くにたちの声

国立市の市政について、国立市民・納税者の立場から発言していきたいと思います☆ presented by Y.Suzuki

地方自治法改正法案の動向

2011年01月26日 23時40分00秒 | 住基ネット
今国会に提出される予定の地方自治法改正法案の内容が知りたくて、永田町の動向に詳しい友人や中央省庁にいる友人に聞いてみました。
すると、改正法案は、総務省内で骨子のみが出来上がっている段階で、未だ完成しているわけではない、とのこと。

これから総務省や関係省庁の担当者が協議を重ねたうえで法案をまとめ、3月末くらいまでには、改正法案が国会に提出されることになるようです。
いったん法案が提出されれば、野党自民党はこれに反対することはないでしょうから、割とスムーズに可決されるのではないでしょうか。

この改正法案が提出される契機となった総務省地方行財政検討会議における議論については、総務省ホームページで閲覧することができます。
地方行財政検討会議は、片山善博総務大臣が議長で、地方自治体の首長や学識経験者によって構成されています。
昨年12月に開催された第7回本会議において、「地方自治法抜本改正についての考え方(平成22年)」(仮称)(案)が発表されていますが、この中に「5.国と地方の係争処理のあり方」という項目があり、以下のような記述が見られます。


(現行制度の課題)

 地方公共団体の事務処理が法令に適合して行われなければならないことは当然である。長その他の執行機関は事務処理の法令適合性が確保されるよう自ら万全の措置を講ずるべきである。それでもなお、長その他の執行機関の事務処理に違法があると認められる場合には、監査委員制度・外部監査制度がその機能を発揮すべきことは言うまでもない。また、議会による執行機関の監視機能が発揮されるべきである。例えば、事前の段階では契約の締結、財産の取得・処分等についての議決権、事後の段階では検査権・調査権を活用することが考えられる。さらには、長に対する信任が失われる事態に陥れば、不信任議決を行うこともあり得るであろう。さらには、住民も、地方公共団体の財務会計行為の違法性については住民監査請求・住民訴訟によって是正を図ることが可能であり、長その他の主要な公務員としてふさわしくない行為があるとすれば、解職の請求を行うこともできる。このように、地方公共団体の違法な事務処理は、まずは、自律的に解決されるべきである。
・・・・・(中略)・・・・・
地方公共団体の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき等には違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができ(是正の要求)、法定受託事務の処理が法令の規定に違反しているとき等には違反の是正又は改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができる(是正の指示)。併せて、地方公共団体に対する国等の関与をめぐり、国等と地方公共団体の間で争いが生じた場合に、中立・公正な第三者機関(国地方係争処理委員会・自治紛争処理委員)の判断によって処理し、これで解決しない場合には裁判所の判断を得て解決を図る国・地方間の係争処理手続が設けられている。

 しかしながら、現行の係争処理手続では、地方公共団体側からのみ第三者機関に対する審査の申出、裁判所に対する訴えの提起を行うことによって、問題の解決を図るものとされており、国等の側からは審査の申出や訴えの提起ができない。このため、国等による是正の要求・指示に対して、地方公共団体がこれらに応じた措置を講じないにもかかわらず、審査の申出や訴えの提起がされない場合には、訴訟等により問題の解決を図ることができず違法状態が継続することになる。

 こうした状態は、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律による制度導入時から懸念されていたが、昨今、是正の要求がされたにもかかわらず、地方公共団体がこれに応じた措置を講じず、かつ、第三者機関に対する審査の申出をしなかった事例が複数散見され、このような懸念が現実化している。これは、行政の法適合性の原則の観点から見過ごすことができない上、国と地方公共団体の関係の不安定要因ともなりかねない。

(国等による地方公共団体の不作為の違法確認訴訟制度の創設)

 このような事態が生じ、継続するのは、国と地方公共団体との間で法律解釈を巡る齟齬が生じた場合に、これを事後的に解消する手段が不十分であることによるものであり、この現行制度の不備を、司法的手続(新たな訴訟制度)を整備することによって解消することが適当である。中立・公正な司法の場で、透明性の高いプロセスの下、国と地方公共団体の双方がそれぞれ主張立証を尽くし、これをもとに裁判所が判断を行うとすることが国と地方公共団体のみならず、国民・住民にも納得の得られる最も適切な解決方法であると考えられるからである。

