もちろん家計は火の車

読書と映画、クルマにゲーム……いろんなものを愛しつつ、怠惰な日常を送るオッサンのつぶやき。

『エイリアン ~地球殲滅』(スティーブ・ペリー)

2005年06月14日 | 
 先日見たシャマランの映画『サイン』のショックが抜けない。というか、ありがちな“異星人侵略モノ”としても、やっぱあんまりだろう、あれは……。というわけで、なんか口直しになりそうなものは? と本棚をあさっていて見つけたのが、この本。SF界の王道である“異星人侵略テーマ”でこの本を選んでしまうあたりが、私という人間の「どうしようもないB級志向」を物語っているが、まぁ仕方がない。実際そうなんだから……(笑)。
 『エイリアン』シリーズといえば、R・スコットが監督した第1作にはじまり、J・キャメロンの『エイリアン2』まで順当に進化しつつ、D・フィンチャーの撮った『3』以降、今に至るも迷走を続けているSFホラーだが、この本『エイリアン ~地球殲滅』(スティーブ・ペリー著/角川ホラー文庫)は、同シリーズの設定を利用しつつ、独自の解釈でストーリーを発展させた、いわば“外伝”的作品である。枠組みとしては、映画『1』のあと、独自に物語を発展させてあるイメージなのだが、マニアにとってお馴染みの悪徳企業「ウェイランド・湯谷」社が登場しないなど、かなりオリジナルな物語となっている(ちなみに「ウェイランド」社は、映画『エイリアンvs.プレデター』には、ちゃんと登場してましたな・笑)。
 で、『エイリアン ~地球殲滅』であるが、この本の何がすばらしいかというと、いわゆる「映画版権モノ」の小説にありがちな、設定でがんじがらめにされた窮屈さから、きれいサッパリ解き放たれている点。サブタイトルを見れば明らかだが、ラストには地球が殲滅される(ネタバレとかいうのではなく、表題で最初から明らかにしているのもすがすがしい)。もう、続篇のこととか、そういった細かい配慮一切ナシの、「オレ様が書きたいように書いたら、こうなった」的世界である。ま、あの凶暴なエイリアンとガチで戦争したら、こうなるだろうなぁ……的展開ではあるのだが、なかなか私好みの物語だったりする。知名度という点では、「ほとんど無いのも同じ」小説だが。
 それから、シャマランではないが、本作にはある種の“仕掛け”が施してあるのだが、これがなかなか秀逸。というか、シャマラン御大は、自分で脚本料1000万ドル取るくらいなら、その金でスティーブ・ペリーを雇ってはどうか? ほんと、あの“巨人型宇宙人”(映画版『1』の遺棄船の中で、ミイラ化してた宇宙人ね)を、そういう風に利用するかと……。これには、「1本取られた!」の一言である。ドンデン返しってのは、こうでなくっちゃね!!


 
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