vagabond の 徒然なるままに in ネリヤカナヤ

エメラルドグリーンの海,溢れる太陽の光,緑の森に包まれた奄美大島から,乾いた心を瘉す写真をお届けします。

砕け散る波

2006-01-21 22:48:47 | ネリヤカナヤの海・空
奄美の冬の海,特に東シナ海側は荒れやすい。
今日の奄美地方も大荒れの天気。
こんな日は,砕け散る波を見に行くに限る。

写真は,名瀬港の入り口に鎮座する「立神(たちがみ)」。
立神は,海の守り神であるとともに,陸に住んで海の恩恵に与る人々の守り神でもある。
島唄の「行きゅんにゃ加那」で,
♪鳴きゅん鳥ぐわ 立神ぬ沖なんて 鳴きゅん鳥ぐわ
吾きゃ加那兄が 生き魂 スラ 生き魂
(立神の沖に鳥が一羽が鳴いています。
あれは私の愛おしい方の生き魂に違いありません。)♪
と唄われたり,新民謡の「島育ち」にも登場する。
(ちなみに,島唄は,口伝芸能のため,歌詞が無数にあって,上に紹介したのは,そのうちの一つ。)

この立神,名瀬の中心地から海を臨むと真正面に見えて,神々しさすら感じる。
実は,上の写真で,波が砕けているのは,立神にぶつかってではなく,その手前にある防波堤にぶつかってなのである。
今日は,波の高さは3~4m程度だったようだが,立神の周りではほとんど波濤が立っていない。
防波堤があるからこそ,港内が一層穏やかになっているとは思うのだが,そもそも防波堤が本当に必要なのか,とも思わなくはない。
防波堤が無い時代,人々にとって,立神はもっともっと神々しく見えたに違いない。
そういえば,田中一村も,奄美へ渡ってきたとき,名瀬港に入港したという。
一村の目に,立神はどのように映ったのだろうか。
写真は,tokorinさんから教えてもらった,山羊島の旧道からの眺め。
左奧に小さく立神が見える。
晴れれば,海と空の輝きは格別。
手前の岩に波がぶつかって砕けているが,あまり迫力が出ない。

視線を少し左へやると下の写真のような感じ。
寄せ来る波の群れは,いつ見ても,何度見ても飽きない。
なお,立神は,拙ブログで以前紹介した枕崎の立神岩以外にも,全国各地にあるようで,こちらのサイトに詳しく紹介されている。
これによると,圧倒的に鹿児島県と長崎県に多いのだが,両県はそれだけ複雑地形が多いということか,それとも「立神伝説」のルーツが九州にあるということなのか,その辺りは謎である。

ところで,「行きゅんにゃ加那」のことを書いたついでに,先週の日曜日(2005年1月15日),名瀬市中央公民館で行われた「第21回 かさん唄ぬ夕べ」の感想を。
当原ミツヨさんの「長朝花節」を皮切りに,約30人の唄者(笠利町,龍郷町,名瀬市在住者)による歌い初めは,なかなか楽しめた。
島唄の上手い下手というのは,実は,私は良く分かっていないが,雰囲気的には,修行中の方々のおさらい会のような側面もある催しかと思った。
ただ,内容的には非常に楽しめた。
当原ミツヨさん(平成元年日本民謡大賞受賞者)のように,押しも押されぬ唄者の方も出演しており,息を潜めて聞き入ってしまう。
一方,大半が,サトウキビを栽培したり,漁業をやられたりといった雰囲気の方々で,それぞれの唄が,それぞれの生活や生き様に密着したもののようで,実に味わい深いのである。
ステージに立つだけで,(気のせいかもしれないが)ほのかにお酒の匂いが漂ってくるような人もいて,それはそれで雰囲気がある。
80歳を越えたおばあが,張りと艶のある声を披露していたのも圧巻だった。
そして,何より,聴衆の「鑑賞態度」が,食べたり,おしゃべりしたりで,実にルーズで良い感じなのである(さすがに,焼酎を飲んでいる人はいなかったが!)。
やはり,島唄は,生活や命といったものに密接に関係した,生きた芸能で,そもそもが,公民館やステージという箱物に入れてしまうこと自体が,無理があるのかなとも思った。
そういえば,元ちとせが,あるアルバムのライナーで,「島唄をレコーディングすることはしない。なぜなら,島唄は,生活や生き方自体と深く結びついたもので,お金を稼ぐ手段にしたくないから。」という趣旨のことを言っていたっけ。ふとそんなことも思い出した。