 具体的には、地方公共団体による事務処理の適法性を確保するために、国等から是正の要求・指示に対する地方公共団体の不作為の違法確認判決を求めて国等が訴えを提起できる仕組みについて、速やかに制度化を図る。」




上記文中、「昨今、是正の要求がされたにもかかわらず、地方公共団体がこれに応じた措置を講じず、かつ、第三者機関に対する審査の申出をしなかった事例が複数散見され、このような懸念が現実化している。」とありますが、この事例のひとつが住基ネット切断という違法行為を継続している国立市であることは、言うまでもありません。

また、文中の最後に、「国等から是正の要求・指示に対する地方公共団体の不作為の違法確認判決を求めて国等が訴えを提起できる仕組みについて、速やかに制度化を図る。」とありますが、国の是正要求を無視し続ける地方公共団体に対して、どのような強制力を担保するのかという点が興味深いですね。

まずは、速やかな法案の可決を期待したいものです
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地方自治法改正法案が通常国会へ-国の是正要求に従わない自治体を国が提訴できるようになる!

2011年01月24日 21時12分34秒 | 住基ネット
一昨年(2009年)5月29日付けの本ブログで、「住基ネット切断という違法状態と法の欠缺」と題した文章を掲載しました。

私はこの文章のなかで、住基ネット切断という違法行為を継続する関口市長に対して、東京都知事や総務大臣が是正勧告・是正要求をしたにもかかわらず、関口博市長はこれらを無視して違法行為を継続していることをご紹介しました。
そして、こうした是正要求を無視して違法状態を継続した場合、現行法上、国としては為す術がないことを明らかにしたうえで、これはまさに「法の欠缺(けんけつ)」(法の不備)としか言いようがなく、法治国家には、あってはならない事態なのであって、速やかな法整備が望まれる、と結びました。

この待望の法整備が、今日から始まった通常国会で実現しそうです。

先週の土曜日(1月22日)の読売新聞夕刊一面によると、「総務省は、法令違反とみられる事務処理を行った地方自治体が国の是正勧告に従わない場合、国が違法確認を求めて自治体を提訴できる仕組みを創設する方針を固めた。」とのこと。
関連する地方自治法改正案は、今国会に提出されるそうです。
同紙は、「市長が議会を開かずに専決処分を繰り返した鹿児島県阿久根市のようなケースで、国が市を提訴できるようになり、総務省は『国、自治体双方が納得できる適切な解決方法となる』としている。」とも伝えています。
また、同法改正では、勧告に従わない市町村に対して、都道府県が提訴できる仕組みも盛り込まれるとのことです。

この改正法案が可決され、改正法が施行されれば、国立市は真っ先に国又は東京都から提訴されるはずです。
関口市長の悪政と闘う国立市民にとって、この改正法は、まさに頼りになる援軍ですね

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関口市長の控訴理由に呆れかえる(その2-完)

2011年01月10日 21時55分43秒 | 国立マンション訴訟
昨日の続きです。

「市長発言メモ」の前半には、関口市長の非常に危険な考え方が浮き彫りにされている部分があります。

次のくだりです。

「景観と環境を保全することを公約にして立候補し、国立市民の賛同を受けて当選した市長が、公約どおりの行動をし、発言したことが重大な過失があるとして損害賠償されたのでは、市民自治、住民自治は成り立たない。」

これは、法治主義を否定する極めて危険な考え方です。
景観と環境を保全することを目的として、公約どおりの行動や発言をするのであれば、何をしても許されるのでしょうか
自らの政治公約を貫くためには、違法行為を犯しても構わないのでしょうか
こうした関口市長の考え方は、鯨を保護するためなら人間を殺傷しても構わない、として日本の調査捕鯨船に危害を加えるどこかの国の無法者集団の考え方と通底しています。
(*文中の「損害賠償されたのでは」という表現は日本語としておかしいので、「損害賠償請求されたのでは」と読み替えます。)

何度も繰り返しますが、上原前市長の明和地所に対する一連の行動は違法行為であった、と認定した判決が既に確定しています。そしてさらに、今回の判決は、上原前市長は、その職務を行うについて、重大な過失により、国家賠償法上違法である本件違法行為をした、と認定しています。この違法行為認定については、客観的に判断して、今後の法廷においても絶対に覆ることがないと思います。
関口市長は、この違法行為認定を厳粛に受け止めるべきです。

