吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

電気自動車を笑う

2012年05月02日 | 

電気自動車の話。

うちは「食品と暮らしの安全」という雑誌を購読しています。
これはNPO法人 食品と暮らしの安全基金(旧 日本子孫基金)というところが発行しているも
のです。
特にスポンサーが無いのでかなり報道は自由です。
日本のメディアの中ではほぼ唯一、最初から「人為CO2による温暖化説」に対して否定的な立
場であったり、最近では食事のミネラル不足を「新型栄養失調」と名付けて警告したりしていま
す。

さて、この雑誌で国産の最新の電気自動車の試乗記がありました。
これがケッサクだったのです。
先の充電池の話から続くのですが、僕らが10数年以上前に充電工具で経験したあの不快な
思い出の再現だったからです。

記事の内容をざっくりと説明します。

電気自動車のレンタカーで埼玉・東京・神奈川を2日間計307km走行。
もう二度と、乗りたくありません。

だって!笑わせてくれます。

埼玉市から充電ポイントの東名海老名SAまで76km、バッテリー残量計は12段階の「9」、走
行可能距離表示は119km。
ところが東名横浜あたりでバッテリー残量は「1」に
「目的地に到達できない可能性があります」
とカーナビが女性の声でアナウンス。
走行距離を稼ぐためエコモード、つまり寒い時期にもかかわらずヒーターカット、速度を落として
震えながら、電池切れの恐怖に怯えながら、走行可能距離残り6kmで海老名SAに到着。そこ
であらかじめ登録が必要な充電30分100円。
残量は「8」に、さらに充電あ可能だけれど時間的に待てないので発進。

翌日は神奈川から埼玉へ一般道使用で。条件は昼間走ること。なぜなら、自動車メーカーの営
業所や役所で充電する場合、営業時間が限られているから。
埼玉の事務所から4km先のレンタカー店まで行くのに、残量が少なかったので10分充電して
残量「2」、ところが大渋滞でバッテリー残量がどんどん減っていくのでやはりヒーターカットで寒
さと電欠(新しい用語だね)の恐怖に耐えつつ、残量「0」で店に到着。
307kmの間に5回の充電、一回10分から40分。

いやあ、ビンボーでガス欠ギリギリドライブの経験があるワタクシにはこの方の不安な気持ちが
痛いほどわかります。
駆けて行って肩を抱きたいくらいです。
うちの軽トラでも一回の給油で400kmはゆとりで走ります。307kmで5回も充電が必要なんて
使えませんね。

この電気自動車のヒーターは4000wだって!電気ヒーターで湯を沸かしてそれで暖房するん
だって!
寒冷地仕様では5000w、さらにシートヒーター、ドアミラーヒーター、ステアリングヒーター
(!!!)まで付くそうです。マジですか?

この車はトランスミッション無しの電気自動車で、価格が376万円以上、国からの補助金が最
大78万円。いやあ、ふざけた話です。
電池代はともかく、エンジンも積んでるハイブリッドカーよりも遥かにシンプルな制御系なのに。
最近の大容量の電気(高電圧大電流)の制御装置はかなり安くなっているのに。
原価は結構安いんじゃないのかな?
この車ってスペック見たら車重が1.5t(車両重量1520kg、総重量1795kg)もあるのね。平地
はともかく、坂があると大きく走行可能距離は低下しそうですね。

僕らも充電池の残量表示とか、作業可能量の目安とか、その辺には随分と裏切られたもので
す。目盛がひとつ減ったくらいだと思ったらあっという間に空になったり。
「あくまで一定条件下での目安であり、実際にはそれを下回ることがあります」ってな一文は付
いていましたけどね。
まーだ同じようなことやってるんだねえ。

近距離移動を主体とする自治体などがこの車を購入しているそうです。
景気のテコ入れ?癒着か利権?
ま、エコですね、エコノミー。間違ってもエコロジーじゃありませんよ。

