有権者C-衆院解散選挙の投票判断基準の一提案。もっと多くの人にもっとより良い社会のために。本当の希望を見分けよう。

2017年10月22日に投票がある衆議院解散総選挙は日本の将来にかなりの影響を与える大事な選挙、若い人こそ投票を。

3極というより実体は2極-日本政治の重要原則と2017年衆議院解散総選挙で伸長すべき党派

2017-10-10 22:31:28 | 日記
森友問題・加計問題の追及逃れの衆議院解散とその影響
安倍首相は、森友問題・加計問題の追及を逃れることを大きな理由として衆議院解散総選挙を行ったこと(現実に彼は有責の可能性もあり、そうならば首相・議員辞職をすると、言明したことも背景にある-今年2月中旬国会の発言)また、安倍政権は北朝鮮に攻撃的な米国トランプと同一歩調で、対北朝鮮戦争の誘発・日本の参戦リスクを上げている。(これに関連する作家半藤一利氏のコメントより「安倍氏が『国難突破解散」と位置づけたことで、そのパートナーであるトランプ氏と合わせて、平和を維持するために動くか、逆に制裁をさらに強めることを支持するのかの大問題を問い直す選挙」) このような安倍政権の姿勢にストップをかけるのため、2017年の衆議院解散総選挙では彼の支持派の衆議院議員数がぐっと減少するべきと考える。また、当然彼の側近である麻生副総理や菅官房長官の評価も下がるべきである。

北朝鮮戦争に日本が参加する危惧

安倍首相がこの選挙で、希望の党や維新の会との選挙後の合同(希望の党は政策の上で自民党と違いをあえて出そうとしているが、選挙後の修正は可能だし、思想方向の親和性により十分ありうる)も含め、衆議院3分の2以上の議席を確保して、最近提案している憲法9条への自衛隊明記が可能になってくれば、トランプ米大統領の11月初旬予定の訪日において、対北朝鮮戦争への自衛隊の積極的参加の可能性をアッピールできる根拠になる。そしてトランプ大統領が訪日の後の訪中で中国の了解も得て、実際に開戦すると(その可能性が高いとは思えないが)朝鮮半島では100万人とも言われる戦死者が出、日本へも北朝鮮のミサイル攻撃が行われ多大な被害が発生する可能性が高い。

その戦争は最終的には北朝鮮国民の困窮の解消につながりうるが、韓・日といった近隣国に多大な損害を与えてまで行えるものではない。ミサイル攻撃被害の度合いが低い米国大統領の強硬姿勢に、日本が容易に乗っかってよいはずがない。自民党右派などはこの参戦によって日本の改憲および、国権主義体制への移行が急速に進むと期待していると想像するが、そのことが100万以上の人命損害より価値があることだろうか?



日本国憲法改正への基本スタンス-緊急の改憲は不必要

安倍首相らがこだわる日本国憲法改正において、自衛隊に関する条項を変更することは、個別自衛権に関しては普遍的に必要と考えられるので、その意図は理解できる。ただし、侵略戦争に極力関わらないために、集団自衛権の無差別な行使は、憲法上の歯止めが必要である。

しかし、日本国憲法を改正せずとも実質的に個別自衛権は認められているとみなされるし、安保法案にて現憲法下での実質的な集団自衛権の行使も容認されている。一方、現在の多くの改憲論者は集団自衛権の行使に抑制的でないという危険性が感じられる。よって、現憲法下で解決できるだろう多くの経済・国際・社会の問題よりも、主に自衛隊に関する条項の憲法改正が国の真の課題として、優先順位が高いとは思えない。

米国人が主に書いた現憲法を日本人が書き換えていって、日本が対米従属から脱却する姿勢を示せば(実際にそれが政治・経済・安全保障などで実現していくかは別とし)、とりあえず日本人のプライドが高まる面もあるが、それが日本と世界に対して真の価値を寄与するかは大いに疑問である。

なぜなら、それだけでは日本の政治・経済・文化・社会が改善され、急成長するアジアでの日本の国際競争力を強化するなどの国際的課題や、少子高齢化や地方や産業の空洞化などの国内的課題を解決できる保証がないだけでなく、自衛隊条項を変更し、実質的な軍隊であると認め、将来的に日本が日米安保条約を解消し核武装をするようになった場合、日本は侵略戦争にまで関わる可能性が相当あるからである。下記の自民党憲法改正草案およびその背景の国権主義思想を理解すれば、その理由は明確である。