野球の審判の判定に従わない選手がいたら、ゲームは成り立ちませんよね
同様に、法に従わない市長がいたら、法治国家は成り立ちません。
ちなみに、関口市長は、法治主義を否定するのみならず、住基ネット切断という違法行為を現在も継続しています。
市長が、法治主義を否定し、違法行為を実践するという、法治国家にあってはならない無法状態が国立市では続いています。

さて、「市長発言メモ」の後半に移りましょう。

関口市長は、控訴理由として、4つ挙げていますが、すべて無意味で的外れな理由です
今回の住民訴訟では、被告である関口市長側の主張は、判決で悉く退けられたわけですが、関口市長は、退けられたそれらの主張を控訴理由として駄々っ子のように繰り返しているに過ぎません。
これによって、関口市長が今回の判決内容をまったく理解していないことが、まさに露呈しています。
いちいち反論するのも馬鹿馬鹿しいので、やめましょう。
通常の理解力を有する方々が、このブログに掲載されている判決の詳細を一読すれば、関口市長の4つの理由とやらが如何に空しいものであるかが、お判りいただけるでしょう。

理解力と遵法精神に欠けるうえに、住基ネット切断という違法行為を続ける関口市長
このような市長を、この4月の市長選で再選させては絶対にならない、とつくづく思います。
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関口市長の控訴理由に呆れかえる(その1)

2011年01月09日 23時12分02秒 | 国立マンション訴訟
去る1月4日に市議会の全員協議会が開催され、関口市長が今回の住民訴訟での敗訴を受けて、控訴する旨の意思表明を行ったそうです。
その際、全員協議会資料No.2として、「損害賠償(住民訴訟)請求事件(平成21年(行ウ)第249号)の判決について(市長発言メモ)」と題された文書が配布されています。この文書(以下、「市長発言メモ」という。)は当日の傍聴者にも配られたそうです。

私はこれを読んで、呆れかえり、開いた口がふさがらない、という印象を受けるとともに、関口市長の考え方に非常に危険なものを感じました。
まずは、以下に全文をご紹介しましょう。なお、一部に日本語の文法的な誤りや意味不明なところがありますが、原文のまま掲載します。

平成22年12月22日判決言渡しのあった明和裁判に係る損害賠償請求事件(住民訴訟)の判決について、ご報告いたします。本判決については、全く納得できるものではないので控訴することにしました。その理由を申し上げます。
地方自治、市民自治、住民自治を全く理解しない時代に逆行した考えに基づいた判決であること、また国立市の主張を全く理解していない司法判断を受け入れることはできないからである。
平成17年12月19日の高等裁判所の判決(以降、「前件控訴審判決」という。)を受け本裁判は争われている。前件控訴審判決が行われた後、国においては、景観法が制定され、また、司法の場においても、「住民の景観利益は、法的に保護される」という言葉が使われるようになった。
前件控訴審判決後のこのような時代の流れ、景観に対する市民の要求に謙虚に司法も耳を傾けるべきであるにも関わらず、本件損害賠償請求事件裁判においては、原告が提出した前件控訴審の判断のみを理由に挙げ、市の主張を退けている。
また、前件控訴審判決には、国立市として、全く納得しておらず、その判決に基づく求償権の行使を行うつもりはない。もし、控訴しなければ、長年この街の景観を守り続けてきた市民が行ってきた行動そのものを、市が否定することになり、そのようなことはできません。
また、景観と環境を保全することを公約にして立候補し、国立市民の賛同を受けて当選した市長が、公約どおりの行動をし、発言したことが重大な過失があるとして損害賠償されたのでは、市民自治、住民自治は成り立たない。市民や住民の豊かな生活を守るための地方自治を崩壊させるような司法判断には、到底納得がいかない。

さて、控訴する具体的な理由をいくつか挙げます。
1 今回の裁判で「重大な過失」ということが問われているが、2500万円の損害賠償となった、それぞれの事象は、ひとつひとつは不法行為とはならないが、全体を観察すると「不法行為」としています。重過失がいつの時点であったか判然としません。重大な過失があるときに求償することとなるが、前件控訴審判決でもそれは明らかにされていません。
2 市に損害が発生したということが求償権の論点になるが、実質には明和地所からほぼ同額の寄附があり、実質的に損害の補填があり、求償すれば国立市の二重取りになります。
3 国立市の施策について体現した前市長に対して求償権を行使するのは信義則上許されません。
4 求償権の行使を違法に怠っているとされるが、前市長に重大な過失があるということを、私が容易に認定できるものではありません。

