飼主は金属価値くらいしかない、つまらない古銭を何枚か
所持しています。
つまらないから話題にしたこともなかったのですが、捨て去る
くらいならせめてブログのネタにでもしようということで
記事にしてみました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/2b/96ea95a10663aceb4d658582396677ab.jpg)
まず、絵銭とは何か、ということですが、このように流通を
目的として発行された貨幣では無くて、貨幣の姿をした一種の
御守り、縁起物、呪物、辟邪のアイテムということになります。
手軽で親しみやすいが、目的は違う。
さて、上の写真ですが状態からして本物。というより絵銭に
偽物などないと言って良いでしょう。ごく最近「五帝銭」「十帝銭」と
呼ばれる、古銭では無い玩具が安売りされていますけれども
ああいうのはそれこそ縁起物として重宝されるわけで、国家の
信用に対する挑戦として造られる品物では無いから、あらゆる
絵銭は本物と言って良いのです。
怪しいのは加治木銭や一種の鐚銭というやつで、ああいうのが
由緒正しい「偽物」なんであります。「偽物」としての美術的蒐集
価値が高い貨幣は、本物の流通銭より評価されます。なぜならば、
撰銭令などによって見つかり次第鋳つぶされたからです。
供給量が無い。
「天五天五」の本物(偽物だが)に如何程の市場価値があるか、
知ると市場の価格形成についてのいい勉強になりますな。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/f3/fdb0d9c3a81690aa1162694ad3c2a339.jpg)
写真で表裏をご覧いただいたこの絵銭は、記念品として清代に
出回った物です。康煕帝が、国内鎮圧と外征を繰り返して、
清朝に属する地方名を列記して詩にした文言を、銭に鋳写して
記念品とした物です。
統治記念メダルと思って宜しい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/10/979b1980009d3ccdf770c32c706d0589.jpg)
こちらは福寿銭。
よくある、幸せのコインですね。
福寿の異体字を鋳込んであるわけです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/55/0eb295f1c558bd11603970dbc4e75738.jpg)
こうして読めるほどすり減っていないので、そんなに旧い物では無い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/c5/95f7768dbd4b35d668629ea9c806bc6b.jpg)
謎の絵銭
黄欏朱布(字が出ないから当ててます)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/e2/c7cebcdf50b1fb6048b9fcfab81ac190.jpg)
吾君萬年
などと書いてあるので、何れかの君主(皇帝かどうか知れない)を
讃えるために造られた銭であろう。
このようにして、絵銭といっても、プロパガンダに用いられてきた
歴史を証明する実体ともなり得るのであります。
そして、種類の限られた流通品でもあったということから、かつては
メディアそのものであったとも指摘することが出来ますね。