図は二つとも反応時間を計る装置を描いたもので、丸いボタンが点灯できる仕組みになっています。
下の部分の中央はホームポジション、ここに指を置いていて、前のボタンが点灯したらそのボタンを押し、その反応時間を計ります。
上の場合は点灯ボタンが二つで2択式、下は5択式です。
2択式の装置で、左だけが点灯することにした場合は、どのボタンが点灯するかあらかじめ分かっているので、素早く反応できます。
2択式になればどちらが点灯するか分からないので、やや反応時間は遅くなり、5択式になればさらに遅くなります。
右のグラフは年齢ごとの平均反応時間を表したもので、中年からは反応速度がハッキリと遅くなることが示されています。
点灯する場所が決まっている場合(単純反応)は高齢者も若者と差がほとんどないのですが、2択式、5択式となると差が出てきます。
単純反応の場合に差が出ないということは、ボタンを押すという動作スピードについては年齢による差はあまりないと考えられます。(25~45才のほうが25歳以下より反応時間が短くなっているのは、集中力によるのかもしれません。)
2択式、5択式と選択肢が増えるにつれ反応時間が増えるのは、脳の処理時間が加わるためで、年齢が増えるにしたがって時間がかかり、脳の処理速度が低下することが分かります。
処理速度が低下するのはボタンが点灯してからそれに気づき、そちらに注意を向けて、それからボタンを押すからです。
気づいたときにすぐ手が動けば速く、気づいた後そちらに注意を向けると同時にあるいは注意を向けてから手を動かすといった具合にステップが増えると時間がかかるようになります。
加齢によって視野が狭くなると、辺縁視が劣り中心視に頼ろうとするのでどうしても反応スピードが下がるのです。
このような単純な作業の処理スピードが落ちたからといって、別に気にすることはないと思うかもしれませんが、処理スピードは案外重要なのです。
A.ジェンセンなど知能の研究者によると、このようなテストの処理スピードと他の知能指数とは相関関係があるといいます。
つまり、処理スピードの速い人は他の知能も高い傾向にあり、一般的に知能指数の高い人は反応時間も短い傾向だそうです。
処理スピードが単純な反射の問題に過ぎないのであれば、それまでのことなのですが、視野の広さがスピードに大きく影響するので、推理能力など他の知能と関係してくるのでしょう。
知能の基礎に処理スピードがあるというふうに見えるのは、両方とも視野の広さといった視覚能力が基本となっているからです。
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