また、下級審で述べられた司法の判断を議会で発言することもできないようなら、司法の独立性もないし、市長として萎縮してしまいます。発言の自由という民主主義が脅かされます。
以上のような理由で控訴します。



この市長発言メモを読んで、まず呆れたのは、関口市長は、今回私たちが提起した住民訴訟の本質を全く理解できていない、ということです。

私たちは、景観保護には大賛成です。住民の景観利益も保護されるべきであると考えています。
こうした価値観は、現在の日本のような成熟した法治国家においては、もはや普遍的なものになりつつあると言ってもいいでしょう。
したがって私たちは、今回の住民訴訟において、当然、景観保護に反対しているわけではないし、明和地所の味方をしているわけでもありません。

私たちが問題にしているのは、あくまで上原前市長の犯した違法行為なのです。

上原前市長の目的がたとえ景観保護のためであったとしても、前市長が明和地所の適法な営業活動を妨害し、その信用を毀損したことが、裁判所の判決で違法行為と認定され、かつその判決が最高裁判所決定により確定した以上、前市長には責任を負ってもらわなくてはならないのです。
日本は法治国家なのですから、法を犯したら相応の責任を負う、というのが大原則です。
前市長の犯した違法行為が原因で、国立市は明和地所に遅延損害金を含めて約3100万円の損害賠償金を支払ったのだから、市が肩代わりしている損害賠償金を前市長が自らの責任で支払うべきである、というのが私たちの主張です。

私たちは以上のような主張について、住民訴訟の訴状・準備書面や、住民訴訟に先立つ住民監査請求においても、繰り返し詳細に説明してきました。
その結果、今回、裁判所は、私たちの主張を全面的に認める判決を下したのです。
したがって当然、関口市長は、被告として、私たちの住民訴訟での主張や今回の判決を読んでいるはずです。それなのに、どうしてこの訴訟の本質が理解できないのでしょうか。
この程度の比較的単純な論点で構成される訴訟の本質が理解できないとなると、地方自治体の首長としての適性を疑われても仕方がないのではないでしょうか。

市長発言メモの前半には、「地方自治、市民自治、住民自治を全く理解しない時代に逆行した考えに基づいた判決である」とか、「景観に対する市民の要求に謙虚に司法も耳を傾けるべきであるにも関わらず、本件損害賠償請求事件裁判においては、原告が提出した前件控訴審の判断のみを理由に挙げ、市の主張を退けている」とか、「もし、控訴しなければ、長年この街の景観を守り続けてきた市民が行ってきた行動そのものを、市が否定することになり、そのようなことはできません」とか、「市民や住民の豊かな生活を守るための地方自治を崩壊させるような司法判断には、到底納得がいかない」とか、いずれも全く的外れな、まさにトンチンカンな記述が連続しています。

すでに最高裁で確定した判決が上原前市長の違法行為を認定し、そのうえで今回の判決は、さらに踏み込んで「上原前市長は、その職務を行うについて、重大な過失により、国家賠償法上違法である本件違法行為をし、これによって明和地所に2500万円の損害を与えた」(判決34頁)と結論付けています。
簡単に言えば、焦点のひとつは、上原前市長の違法行為の有無なのであって、地方自治、市民自治、住民自治云々や、景観に対する市民の要求云々といったこととは全く関係がないのです。

なぜ、「控訴しなければ、長年この街の景観を守り続けてきた市民が行ってきた行動そのものを、市が否定することになる」のでしょうか?上原前市長の違法行為を認めることが、なぜ、景観を守り続けてきた市民の行動を否定することになるのでしょうか?
前者と後者は、全く別の次元の問題です。

また、国立市や国立市民に損害を与えた上原前市長に対して求償権を行使せよと判断した今回の判決が、なぜ「市民や住民の豊かな生活を守るための地方自治を崩壊させるような司法判断」なのでしょうか?
上原前市長の違法行為こそが、市民や住民の豊かな生活に損害を与え、地方自治を崩壊させるものなのです。

関口市長が述べていることは、支離滅裂としか言いようがありません。

(続く)







