ちと間が空いてしもうたが、前回の日記の続きでございます。
銀座メゾンエルメス「曖昧な関係」も観ましたのじゃ。
http://www.maisonhermes.jp/ginza/le-forum/archives/352957/
(会場内写真撮影可)
世代や国籍、表現方法の異なる3人のアーティストの作品を通して、作品と身体の間に生まれる関係性について考察するという展覧会。
最初に、スイスのジュエリー作家ベルンハルト・ショービンガー。
割れた瓶やらガラス片やら釘やら、凡そジュエリーとは思えぬ素材を使ったジュエリーで、ウェネト的には3人の中で一番興味深うござりました。
まずは《砲丸》《小銃弾》がお出迎え。
ショービンガーは、戦いの歴史が潜む湖に潜っては、金属探知機で世紀を超えた砲丸の類を集めるようになったそうな。
「さらば、砲丸をジュエリーへ」のお言葉通り、砲丸や沼鉄や玉鋼などを使ったジュエリー。
ビリビリ破った写真を繋げたネックレス《親族の写真》
《水銀整流器のペンダント》と《ヤスリのリング》
ガラスの灯油ビンの《GIFT(毒)ブレスレット》
“GIFT”は英語で“贈り物”、ドイツ語で“毒”の意。なかなか怖い贈り物じゃ。
《香水瓶のブレスレット》腕に付けるには邪魔過ぎだけど面白い。
《ネジと欠片のネックレス》と《ボトルの底のリング》
ジュエリーっぽい素材を使った作品も少しございます。
水晶の《キノコリング》
ヘマタイトを繋げた、お持ち運び《枯山水》ネックレス。
《神戸牛のペンダント》には仰天。
本当の肉片かと思うてよくよく観たら、瑪瑙(アゲート)じゃった。
次の空間に、神奈川県生まれでベルリン在住のアーティスト、ナイル・ケティング。
様々な家電が置かれ、音、光、香りも流れるインスタレーション。
「光波や音波といった不可視のマテリアルをベースに、シグナルや香りといった現象を新しい物質性の感知やコミュニケーションへと置き換えてゆく試み」とか。
これで太陽光を集めて家電を動かしておるのかの?
なぜか淹れっぱなしの紅茶。濃くなりすぎて不味そうじゃ。
昨年5月「六本木クロッシング2016展」(森美術館)で初めて観たケティングの作品は、その展覧会の中で一番印象的だったのじゃ。
なれど今回の作品は・・・正直わたくしにはイマイチぴんと来ず・・・
ケティングの白いタオルがぶら下がっておる裏側あたりに、最初のショービンガーの《壊れたトイレのペンダント》が展示してあるのが、「曖昧な関係」っぽくて面白うござります。
最後の空間には、フランス人の画家、アンヌ・ロール・サクリスト。
パオロ・ウッチェロが15世紀に描いた《サン・ロマーノの戦い》を、なんと京都の石庭に重ね合わせたというインスタレーション。
綺麗に並んだお座布団に座って観てもよいのよ。
水の如き黒いガラスの上には亀も鎮座ましまし、戦の槍とも日本庭園の竹林とも思える棒が林立。
覗き込んだら底まで吸い込まれそうじゃった。
18世紀の古城のカーテンで作られた旗。
奥の壁には絵画。
これは好みなインスタレーションでありました。
わたくしは昼間にまいりましたが、夕暮れや夜だとまた違った光景が観られるやもしれませぬ。
会期は2月26日まで。
そそ、いつも展覧会の会期終了後に出る無料の小冊子、昨年10月に観た「リビングルーム2 ミシェル・ブラジー展」のが出ていたので、頂いてまいりました。
ミシェル・ブラジー展は面白くて、昨年のツボな展覧会のギャラリー編のベスト10に入れたのじゃ。
58ページの小冊子、ブラジー作品の写真全てカラーで分かりやすうございます。