Ciao,マリィナです。DOLの全天走査計画MDSS(マリィナ・デジタル・スカイ・サーベイ)。今日の研究編では、明るさやα、βと言った星の呼び方に関するあれこれをお話します。簡単なようでいて、ちょっと資料の読み込み不足でわかりにくいところがあるとは思いますけれど、どうかご了承いただけたらと思います。
コンビニで買い物をした時にくじを引くことになって缶コーヒーが当たったのはいいんですけれど…普段まったくコーヒーを口にしないので、頭が痛くなっちゃって…ちょっと気分も悪いので説明の行き届かない部分に気づいてないかもしれません。馴れないものは飲むものじゃないー*>ω<)"
気を取り直して早速話題に参りましょうー。
◆固有名詞
例えば冬の大三角形は
・オリオン座のベテルギウス
・おおいぬ座のシリウス
・こいぬ座のプロキオン
という名前のついた星々でできています。
明るい星ですとか、面白い形を作っている星、また位置的に重要と考えられるような星には固有名詞がついていることが多いです。
◎冬の大三角形の星々
こと座のベガはアラビア語で落ちる鷲を意味する言葉に由来があります。
シリウスはギリシャ語で焼き焦がすものを意味する言葉に由来があります。
北極星はラテン語でポラリスといいます。
だいたいアラビア語、ギリシャ語、ラテン語です。最近では『ピストル・スター』のようなのもありますが…(笑)例外はくじゃく座のα星ピーコック。これは英語です。
でも、プトレマイオスのまとめた星表がだいたい元になっているそうですから、ギリシャ語が多いですね。
変わり種はいるか座の星。ラテン語なんですけれど。
◎いるか座の星スアロキン、ロタネブ
「ロタネブ(Rotanev)」と「スアロキン(Sualocin)」の二つの星です。
Rotanev Sualocin←|→nicolauS venatoR
これ、人の名前なんです。
イタリア人の天文学者の名前をラテン語表記にして反対からつづったものなのね。
◆星の取り決め…符号と等級
1:アルファ、ベータ…バイエル符号
オリオン座のα星はベテルギウスです。
おおいぬ座のα星はシリウスです。
星を明るい順にα(アルファ)、β(ベータ)などと使うのはご存じかと思います。こういう風に付けたのはバイエルという人がした仕事で、星座ごとにだいたい明るい順に付けられています(バイエル符号)。
ただし、88星座が定められる以前にこれらはつけられました。88星座の取り決めについては今度『星座とは』に書きますが、星座を線ではなく範囲でくくるようになりました。その結果アルファがなくなったりβから始まったりする星座もできました。
なお、実際の等級を比べると、オリオン座やふたご座のようにαよりβのほうが明るいパターンもあります。
◎ふたご座のカストルとポルックス。それぞれα星、β星だがポルックスのほうが実際は明るい
2:??座××番星…フラムスティード番号
それから、SFなどでよくありますが…「ペガスス座51番星」「はくちょう座16番星」などというように番号が付けられた呼び方もあります。
これはα、βの呼び方とはまた違った法則で、現在はおもにギリシャ文字の当てられていない星に使います(文字つきの星も数には数えられています)。
範囲で括った星座の右(西の端)から番号を付けるのがこのよびかたです(フラムスティード番号)。
◎しし座の一部の星についてフラムスティード番号を付加
3:等級
アルファ、ベータ、1番、2番といういいかたの他に「一等星」「二等星」というのもあります。これは紀元前1世紀以前のヒッパルコスというひとによる、明るさ比べが元になっています。
彼らが生きていた時代は街のネオンなどありませんから、町外れにでも行けば純粋に真っ暗な夜空を見上げていたに違いありません。
ヒッパルコスは星々の明るさを観察しました。光の量を実測することはできませんでしたが、そのかわり肉眼で観察し、星の明るさをお互い見比べることによって一等から六等まで分類しました。
その後、望遠鏡の発明によって六等よりも暗い星がみつかったり、星の明るさを量的に分析できるようになって、星の明るさにはどうやら法則性があることが分かりました。一等星と六等星では明るさに100倍差があるようなのです。
これを計算して、一等上がるごとに約2.5倍の明るさとなることを定義づけた結果「0.2等」のような小数点以下の等級が生まれることになりました。
◎しし座のレグルス(Regulus)とデネボラ(Denebola)はそれぞれ1等星、2等星
まとめ:
星の呼び名を総合すると、たとえば北極星は
「こぐま座1番星」「こぐま座α星」「ポラリス」などとなり、明るさは二等です。
◆本当の明るさ
「きつとみんなのほんたうのさいはひをさがしに行く、どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行かう」(青空文庫『銀河鐵道の夜』より)
地球から見た星の明るさは大気とそのゆらぎによっても変わります。そもそも星は遠かったり近かったりしますので、明るく輝いている星だからといって必ずしも近い場所にあるとは限りません。宇宙にただようちりの雲で光がさえぎられることだって普通にあります。
途方もない遠方にあるのに一等星として輝いている星として、たとえばはくちょう座のデネブがあります。1500から3200光年の距離だろうといわれています。これより近くても暗い星はいくらでもありますよね。
つまりあかるさというのは距離だけで決まるものではないわけです。
その星のほんたうのあかるさとは何でしょう?