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関口市長控訴へ、との報に接して

2011年01月07日 23時39分26秒 | 国立マンション訴訟
昨日(1月6日)の読売新聞朝刊によれば、関口市長が1月5日に控訴の手続きを行ったとのこと。

わが国は法治国家であって、三審制が保障されている以上、関口市長にも控訴をする権利があることは言うまでもないことです。ただ、今回の場合、関口市長は個人的立場ではなく、国立市長としての立場で控訴するわけなので、やはり市議会の議決を前提とすべきだと思います。しかし、現行法制のもとでは、市議会の議決を要しないということになります。被告が国立市ではなくて、国立市長だからです。
何ともおかしいですよね。
住民訴訟の被告となるのは、個人としての市長ではなくて、機関としての市長なので、事実上国立市を被告としているのと大きな違いはないのです。
結論から言えば、これは、法の不備だと言わざるを得ません。

私たち原告は、国立市民・納税者としての立場から、上原前市長の違法行為によって国立市が受けた損害を、上原前市長自身の責任で国立市に対してきっちり賠償してもらうことを目的に住民訴訟を提起しました。住民訴訟というのは、原告が勝訴しても原告には金銭的な利益が全くありません。私たち原告は今回の住民訴訟で全面勝訴をしましたが、私たちには一銭の賠償金も入ってきません。私たちは弁護士費用、印紙代・切手代等の費用をすべて手弁当、カンパで賄いました。
まさに、カネも組織もない徒手空拳の市民有志が、国立市民全体の利益のために市政の適正化を実現しようと住民訴訟を提起したのです。
これに対して関口市長は、私たちの血税で賄われている市の公金をふんだんに使って、弁護士を二人も雇ったうえに(その費用としてすで100数十万円も支出しています!)敗訴した結果、市議会の議決を経ずに勝ち目のない控訴をするという道を選択しました。これでは権利の濫用と言われても仕方がないのではないでしょうか。
市長は、公金を使って控訴するわけですから、やはり「住民訴訟で市長が敗訴した場合の控訴・上告に際しては、市議会の議決を要する」というルールを地方自治法に盛り込むべきだと思います。

それにしても、法治主義・民主主義の原則に従いながら、徒手空拳の市民が、法を守らない市長の悪政を正すには、大変な労力とコストと時間が必要なのだ、とつくづく感じます。
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全面勝訴-判決内容の詳細(その5-完)

2011年01月05日 22時48分39秒 | 国立マンション訴訟
判決内容の詳細、第5弾(最終回)です。

今日は、最後の争点についてご紹介します。

(4) 被告が本件違法行為に係る求償権の行使を違法に怠っているか否か

私たち原告は、「関口市長は、市長として地方自治法に従って市の財産を管理すべきであるにもかかわらず、これを怠り上原前市長に対して求償権を行使しておらず、関口市長の不作為は、違法に財産の管理を怠る事実に該当するものである。」と主張しました。

判決は、まず「違法な怠る事実」について、次のような一般論を述べています。
(1)普通地方公共団体が有する債権の管理について定める地方自治法240条、地方自治法施行令171条から171条の7までの規定によれば、客観的に存在する債権を理由もなく放置したり免除したりすることは許されず、原則として、地方公共団体の長にその行使又は不行使についての裁量はない(最高裁平成12年(行ヒ)第246号同16年4月23日第二小法廷判決・民集58巻4号892頁参照)。
もっとも、地方公共団体の長が債権の存在をおよそ認識し得ないような場合にまでその行使を義務付けることはできない上、国家賠償法1条2項に基づく求償権は、債権の存否自体が必ずしも明らかではない場合が多いことからすると、その不行使が違法な怠る事実に当たるというためには、少なくとも、客観的に見て当該求償権の成立を認定するに足りる証拠資料を普通地方公共団体の長が入手し得たことを要するものというべきである。」(判決38頁)


要するに、関口市長の求償権不行使が違法な怠る事実に該当するためには、関口市長が、当該求償権の成立を認定する証拠資料を入手、又は入手し得たという事実が存在しなければならないということです。