自民党憲法改正草案の危険性

安倍首相が唱えてきた憲法改正案は、9条以外に96条(憲法改正の発議が衆院議員の3分の2で可能なのを、半分で可能に変えたい)があって、96条の改正に2012年にできた自民党の憲法改正草案が結び付くと日本を破滅に導くものとなりかねない。
この自民党憲法改正草案は立憲主義(国民が憲法を作り、それが権力者をけん制する枠組み)、国民主権、基本的人権、平和主義のすべてを骨抜きにするものであり、戦前の国権主義への回帰にほかならない。これは改憲ではなく、破憲ないし壊憲であると評される場合(参照: 水上貴央/弁護士による解説http://sealdspost.com/archives/3844)もある。(ちなみに、この選挙後、安倍首相退陣に至った場合の次期首相有力候補の石破氏は、自身が関わった自民党憲法改正草案の自衛権に関することは詳しいが、草案の構造全体が危険をはらんでいるという認識を持っているのだろうか?)

もし、この選挙で安倍首相が勝ったら、可能性が高まる9条の変更を嚆矢として、次には96条も変更し、ひいては日本国憲法の大幅改正の流れになるかもしれず(多くの改正論者の意図はそこにあると感じる)、その自民党の憲法改正草案に従う方向になる可能性も十分ある。そうなったならば、日本国憲法の前文を始めとする、基本的人権条項は変更・削除され、憲法が国家をけん制し、国民を擁護する立憲主義も損なわれ、国家主義およびそれを強権的に実現させようとする国権主義に政体が変わっていくだろう。

安倍首相らは、国家公務員や地方公務員の定年延長を許可し、(国家・地方予算に負担の低い再雇用ではなく)彼らの歓心を買ってさえ政権の長期維持を狙っているのであり、それに伴い右派勢力が伸張すれば、その帰結は日本を危険にさらす復古主義の跋扈にほかならない。それはまさしく、日本国憲法を大幅に改正しながら、明治憲法や教育勅語の思想に戻る方向である。

日本国憲法の前文を始めとする、基本的人権条項と、支配者の横暴から国民を守るべき立憲主義はすべての民主主義国において、実現すべきものと認められた原則であり、恣意的かつ不公正な独裁制と対抗し、脱する過程で近代社会が勝ち得た価値観である。

日本は天皇制のもと、歴史的にそのような不正と圧政に満ちた独裁制では比較的なかったことが多いものの、いわゆる15年戦争時(満州事変~日中戦争~太平洋戦争)の主に軍部の独走~敗戦を、戦前の天皇を神格化した国権主義体制では阻止できなかった。つまり、戦前の日本の政体に戻るならば再度そのような危険が及ぶ可能性が高いということである。

しかし、安倍首相を始めとする自民党右派や、ナショナリスト団体(特に自由・平等・博愛などの近代社会原理と比較すると右翼的民族主義といってよい)と評される日本会議などの人々はそのような旧体制復帰の国権主義思想を持ち、それが体現されているのが、自民党の憲法改正草案である。

彼らは、主に米国によって準備された戦後レジームに限界を感じている。そのレジームのマイナスの特徴は物質主義、公の価値を無視するエゴイズム、米国への従属的な態度などであろう。しかしその克服は、別のマイナス面がまといつく日本独自の天皇中心主義(神格化を伴う)国体への回帰ではなくて、理論的には他の形の倫理、および公共精神、独立心等でありうる。(その内実については、倫理・哲学や社会科学なども援用し、別途追及・議論すればよいことであって、選択範囲を狭くして右翼的思考に走ってはならない。)

我々が支持すべき政治勢力—希望の党ではない
以上展開した論理により、国権主義および民族主義を増進させる方向で改憲をもくろんでいるあらゆる政治勢力に、私は反対する。小池都知事の希望の党、それに共闘する維新の会も大まかには、そのような方向性があるため、反対する。

小池都知事に関しては、当初から東京都知事を自分が総理大臣になるためのステップと捉える志向だったと想像されるが、そうならば東京都民および国際的大イベントである東京オリンピックにに対する責任と誠実性に大幅にかけており、そのような機会主義的性向は一国の総理大臣にふさわしくない。

また、彼女に率いられた希望の党の当初メンバー、それに合流・共闘する民進党メンバー、維新の会のメンバーも同様に、自己の当選や自派の伸張のみを重視し、国民と世界に対する責任と誠実性が不足している可能性が高い。今まで幾多の党を渡り歩きまず権力を求め、実際的な結果はそのスローガンほどは華々しくない彼女の行動には国民に対する真正な責任と大義は感じられない。