同じ星でも遠くなればなるほど光の明るさは減ります。近づけば明るくなります。手元のランプも遠くに置けば暗くてランプの役になりません。
一つの光源でも距離によって変わるこうした「相対的」なあかるさ。これを、とある一点の距離に置いたと仮定して計算し、その数値を持ってその星の絶対的な明るさとして定義することにしました。
そうすれば距離に関係なく星々の明るさが決まり、互いの星の明るさを比べることが可能になるわけです。
こういうのを『絶対等級』といいます。
◎32.6光年彼方に星を置き「本当の明るさ」とする
約32.6光年というのが、その「とある一点」になります。ここに星々を持ってきたときの明るさがその星自体の光度として定義されます。
それによると太陽は昼間ぎらぎら輝いていますが、32.6光年の位置に持ってくると案外目立たない5等になってしまいます。
りゅうこつ座のイータ・カリーナにいたっては太陽の40万倍はあるそうです。明るいなんてもんじゃありませんね。地球焦げちゃう。
このお話は以前プロキシマまで何マイル?で軽く触れましたので、そちらもあわせてご覧下さい。
32.6光年というなんだか中途半端な距離は『光年』で測るとこんな数値ですけれど、別の単位を使うとすっきりした数字になります。これについてはちょっと難しいので、こういうものなんだ、と思っていただけたらよろしいかとー。簡単な説明をにわかに思いつきませんのでおゆるしくださいませw
◆おわりに
星の明るさや呼び名という話題はしても意味がないかなーと思わないでもありませんでしたけれど、なんとなく書いてみました。
次回の研究編では歳差のことをお話しようかどうしようか、迷っていますけれど…わかりやすく書く自信がついたら公開します。
さてー。
1979年、国際児童年。ゴダイゴ『ビューティフルネーム』が協賛歌でした。
1983年、世界コミュニケーション年。YMO『You've Got To Help Yourself(以心電信)』が協賛歌でした。どっちも歌だけ知ってますw
2009年は世界天文年2009(The International Year of Astronomy 2009)、略称は「IYA2009」です。
ガリレオが望遠鏡を自作し、それをつかって天体観測を開始した年に当たる1609年から400年を経た来年を「世界天文年」とし、天文を通じて自分にとっての「発見」をすることを目的としています。
ガリレオはピサにいますね。ちょっと疲れた風な座り方をしてますけれど…。
◎研究でお疲れのご様子のガリレオ・ガリレイ先生。
DOLの星空観察家として、来年の世界天文年2009に協賛いたしますー。
でわ~☆
コンビニで買い物をした時にくじを引くことになって缶コーヒーが当たったのはいいんですけれど…普段まったくコーヒーを口にしないので、頭が痛くなっちゃって…ちょっと気分も悪いので説明の行き届かない部分に気づいてないかもしれません。馴れないものは飲むものじゃないー*>ω<)"
気を取り直して早速話題に参りましょうー。
◆固有名詞
例えば冬の大三角形は
・オリオン座のベテルギウス
・おおいぬ座のシリウス
・こいぬ座のプロキオン
という名前のついた星々でできています。
明るい星ですとか、面白い形を作っている星、また位置的に重要と考えられるような星には固有名詞がついていることが多いです。
こと座のベガはアラビア語で落ちる鷲を意味する言葉に由来があります。
シリウスはギリシャ語で焼き焦がすものを意味する言葉に由来があります。
北極星はラテン語でポラリスといいます。
だいたいアラビア語、ギリシャ語、ラテン語です。最近では『ピストル・スター』のようなのもありますが…(笑)例外はくじゃく座のα星ピーコック。これは英語です。
でも、プトレマイオスのまとめた星表がだいたい元になっているそうですから、ギリシャ語が多いですね。
変わり種はいるか座の星。ラテン語なんですけれど。
「ロタネブ(Rotanev)」と「スアロキン(Sualocin)」の二つの星です。
Rotanev Sualocin←|→nicolauS venatoR
これ、人の名前なんです。
イタリア人の天文学者の名前をラテン語表記にして反対からつづったものなのね。
◆星の取り決め…符号と等級
1:アルファ、ベータ…バイエル符号
オリオン座のα星はベテルギウスです。
おおいぬ座のα星はシリウスです。
星を明るい順にα(アルファ)、β(ベータ)などと使うのはご存じかと思います。こういう風に付けたのはバイエルという人がした仕事で、星座ごとにだいたい明るい順に付けられています(バイエル符号)。
ただし、88星座が定められる以前にこれらはつけられました。88星座の取り決めについては今度『星座とは』に書きますが、星座を線ではなく範囲でくくるようになりました。その結果アルファがなくなったりβから始まったりする星座もできました。
なお、実際の等級を比べると、オリオン座やふたご座のようにαよりβのほうが明るいパターンもあります。
2:??座××番星…フラムスティード番号