判決は、次のように続きます。
(2)前件控訴審判決は、明和地所の国立市に対する損害賠償請求につき、上原前市長を含む国立市らの行為が全体として明和地所の営業活動を妨害する違法な行為であると評価することができる基礎となる事実(以下「本件基礎事実」という。)を認定した上、これにより明和地所に対する不法行為が成立すると判示し、上記損害賠償請求を一部認容したものであり、さらに、国立市長である被告は、国立市が前件訴訟の被告であった以上、前件訴訟における証拠資料をすべて入手していたものと認められる。
そうすると、前件訴訟において提出された証拠により、本件基礎事実を認定することができ、これによれば、上原前市長の一連の本件違法行為が存在し、かつ、これが『本件建物の建築・販売を阻止することを目的とする行為』であると認定することができるのであれば、上原前市長に少なくとも重大な過失があることは容易に認定することができるというべきであるから、被告は、客観的にみて本件求償権の成立及び行使が可能であることを認めるに足りる証拠資料を入手していたものということができるのであり、そうであるとすれば、前件控訴審判決が確定した時点では、被告において、本件求償権を行使することにつき、格別の支障はなかったものと認めることができる。」(判決38~39頁)


ここで、被告側の主張をみてみましょう。
被告は、①本件寄附により国立市の損害が実質的に填補されたから本件求償権が消滅しており、上原前市長に対して本件求償権を行使することが信義則に反して許されないという事情があるほか、②前件控訴審判決において、上原前市長の故意又は重大な過失があるかどうかが判示されていなかったこと、③上原前市長に対する本件違法行為に係る求償権の有無につき、弁護士の鑑定等を実施したが、現時点において当該求償権の有無の判断は困難であるとの結論を得たことから、被告において当該求償権があると判断して、これを行使することは不可能であり、違法に財産の管理を怠っているとはいえない旨主張しています。

しかし、判決は、こうした被告側の主張をすべて退けています。
まず、①については、すでに争点(3)のところでご紹介したとおり、判決は、「本件寄附は、本件損害賠償金を実質的に填補する趣旨でされたものとはいえず、これをもって国立市の損害が実質的に填補されたから本件求償権が消滅したと認めることはできない。」と述べて、被告の主張を退けています。

次に②については、以下のように判示しています。
「確かに、前件控訴審判決は、上原前市長の故意又は重大な過失の存否について明示的な判示をしていないが、前件控訴審判決では、前件訴訟で提出された証拠に基づき、本件違法行為を含む本件基礎事実が詳細に認定され、これに対する法的評価も判示されていたことに照らすと、被告において、前件訴訟で提出された証拠に基づき、本件違法行為につき上原前市長に少なくとも重大な過失があったと認定することは容易であったというべきであり、上記②の点は、前記(2)の判断を左右するに足りるものではない。」(判決39~40頁)
ここでも、被告の主張を退けています。

さらに③については、次のように述べています。
「そもそも被告指摘に係る弁護士による鑑定等結果の詳細は明らかではないものの、前記(2)で指摘した諸点、特に本件求償権の存否が本件違法行為の存在とこれに対する上原前市長の故意又は重過失の存在を中心とする事実認定に係るものであることに照らすと、上記のような弁護士による鑑定等結果があることから、被告において本件求償権があると判断することが困難であったとはいえないというべきであり、むしろ、前記前提事実及び証拠によれば、原告の平成21年2月27日付け住民監査請求に対する国立市監査委員の監査結果に関する平成21日4月24日付け決定においても、被告が上記のような弁護士による鑑定等結果を得たことも考慮した上、なお『損害賠償金等を支払った後この1年間の行政の対応は、請求人が指摘した視点から鑑みれば十分とは言えず、最高裁判所の上告棄却等決定により確定した東京高等裁判所判決に基づく公金支出について、その求償可能性の検討もせず、その権利があるとした場合の行政としての対応も検討がなされていないと決め付けざるを得ない。』と指摘されていることを併せ考慮すれば、上記③の点をもって、被告において、本件求償権を行使することにつき、格別の支障があったということはできないというべきである。」(判決40頁)
このように、やはり被告の主張を退けています。

そして、争点(4)に対する判断として、判決は「よって、被告による本件求償権の不行使は、違法な怠る事実に当たるというべきである。」(判決40頁)と明確に述べています。

何度読み返しても、素晴らしい判決だとつくづく思います
これまでにご紹介したように、私たち原告の主張がすべて認められていて、被告側の主張は悉く退けられています。
まさに全面勝訴の判決ですね