島唄の楽しみ方は,小人数で,黒糖焼酎を飲みながら,順番に唄を歌っていく「唄あしび」(「あしび」とは『遊び』のこと)に真骨頂があるのだろう。
そんな島唄,もう少し深く知ってみたいと思った。
★同じメンバーで,1月29日(日)13:30~16:00 奄美パークで,「島唄(かさん唄)への誘い」というイベント(無料の模様)をやるようなので,興味のある方は足を運んでみてください★
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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
天気悪いですね (FORTUNE)
2006-01-22 01:30:00
週末に限って(?)ひどい天気ですねぇ。そんな中、写真を撮られにお出かけされてエライ!



「かさん唄ぬ夕べ」待ってました!リポートありがとうございました。なかなか島唄を直に聴く機会のない私にはうらやましいです。

早く三味線を習いに行かなくては!

返信する
波の音が・・ (e-mon)
2006-01-22 01:43:06
聞こえてきそうな臨場感ですね。



今日また黒糖焼酎を飲んでしまいました。

私が奄美の有名な焼酎なんだよと言ったら

そこにいた全員で『朝日』を飲むことになりました(笑)

周りで賑わってますよ。

島唄聞きながら飲むのもおつな感じですね~
返信する
大阪は・・・ (あさちゃん)
2006-01-22 18:46:54
こんばんは。

大阪の21日土曜日はの予報だったのですが、天気が良く暖かでした。

それでも3時過ぎになるとのようなものが降っている?って感じで寒くなりました。



今日も天気が良く絶好の日和で夕方まで一日遊びました。



奄美でも日本海のような冬の荒れた海、天気だったようですね。

暖かかったり寒かったりするのでしょうか?

体調崩しそうですが、お気をつけください。
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FORTUNEさんへ (vagabond67@管理人)
2006-01-22 21:46:03
天気が悪い日は悪いなりの写真も撮れるかな,と思って出掛けました。

もう少し,波濤が高いと写真も樣になるのですが,この程度でした。

あまり高いと高潮被害もでかねないので,贅沢を言ってはいけませんね



島唄,やっぱり味わい深くて良いですよ!

是非,三味線のお稽古始めてください。期待しています!!
返信する
e-monさんへ (vagabond67@管理人)
2006-01-22 21:51:25
おぉ!

大阪でも黒糖焼酎盛り上げてくださってますね!!

素晴らしい

大阪の方は,結構,味にはうるさいですから,皆さんのお気に召して頂ければ幸いです。

さすがに,島唄と三味線は出てこなかったのですね

ここ奄美では,観光客が多い店では,ゴールデンタイムには,唄者を呼んで,3,4曲聴かせる店も増えてきています。

私も,そういった店も時々利用しますが,観光客相手でも(ちょっと失礼な言い方かもしれませんが),かなり真剣に唄っていて,楽しめます。

もちろん,最後は六調(ビートの効いたノリノリの島唄)も出ますしね!
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あさちゃんさんへ (vagabond67@管理人)
2006-01-22 21:54:55
こちらは,天気が悪くても,20度近くまで気温が上がるので,それほど寒くはありません。

特に,私は奄美1年生で,まだまだ「寒さに強い」ので,写真のような天気でも,長袖シャツ一枚で平気です。

奄美で生まれ育った方は,20度を切ると,即,石油ストーブをガンガン焚きますが



テニスかぁ,久しぶりにやりたくなったなぁ。

もちろん,奄美にもテニスコートはちゃんとありますよ。ご心配なく
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