建築への思い

素人から見た建築への思いを、雑誌や本で見聞きしたものを中心に、とりとめなく書き綴っていこうと思います。

ユーソニア住宅(The Seven Ages of FLWより)

2005-03-09 | Frank Lloyd Wright
今日は、ユーソニア住宅の部分をなるべく忠実に訳してみたいと思います(自らの勉強のため)。

サミュエル・バトラーの「ユーソニア」という新たなアメリカに関する洞察力に富む本に感動したライトは、この名前を借用し、自らの作品をユーソニア住宅と名付けます。この住宅では、いかなる人も住宅を所有し、建設することができる理想的な民主主義社会へ向けて設計されました。これに挑むため、ライトはアメリカの住宅の構造を根本から考え直しました。余分なものは全てそぎ落とし、必要不可欠なものだけを残し、床や屋根の構造には普通のベニヤ板を利用しました。土台からですが、ライトは地下室や板張りの床をやめ、最も安価な土間コンクリート(a concrete slab on grade)を使いました。ウィスコンシンの冬では、コンクリートの床は寒いため、ライトは新しい暖房システムを考案。東洋に滞在中、ライトは韓国の、床の下に埋め込まれている熱風パイプシステムに感心していたライトは、この住宅似てコンクリートスラブの間に熱湯パイプを埋め込みました。ライトは初の輻射暖房システムを発明したのです。

土間コンクリートの表面は色のついた赤レンガで、この住宅プランの軸線にあわせて並べられ、密閉、ワックス、研摩といった仕上げを行いました。通常の2x4の間柱でできた壁の代わりに、中空でない壁にするため、内部構造コアとなるベニヤ板を断熱ボードで覆い、イトスギやアメリカスギの板を横長に位置し、ジョイントを当て木で固定するという方法をとりました。

今日はここまでにします。翻訳は、その専門知識がないととても難しいものです。
ちなみに、なぜイトスギやアメリカスギを使うのか、と思っていたら、これらの樹木は沼地に生息しており、湿気等の悪条件に大変強いため、そのまま住宅の内装や外装に使っても、比較的傷みにくいから、という情報を得ました。なるほど、細かいところまで考えているのですね。

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3 コメント

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はじめまして (ciscokid)
2005-04-10 18:28:02
はじめまして。w_designさんの記事楽しく読ませてもらっています。私の知り合いでライトの下でアプレンティスをした人ですが、まだ現役でがんばっている人がいます。今たしか83歳だとおもいます。息子さんが2人いますが、兄は建設業、そして弟は建築と家族で建築に携わっています。私も昔の話ですが、彼のプロジェクトの図面を引かせてもらった事があります。(施工図面)

今は子供達は独立し、自分達の家を建てましたが、最初の家は家族皆で建てた家です。外壁はコンクリートブロック。これはモールドを作り、コンクリートを流し込み一つ一つ作ったものです。床は勿論コンクリート・スラブ、壁はレッドウッド(アメリカ杉)サッシュも自家製でレッドウッドの木枠です。天井は防音用のパネル張り。それにソーラーパネルも活用しています。この家はたしか35年ぐらい前に建てたと聴いています。まだ若かった子供達と奥さんも手伝ったそうです。最近はご無沙汰していますが、30+年たった今でも、ライトのデザイン独特のタイムレスな空間が時代の流れを全然感じさせません。
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Unknown (w_design)
2005-04-12 10:47:53
ciscokidさん、TBありがとうございました。SFに住んでいるのですね!うらやましい限りです。美しい街ですよね。



ところで、ライトのアプレンティスをした方の住宅、是非みてみたいです。ライトの建築は、それこそたくさん本に掲載されていますが、言葉で説明するのがとても難しい。でも、一歩空間に入ると、ああ、ライトだと感じる空間が多いです。不思議なものです。



さて、話は少しずれますが、今日はパサデナの記事を紹介してみました。私は東海岸にいるので、西海岸はさっぱりわからないのですが、ciscokidさんはいかれたことはありますか?



クリーンで、モダンで、ミニマリズムな空間も好きですが、パサデナのようにアーツ・アンド・クラフトな空間も大好きです。大変リッチな空間です。
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パダデナ (ciscokid)
2005-04-13 10:53:51
そうですね。ライト氏の空間は足を踏み入れた時にわかります。Timelessですね。

彼の作品で近くにはMarin County Civic Centerがあります。この建物に入った時に、ごく最近に建てられたのではないかという錯覚に陥りました。色々な古い物を見て、ああ、「あの時は・・・・・」と昔を思い出したりしますが、彼の建物からは時代の流れなどは微塵も感じません。

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