最後に、判決理由の最終頁に述べられている結語をご紹介しましょう。

「以上によれば、国立市は、上原前市長に対し、本件求償権に基づき、3123万9726円及び之に対する本件損害賠償金の支払日の翌日である平成20年3月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができるところ、被告において本件求償権の行使を違法に怠っているものといわざるを得ない。よって、原告の請求は理由があるから認容することとし、訴訟費用については、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条、66条を適用して、主文のとおり判決する。」(判決40~41頁)
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全面勝訴-判決内容の詳細(その4)

2011年01月04日 22時54分03秒 | 国立マンション訴訟
判決内容の詳細、第4弾です。

今日は、争点(3)からですね。

(3) 本件違法行為による損害賠償義務の履行による国立市の損害に対する実質的填補の有無又は求償権行使の信義則違反の成否

まず、上記争点(3)の「本件違法行為による損害賠償義務の履行による国立市の損害に対する実質的填補の有無」ですが、これは、明和地所が国立市から受け取った損害賠償金と同額の寄附を国立市に対して行ったことが、国立市の損害に対する実質的な填補になるか否かが争点となっているという意味です。
もちろん、私たち原告は、明和地所の寄附はあくまで国立市民のための教育・福祉の施策の充実にあててほしいとの趣旨の一般寄附であって、明和地所は損害賠償金に係る債権を放棄したわけではないから、この寄附が国立市の損害を填補するものではない旨主張しました。

この点について、判決は次のように述べています。
「本件寄附は、国立市による本件損害賠償金の支払を契機として行われたもので、本件損害賠償金と同額のものではあるが、①明和地所においては、本件損害賠償金に係る債権を放棄してこれを返還することは明示的に拒絶し、国立市における子供たちの教育環境の整備や福祉の施策等に役立ててほしいとの趣旨を明示して拠出されたものであり、②これを収受した国立市においても、本件損害賠償金の返還ではなく一般寄附として取り扱ったものであること、③明和地所は、本件寄附の申出前には、国立市が同社に対して本件損害賠償金に含まれていない前件訴訟の訴訟費用に係る請求をするのであれば、本件損害賠償金相当額から当該請求額を差し引いた額を寄附する旨述べ、結果的に、国立市が前件訴訟の訴訟費用に係る請求を放棄することを事実上の条件として本件寄附の金額が確定したことに照らすと、本件寄附は、本件損害賠償金を実質的に填補する趣旨でされたものとはいえず、これをもって国立市の損害が実質的に填補されたから本件求償権が消滅したと認めることはできない。以上の認定に反する被告らの主張は、理由がなく採用することができない。」

このように、ここでも私たちの主張が全面的に認められています

次に、争点(3)の後半部分の「求償権行使の信義則違反の成否」ですが、これは、被告側が「本件違法行為は、上原前市長が国立市とともに同市の景観施策を実現するために行ったものであるから、本件求償権を行使することは信義則に反して許されない」と主張したことから、争点となったものです。

被告側の主張に対して、私たち原告は、以下のような主張をしました。
被告関口博市長は、公務員であり全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない。関口市長は、法令に従い住民全体のためにその職務を執行すべき地位にあるのであって、自己の政治信条に与するものの利益のために職務の執行を怠ってはならない。例え、関口市長と上原前市長とが景観の保護という政策目標、政治信条が一致するとしても、関口市長がが上原前市長に対して求償権を行使しないことは住民全体の利益を犠牲にして自己と党派を同じくする上原前市長の利益を守ることであり許されるものではない。関口市長が上原前市長に対して求償権を行使しないことこそ、国立市民に対する信義に反し、市民全体に対する利益について公平に反するものである。
国立市が上原前市長の違法行為により受けた実質的な損害は、明和地所に支払った損害賠償金にとどまらない。国立市は上原前市長の本件違法行為による裁判手続に応訴するため弁護士費用だけでも金3918万0904円を公金から支出している。さらに、国立市は、通常であれば、国立市開発行為等指導要綱に基づきマンション建設事業主から清掃施設整備協力金及び公園緑地整備協力金の納入を得られるところ、上原前市長の違法行為により国立市は明和地所と同要綱に基づく協定書を作成できず、総額金7881万2000円の協力金の納入を得られていない。この結果、国立市は上原前市長の違法行為により、原告らの知るところだけ でも損害賠償金以外に金1億1800万円近くの損害を蒙っており、明和地所の寄附金は何ら損害の補填とはならないものである。
よって、国立市が上原前市長に対して求償権を行使することは被告のいう信義公平の原則に反しない。
    