それから、SFなどでよくありますが…「ペガスス座51番星」「はくちょう座16番星」などというように番号が付けられた呼び方もあります。
これはα、βの呼び方とはまた違った法則で、現在はおもにギリシャ文字の当てられていない星に使います(文字つきの星も数には数えられています)。
範囲で括った星座の右(西の端)から番号を付けるのがこのよびかたです(フラムスティード番号)。
3:等級
アルファ、ベータ、1番、2番といういいかたの他に「一等星」「二等星」というのもあります。これは紀元前1世紀以前のヒッパルコスというひとによる、明るさ比べが元になっています。
彼らが生きていた時代は街のネオンなどありませんから、町外れにでも行けば純粋に真っ暗な夜空を見上げていたに違いありません。
ヒッパルコスは星々の明るさを観察しました。光の量を実測することはできませんでしたが、そのかわり肉眼で観察し、星の明るさをお互い見比べることによって一等から六等まで分類しました。
その後、望遠鏡の発明によって六等よりも暗い星がみつかったり、星の明るさを量的に分析できるようになって、星の明るさにはどうやら法則性があることが分かりました。一等星と六等星では明るさに100倍差があるようなのです。
これを計算して、一等上がるごとに約2.5倍の明るさとなることを定義づけた結果「0.2等」のような小数点以下の等級が生まれることになりました。
まとめ:
星の呼び名を総合すると、たとえば北極星は
「こぐま座1番星」「こぐま座α星」「ポラリス」などとなり、明るさは二等です。
◆本当の明るさ
「きつとみんなのほんたうのさいはひをさがしに行く、どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行かう」(青空文庫『銀河鐵道の夜』より)
地球から見た星の明るさは大気とそのゆらぎによっても変わります。そもそも星は遠かったり近かったりしますので、明るく輝いている星だからといって必ずしも近い場所にあるとは限りません。宇宙にただようちりの雲で光がさえぎられることだって普通にあります。
途方もない遠方にあるのに一等星として輝いている星として、たとえばはくちょう座のデネブがあります。1500から3200光年の距離だろうといわれています。これより近くても暗い星はいくらでもありますよね。
つまりあかるさというのは距離だけで決まるものではないわけです。
その星のほんたうのあかるさとは何でしょう?
同じ星でも遠くなればなるほど光の明るさは減ります。近づけば明るくなります。手元のランプも遠くに置けば暗くてランプの役になりません。
一つの光源でも距離によって変わるこうした「相対的」なあかるさ。これを、とある一点の距離に置いたと仮定して計算し、その数値を持ってその星の絶対的な明るさとして定義することにしました。
そうすれば距離に関係なく星々の明るさが決まり、互いの星の明るさを比べることが可能になるわけです。
こういうのを『絶対等級』といいます。
◎32.6光年彼方に星を置き「本当の明るさ」とする
約32.6光年というのが、その「とある一点」になります。ここに星々を持ってきたときの明るさがその星自体の光度として定義されます。
それによると太陽は昼間ぎらぎら輝いていますが、32.6光年の位置に持ってくると案外目立たない5等になってしまいます。
りゅうこつ座のイータ・カリーナにいたっては太陽の40万倍はあるそうです。明るいなんてもんじゃありませんね。地球焦げちゃう。
このお話は以前プロキシマまで何マイル?で軽く触れましたので、そちらもあわせてご覧下さい。
32.6光年というなんだか中途半端な距離は『光年』で測るとこんな数値ですけれど、別の単位を使うとすっきりした数字になります。これについてはちょっと難しいので、こういうものなんだ、と思っていただけたらよろしいかとー。簡単な説明をにわかに思いつきませんのでおゆるしくださいませw
◆おわりに
星の明るさや呼び名という話題はしても意味がないかなーと思わないでもありませんでしたけれど、なんとなく書いてみました。
次回の研究編では歳差のことをお話しようかどうしようか、迷っていますけれど…わかりやすく書く自信がついたら公開します。
さてー。
1979年、国際児童年。ゴダイゴ『ビューティフルネーム』が協賛歌でした。
1983年、世界コミュニケーション年。YMO『You've Got To Help Yourself(以心電信)』が協賛歌でした。どっちも歌だけ知ってますw
2009年は世界天文年2009(The International Year of Astronomy 2009)、略称は「IYA2009」です。
ガリレオが望遠鏡を自作し、それをつかって天体観測を開始した年に当たる1609年から400年を経た来年を「世界天文年」とし、天文を通じて自分にとっての「発見」をすることを目的としています。
ガリレオはピサにいますね。ちょっと疲れた風な座り方をしてますけれど…。
◎研究でお疲れのご様子のガリレオ・ガリレイ先生。
DOLの星空観察家として、来年の世界天文年2009に協賛いたしますー。
でわ~☆