さらに、関東大震災の朝鮮人虐殺慰霊式典の追悼文取りやめをした小池都知事が率いる希望の党、民進党左派議員らを暗に示して「ポンコツ」という侮辱の言葉を平気で吐く松井大阪知事や、「慰安婦制度は必要だった」と発言した橋下氏がいる維新の会も、人権主義や民主主義とは相いれない独裁者傾向のある勢力であり、自民党右派との親和性があるのを通り越して、特に弱者や外国人の人権を軽んじる排外差別主義志向が強いのではないか。(現在の民主主義、人権主義を正とする国際政治基準からは極右になる)

小池都知事の率いる希望の党が、様々な批判の中、それほど躍進できない可能性がる。しかし、選挙後別の総理候補を立てるだろう自民党と連立し(現に10月8日の党首討論会でも、彼女は自民との大連立の可能性を問われると「しっかり戦い抜き、その結果としての判断になる」と含みを残した)、与党化する可能性は十分ある。彼女は外交・安保政策に関しては安倍政権と違いはないとも言明しており、自民党との連立は論理的に大いに可能だ。

そして、そのような連立の枠組みを利用して彼女が総理大臣になるために、衆議院に出馬するかは、自民党の票数減および希望の党の票数増の具合により決めるだろう。(しかし現在の票読み予想では、希望の党がそれほど伸びず、そうならないだろう。)

どの党派が伸長すべきか
ここまで述べてきた原則及び現実の評価をまとめるならば、憲法改正はかならずしも緊急課題ではなく、普遍的に大事な原則は、立憲主義・反国権主義・人権主義・民主主義であるという認識を共有することにより、立憲民主党、社民党、および旧民進党の右派(多くは今は希望の党、一部は無所属)、またことによると自民党左派、中道・左派勢力として大同団結をし、国権主義・民族主義に傾く自民党右派、維新の会、希望の党と対抗すべきであろう。
共産党に関しても、今後その綱領などに表わされている、歴史認識や最終的目標(日米安保条約即廃棄などの急進的過ぎる主張を含む)の再検討の約束があるならば、暫定的であってもその勢力に参加は可能である。
こうした原則論的認識に基づくなら、旧民進党右派の多くが希望の党に合流している現状は異常であり、原理原則に基づかず、自分が当選する党派をむやみに探しているだけと思われる。ここで彼らも再考し、たとえ選挙後であっても真の中道・左派勢力に合流すべきではないだろうか。

当面の護憲と将来の改憲の条件

改憲か護憲かに関しては、現在の自民党憲法改正草案の方向への憲法改正は、私は完全に反対であり、その方向にかじを切りかねない部分的改憲にも慎重でありたい。よって短・中期的には護憲で構わない。ただ将来的には、中国やロシアの軍事強権傾向は増大し、一方米軍の東アジアへの関与も減る可能性があることも鑑み、日本が(核武装も含めた)自主防衛に転換していく可能性はあるかもしれないが、その時の憲法改正は、今のような国権主義者ではなく、深く自由・平等・博愛の感覚を身に着けた真の民主主義者によって行われるべきである。

まとめ-日本政治を悪化させないキーを持つ方々へのお願い

立憲民主党の方々
政治と社会をよくするために改憲をするという動機自体は正当だが、国権主義者に引きずられた改憲は破憲・壊憲につながる危険性があるので、現在立憲民主党が反対している9条変更以外の条項の改憲にも同調しないこと。

元民進党で、希望の党で立候補している方々および無所属になった方々
選挙後であってもやむを得ないが、立憲民主党を始めとする中道・左派勢力に合同すること。

社民党、共産党の方々
国際状況の変動(主に安全保障バランスの変化)により未来永劫に護憲を貫けるかわからないことを認識すること。加えて共産党は天皇制廃止、共産主義社会建設、日米安保条約即廃棄などの目標を実現可能な形に修正していくこと。( 現に、10月8日共産党の志位委員長は、共産党が参加する政権ができた場合は「国民の圧倒的多数により『自衛隊は解消しよう』との合意が成熟するまで、政府は一定期間、合憲の措置を引き継ぐ」との発言をし、現実から遊離していた姿勢を変えつつある)

無党派有権者の方々
今回投票できる党派は立憲民主党、社民党、共産党。
希望の党、維新の会、自民党は国権主義に傾き、改憲の流れを増幅させ、立憲主義や基本的人権を骨抜きにする可能性があるため、決して投票してはいけない。

(了)