この争点について、判決は次のように述べています。
「上原前市長は、普通地方公共団体の長として行政目的を達成する上での中立性・公平性が要請される立場にありながら、建築基準法に違反しない適法建築物である本件建物の建築・販売を阻止することを目的として、少なくとも重大な過失により、自ら主体的かつ積極的に一連の本件違法行為に及び、これにより明和地所に損害を与えたことから、国立市を相手とする前件訴訟を提起され、国立市において明和地所に本件損害賠償金を支払わなければならない事態を招いたものであり、上記一連の行為により国立市が受けた経済的不利益は本件損害賠償金にとどまるものではないことに照らすと、国立市が明和地所から本件寄附を受けたことや国家賠償法1条2項が公務員に軽過失があるにとどまる場合に求償権の成立を認めない趣旨等を考慮しても、なお国立市が上原前市長に対して本件求償権を行使することが信義則に反するとはいえないというべきである。したがって、被告らの上記主張を採用することはできない。」(判決37~38頁)

ここでも、私たち原告の主張がすべて受け入れられています
痛快ですね
まさに胸のすくような判決です

今日はここまでにしておきましょう。
(続く)

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全面勝訴-判決内容の詳細(その3)

2011年01月03日 23時55分49秒 | 国立マンション訴訟
明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、判決内容の詳細、第3弾です。
今日は、争点(2)からですね。

(2) 本件違法行為による明和地所の損害の有無及び額

上記の争点(2)について、まず、上原前市長の営業妨害による損害を判決は次のように認めています。
「明和地所は、本件違法行為により、本件建物の住戸について、本来売却できたものが売却できず、また、売却できたとしてもその売却時期が遅れ(例えば、明和地所が本件建物を販売するに当たり、飲料水、電気及びガスの供給のための施設の整備の状況等について宅地建物取引業法35条1項4号により顧客に説明する必要があるところ、上原前市長による電気、ガス及び水道の留保要請行為により給水の確約ができなくなり、購入を検討している顧客にも不安を与え、販売時期の見込みに影響を与えたことは経験則上十分考えられる。)、その結果、一定の損害を受けたことを優に推認することができるが、その具的的損害額については、本件建築物の既存不適格化、明和地所による強引とも評されかねない営業手法、桐朋学園らによる適法な反対運動部分、それらについてのマスコミ報道等による影響等を考慮する必要があり、その性質上その額を立証することが極めて困難といえるから、民事訴訟法248条により、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき相当な損害額を認定することとし、上記の損害額は1500万円と認めるのが相当である。」(判決32頁)

次に、上原前市長による信用毀損行為による損害を以下のように認めています。
「明和地所は、本件第3行為及び本件第4行為により信用を毀損された結果、一定の損害を受けたことが認められるが、その具体的損害額は、その性質上その額を立証することが極めて困難であるから、民事訴訟法248条により、明和地所の通常の売上高を始めとする過去の実績、企業規模及び市場規模なども合わせ考慮した口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき相当な損害額を認定することとし、その損害額を1000万円と認めるのが相当である。」(判決33頁)

今回のこうした認定は、明和マンション裁判の東京高裁判決(2005年12月19日)における損害額認定を踏襲しています。

ちなみに、民事訴訟法248条は、損害額認定について次のように規定しています。
「損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。」

この規定を根拠に、今回の損害額が認定されています。

以上をまとめて、判決は、上原前市長に対する国家賠償法1条2項による求償権の成立について、次のように判断しています。
「上原前市長は、その職務を行うについて、重大な過失により、国家賠償法上違法である本件違法行為をし、これによって明和地所に2500万円の損害を与えたから、国立市は、明和地所に対し、国家賠償法1条1項による損害賠償責任を負うものと認められる。そこで、国立市は、平成20年3月27日、明和地所に対し、前件控訴審判決で認められた不法行為による損害賠償金2500万円及びこれに対する平成15年4月1日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金623万9726円の合計3123万9726円(以下「本件損害賠償金」という。)を支払ったことにより、上原前市長に対し、国家賠償法1条2項により、これと同額の求償権(以下「本件求償権」という。)を取得したものと認められる。」(判決34頁)

筋の通った、とても明快な判決ですよね

今日はこのくらいにしておきましょう。
(続く)

コメント (2)
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