上：蕾および花冠外側の紅赤色が濃い
上：タニウツギ 下：花冠内外が濃紅赤色 どちらも萼が短く花の筒部が長い
上５段：蕾・花冠内外が濃紅赤色（ベニウツギとして整理）
下：蕾や萼に毛が密生 ヤブウツギ＝ケウツギかもしれない
タニウツギ （スイカズラ科 タニウツギ属 学名Ｗｅｉｇｅｌａ hortensis 落葉小高木 花期５月頃 果期１０月頃） 葉は対生、葉身は卵状楕円形で先が尖り、縁に低鋸歯。葉表の葉脈上に毛が散生し、裏全面には白い毛が密生。花は花冠が漏斗状に広がり先端が５裂する。雄蕊５、雌蕊１、柱頭が白い半球状。蕾が淡紅色で、開いた花冠の内側が薄い白桃色。果実（さく果）は細長い筒形で熟すと２裂し黒い種子が現れる。私の故郷では山麓の道沿いに自生し、“田植花”と呼んでいる。当地神奈川では公園や庭木によく植栽されている。自生樹は見かけない。蕾も開花後の花冠内外も濃紅赤色の品種がありベニウツギとして整理している。
属名Ｗｅｉｇｅｌａ ドイツの科学者 Christian Ehrenfried von Weigel（1748～1831）に因む。
種小名hortensis 庭園栽培の意 庭園は ラテン語hortus 英garden
Christian Ehrenfried Weigel (1748-1831), 1806 ennobled by von Weigel was a German and Swedish physician, botanist and chemist. His formal botanical author abbreviation is "Weigel".Ｔhe genus Weigela is named after him.
ワイゲル＜1806年に貴族の称号が与えられvon Weigelと称する＞は、ドイツそしてスエーデンの医師、植物学者そして薬剤師であった。彼の正式な植物学上の略式名はWeigel。属名Weigelaは彼の名をとって命名された。
卯の花に タニウツギの花 はや咲きて 燕ジュビジュビ 夏は来ぬ （閑遊童子）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
上1段 蕾、開花直後は黄みを帯び花冠の先がやや浅裂で丸み・・・ニシキウツギ？
ハコネウツギ （箱根空木 スイカズラ科 タニウツギ属 学名Ｗｅｉｇｅｌａ coraeensis 落葉小高木 花期５月～６月） タニウツギが日本海側山地に自生するのに対して、ハコネウツギは太平洋側沿岸部、主として関東～東海の沿岸部に自生する。箱根の名を冠するが箱根の山中に自生する意味はなさそうである。太平洋側山地には花がハコネウツギと酷似して白色から紅色に変化するニシキウツギ（二色空木）が自生する。さてハコネウツギの葉は対生し、葉身は卵状楕円形で先が細長く尖り、縁に低い鋸歯。タニウツギが葉裏全体に白毛が密生するのに対し、本種は葉の表裏共に無毛。花冠は釣鐘状で花冠の先端が５裂し平開。蕾及び咲き初めは白色で、次第に淡紅色そして紅紫色へと変化しそれらの花色が混じり咲いて美しい。雄蕊５、雌蕊１。果実はさく果で、秋に褐色に熟すと裂開し種子を散布する。種子を散布した後の殻は翌年の春まで長く枝に残っている。
種小名coraeensis korea-ensis 朝鮮産の
ハコネウツギとニシキウツギは花が酷似して見分けは難しい。一般に、ハコネウツギは萼筒部の先が急に膨らんで釣鐘状になるのに対し、ニシキウツギは萼筒部から先が漏斗状になだらかに膨らむ。ニシキウツギの葉裏主脈沿いに白毛が密生する。
又、園芸種では葉が斑入りで花がハコネウツギに酷似して白色から紅色に変化するフイリベニウツギ（オオベニウツギ“ヴァリエガータ”） Weigela florida 'Variegata' が栽培されている。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
フイリベニウツギ （学名 Weigela florida 'Variegata'） 福岡県古処（こしょ）山にのみ自生するオオベニウツギの改良園芸品種とされている。葉に覆輪の斑が入る。花はハコネウツギに酷似する。観察した個体は蕾および花冠外側は淡紅色。
種小名florida ラテン語 floridus 花盛り、華やかな、花のように美しい 英flowers、flowery、blooming 等の意
米フロリダの地名の由来：１６世紀初頭にこの地に上陸したスペイン人が、花に埋もれた美しい土地に感動し「La Florida：ラ・フロリダ（花咲く美しき地）」と叫んだことに因みこの地の名前になったとある。ハナミズキの学名は、Benthamidia florida でありこの花も美しく咲く。
ハコネウツギ ニシキウツギ（候補） フイリベニウツギ 比較画像
