今年も四分の一が過ぎ、もうすぐ半分終わろうとしているわけだが、実を言うと最初の3ヶ月は就職浪人であった。もっと正確に言うと去年から4ヶ月なのだがまあそれはいいとしよう。
就職活動というのは当然ながら相手があるものなので自分のペースでは活動できず、必然的に待ち時間が生じてくる。
高齢になればなるほどオファー自体が減ってくるので、待ち時間が大半となり、就職活動と言いつつほぼ自宅待機みたいな状態になる。
ご多分に漏れず僕もそういう状況だったわけだが、どうせ暇なのでいろいろ本を読んだ。大きく分けると小説20冊といわゆるビジネス書20冊だ。
どうせならビジネス書40冊読んどけよと言われれば全くその通りなのだが、人間娯楽も必要なのよ。
そんなわけで読んだ20冊のうち、3冊がドラッカーの「マネジメント」上、中、下巻だ。最初は図書館で借りた初版本を読んでいたのだが、なにせ40年近く前の翻訳なので言い回しが古く読みづらかった。とはいえ、かなり為になることもおおかったし、手元に置いておく類の本だろうと判断したのと、内定が出た勢いも手伝って、上中下巻を一気に購入。
で、読んでみたら驚き・・・
読みやすいじゃん。
訳が違うとこんなに印象が違うものなのか。
もちろんこれは初版本の訳者のせいではない。自分がこの手の本を読み慣れていないということがいちばん大きいかな。それに比較してみると、初版本は原書の完全直訳に近いが、現行売られている版は読みやすくするためかかなりはしょっている箇所がある。現代人はあまり文字を読まないということなのか。
などという自分の不出来を一般現代人の中に埋没させてしまおうという姑息な考えを抱いている訳なのだが、そんな姑息さが吹き飛んでしまうくらいはしょっているどころか、キーワードだけ抜き出して別の物語に仕上げてしまったのがこの本。
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら 価格:¥ 1,680(税込) 発売日:2009-12-04 |
本屋で見かけたときは「どうなのよこれ?」と思ったが、アマゾンビジネス書ランキングで発売5ヶ月を経過したにも関わらずトップ10圏内をキープ中である。
この本のことはマネジメントを買う前から知ってはいたが手は出なかった。
だって、ビジネスマンがこんなの読んじゃったら負けだろう。
アマゾンのレビューを見るとたくさんの人たちが絶賛している。
きっとそれは本当のことなのだろう。
でもやっぱりこれは読んじゃいかんだろう。
読んでいないのでわからないが、主人公が読んでいたのはマネジメントのエッセンシャル版、まあこれを読むのはいいと思う。僕も失業して毎日暇な状況でなければ、こっちを選んでいた可能性が高い。いや、たぶん勉強しないくせに意地っ張りだからどっちも読まないという最低の選択をしていたと思う。
この本を読む人たちはたぶんドラッカーはここでお終いだろう。
書いている人も出版社もおそらくそれはわかっている。
わかった上での確信犯なのだ。
そういう意味では勉強したいけど結局しない人たちをピンポイントにとらえたマーケティングの勝利といえる。
うーん、凄いと思うけどなんか真似する気にならないなあ。
企業として与えられたミッション(売上確保)をこなすためにあらゆる手段を講じるのは当然なんだからやるべきなんだとは思う。
でもこういうやり方はあんまり好きじゃない。
売れなきゃよかったのに・・・
でも見事に当たっちゃったよね。
当たっちゃったものはしょうがないので、せめてこれを読んだ人たちがドラッカー自身の著作を読んでくれることを願います。
こんな偉そうなことが書けるのも、就職浪人で暇していたおかげです。
そういう意味では結構得難い時間を過ごしていたのかもしれない。
定期的な収入があるなら悪くない生活だと思う。
・・・って矛盾してるな。
でも、実を言うとこの本読んでみたい。ドラッカーの教えをどんなふうにストーリーに織り込んでいるのか興味津々だ。
表紙の女の子もかわいいし。
・・・結局そこかよ。