに、きみとぼく、そのものじゃないか!


(コーラス)


太陽がきらめくこの「バラの園」では

夏の風がそよぎ、その風に乗って

ハチたちが「五月の恋の季節」を

楽しげに飛び交っている

そこに咲き乱れるバラたちは

草原に流れる小川のせせらぎに合わせて

踊るように、楽しげに揺れている


今宵は、月がよりいっそう、絶えず煌めいて

僕らの「恋の季節」を演出してくれる

こんな夜に、僕の願いはますます高まる

僕の願い・・・

それは、いつか「バラの園」で

一輪の美しいバラに・・・

一輪の美しいバラのような「君」のとなりに

そっと横たわり、寄り添うこと・・・

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1 コメント

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ローズ ルーム (玻璃)
2010-02-19 17:38:21


こんばんは~


仕事が休みで…チョイ…ユックリしてます…


ローズ ルーム…

こんな可愛い歌詞が有ったんですね…


ワタシは…探しても…歌詞を歌っているものには…出会えませんでした…

なので…クラリネット,バージョンを聴いてます…
でも…良い曲です…♪


忙しい中…和訳ありがとうございました…


曲に歌詞のImageを重ねながら…


ローズ ルーム聴いてみたいと思います…




アッ…久しぶりに覗いて…ローズ ルームを見つけて…


感激して仕舞いました~

♪d(⌒〇⌒)b♪

重ねて…重ねて…重ねて…

ありがとうございました…
m(__)m
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