少なくても僕が購入候補に入れることは絶対にありませんな。
初期の製品、特に電気モノ(特にコンピュータ関係では顕著)を購入する人を、一部では「人柱」
と言います。いけにえです、犠牲ですね。
初期不良のテストとなって、後の製品の熟成に寄与する尊い方々です。
電気自動車の場合、バッテリーが最も未完成な部分で、これは後からでも更新出来る可能性が
高いので、リスクはやや低いというところでしょうか。

僕の知る限り、電気自動車で使い物になっているのは、コミューターという範疇に属する小型軽
量な乗り物くらいです。
アメリカの電気自動車(エンジン付きだけど、エンジンは純粋に発電にしか使わないヤツ)もポ
シャったようですしね。

車って、どうしても対米輸出があるので、大型化しやすいのですよね。
電気自動車だって大手メーカーが必要最小限のサイズで作ってくれればありがたいのですけど
ね。

というわけで、次回は小さな車。


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4 コメント

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電気自動車 (tachinon)
2012-05-03 12:36:03
 いやぁ、やっぱりそうなんですか。それにしても、ヒーターがガソリン車のものを流用してヒーターでお湯を沸かすなんて・・・直接ニクロム線でも使えばよいものを・・と思うのですが・・。 この前の震災のとき、発電機をまわして、電気釜でご飯を炊いているのをみましたので、・・そんなものかな現代人は(笑)
 鉄道では、特にアメリカあたりでは、ディーゼルといえども、結局「発電機を積んだ電気機関車」ですものね。やっぱり発電機のトレーラーですね。(笑)
 それとも高速道路に充電用の低速路線を作って、トロバスのようにポールを上げて充電しながら走るとか・・・結局発電機を積まなければ、『管理された範囲内』でしか動けないんでしょうね。
 しかし、その範囲内でならば、トータルのエネルギー効率をあげられる可能性がある・・・と言うことなのでしょうね。
もう少し「枯れた技術」の組み合わせでつくれば、うまくいく様な気がしないでも・・・。

 電気と言えば、この前職場の暖房費と冷房費の再検討をしようということで計算してみたんですが、暖房は灯油代なので、そのまま燃料消費率から積算可能(電気代はネグレクトできる割合)でも、冷房は、電気代なので、施設の大きさとか、契約電力などで基本料金もあるし、施設ごとにかなり変わってきて、「kwhでいくら」という統一単価を簡単に計算して出しずらいため、結局諦めたのでした。
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Unknown (G.OKA)
2012-05-05 23:32:25
こんばんは
>次回は小さな車。
↑これに期待してます。
返信する
汚い電気 (ひろにゃんof風琴屋)
2012-05-10 07:19:01
tachinonさん、ようこそ!返事が遅くなってすみません。

ヒーターに熱媒体を使ったのはそれなりの計算の上だと思います。
電気って実は「そこそこの熱」を得るのが苦手科目ですからね。
それにしても、寒冷地オプションとはいえステアリングヒーターなんて
ものまで装備するのは驚きです。

電気関係では、インバーターやトランジスター(サイリスタを含む)な
どの制御技術は急に進歩していますが、電池はまだまだですね。
高効率の蓄電技術は電気供給業者の立場を脅かしかねないので、開発が
妨害されているという噂もちらほら…。

路線バスのように決まったルートを走るものには電気自動車は良いで
しょうね。
急速充電よりも、バッテリー交換の方が電池には優しいでしょう。
これも充電工具では経験済みです。
営業所なんかで、台車に乗っけた巨大なバッテリーパックを簡単に交換で
きるようにして、充電はゆっくりと行うというやり方です。

電気料金なんて本来計算し易そうなものですが、いろいろと複雑なこと
をしてケムに巻いていますからね。
そもそも総括原価方式なんてふざけた方法をとっていますし。

僕は電気がクリーンでエコだというのは「見ぬもの清し」だと思ってい
ますが、これは発電手段の実際(原発はどう考えてもクリーンじゃな
い)に加えて、その周りで蠢く金の亡者の汚さも含みます。
これからどんどん明るみに出るでしょう。
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Unknown (ひろにゃんof風琴屋)
2012-05-10 07:21:47
G.OKAさん、ようこそ!返事が遅くなってすみません。

小さい車ネタは自作方面まで続く予定です。
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