ウェネトさまの館

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ビスうさ・ウェネトと申します。
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「曖昧な関係」展(銀座メゾンエルメス)

2017年01月22日 06時02分53秒 | 展覧会・美術関連

ちと間が空いてしもうたが、前回の日記の続きでございます。

銀座メゾンエルメス「曖昧な関係」も観ましたのじゃ。
http://www.maisonhermes.jp/ginza/le-forum/archives/352957/
(会場内写真撮影可)

世代や国籍、表現方法の異なる3人のアーティストの作品を通して、作品と身体の間に生まれる関係性について考察するという展覧会。

最初に、スイスのジュエリー作家ベルンハルト・ショービンガー。
割れた瓶やらガラス片やら釘やら、凡そジュエリーとは思えぬ素材を使ったジュエリーで、ウェネト的には3人の中で一番興味深うござりました。

まずは《砲丸》《小銃弾》がお出迎え。
ショービンガーは、戦いの歴史が潜む湖に潜っては、金属探知機で世紀を超えた砲丸の類を集めるようになったそうな。


「さらば、砲丸をジュエリーへ」のお言葉通り、砲丸や沼鉄や玉鋼などを使ったジュエリー。


ビリビリ破った写真を繋げたネックレス《親族の写真》


《水銀整流器のペンダント》と《ヤスリのリング》


ガラスの灯油ビンの《GIFT(毒)ブレスレット》
“GIFT”は英語で“贈り物”、ドイツ語で“毒”の意。なかなか怖い贈り物じゃ。


《香水瓶のブレスレット》腕に付けるには邪魔過ぎだけど面白い。


《ネジと欠片のネックレス》と《ボトルの底のリング》


ジュエリーっぽい素材を使った作品も少しございます。

水晶の《キノコリング》


ヘマタイトを繋げた、お持ち運び《枯山水》ネックレス。


《神戸牛のペンダント》には仰天。
本当の肉片かと思うてよくよく観たら、瑪瑙(アゲート)じゃった。


次の空間に、神奈川県生まれでベルリン在住のアーティスト、ナイル・ケティング。
様々な家電が置かれ、音、光、香りも流れるインスタレーション。
「光波や音波といった不可視のマテリアルをベースに、シグナルや香りといった現象を新しい物質性の感知やコミュニケーションへと置き換えてゆく試み」とか。


これで太陽光を集めて家電を動かしておるのかの?


なぜか淹れっぱなしの紅茶。濃くなりすぎて不味そうじゃ。


昨年5月「六本木クロッシング2016展」(森美術館)で初めて観たケティングの作品は、その展覧会の中で一番印象的だったのじゃ。
なれど今回の作品は・・・正直わたくしにはイマイチぴんと来ず・・・

ケティングの白いタオルがぶら下がっておる裏側あたりに、最初のショービンガーの《壊れたトイレのペンダント》が展示してあるのが、「曖昧な関係」っぽくて面白うござります。

最後の空間には、フランス人の画家、アンヌ・ロール・サクリスト。
パオロ・ウッチェロが15世紀に描いた《サン・ロマーノの戦い》を、なんと京都の石庭に重ね合わせたというインスタレーション。


綺麗に並んだお座布団に座って観てもよいのよ。


水の如き黒いガラスの上には亀も鎮座ましまし、戦の槍とも日本庭園の竹林とも思える棒が林立。
覗き込んだら底まで吸い込まれそうじゃった。


18世紀の古城のカーテンで作られた旗。


奥の壁には絵画。


これは好みなインスタレーションでありました。
わたくしは昼間にまいりましたが、夕暮れや夜だとまた違った光景が観られるやもしれませぬ。

会期は2月26日まで。

そそ、いつも展覧会の会期終了後に出る無料の小冊子、昨年10月に観た「リビングルーム2 ミシェル・ブラジー展」のが出ていたので、頂いてまいりました。
ミシェル・ブラジー展は面白くて、昨年のツボな展覧会のギャラリー編のベスト10に入れたのじゃ。
58ページの小冊子、ブラジー作品の写真全てカラーで分かりやすうございます。