ウェネトさまの館

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「漆の画家 太齋春夫展」(練馬区立美術館)

2017年07月07日 05時20分53秒 | 展覧会・美術関連

昨日は、練馬区立美術館「生誕110年記念 漆の画家 太齋春夫展」を観たのでございます。
https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=201704091491727999


太齋春夫、お名前すら知りませんでしたが、他の美術館で見つけたこのフライヤーに心惹かれてやってまいりましたのじゃ。


この写真ではわかりませぬが、表面が漆の如くツルツルピカピカなのじゃ。
入場料300円でかように凝ったフライヤー、素敵でございます。
捨てるのは忍びないゆえ、絵の部分を手帳のカバーにしようかの。

展示は、漆芸、油彩、戦地でのスケッチなど全部で約60点ですが、やはり惹かれるのは漆塗アルマイトモザイクの作品。

“漆塗アルマイトモザイク”なるもの、今回初めて知りましたぞ。
太齋が開発に関わった技法で、アルマイトに漆を塗って制作したモザイク画。

石や陶器のモザイク制作が時間も資金も要するのに比べ、漆塗アルマイトモザイクは技法的にも簡便で、時間も費用もかからぬのだそうな。
しかし太齋の技法は、継承される事なく途絶えてしまったとか。
残念な事よのぅ。

気になった作品やお気に入り作品を挙げておきまする。

★《貴婦人像》
漆塗アルマイトモザイクの6枚組(各161cm×89.7cmという大きいサイズ)で、本展1番のお気に入り。
貴婦人それぞれのドレスも髪型も、温かみのある色彩も、額縁までも、たいそうレトロ可愛いのでございます。
上野の松坂屋が食堂の壁画用に発注するも、太齋が戦争で出征し帰らぬ人となった為、アトリエに残されたのだそうな。

この作品の下絵も展示されておりまする。
30cm×91.5cmという横長サイズに6人の貴婦人が並ぶ水彩画で、色彩などかなり異なるも、こちらも可愛さ炸裂。

★《国会議事堂の図》
当初は3面の衝立で、現存するのはこの1面のみ。ガラスなしの展示。
金色や銀色のモザイクがキラキラ。

この作品の下絵もございます。
3面の全体図で、モザイク画との色彩の違いにびっくり。

★《青年像》
太齋が開発に関わった別の技法“漆写真印刷”で制作されたらしい。
昭和レトロな、独特な魅力がツボ。

★《装飾品 魚》
木彫りに漆の、ちっちゃくてユーモラスな魚。

この魚と一緒に、高橋英吉の《釈迦如来坐像》が展示されておりますが、高橋英吉は太齋と最も親しかった友人で、大学時代には共同生活もしており、木地の造形を高橋が、漆塗りを太齋が担当して装飾品を作り、生活の糧にする事もあったとか。
このちまい魚もそうして制作されたらしく、気になりましたのじゃ。

他にも油彩では、《少年(蝶)》や、きりっとした眼差しの《南方の娘》など印象的でありました。

2階の1室のみで作品数は少な目なれど、6人の《貴婦人像》を観られただけでも大満足。
会期は7月14日まで。


美術館の下に、こんな巨大な紫陽花が。


さて、この美術館へ来たらば、練馬のアルカションでケーキを食べるのはオヤクソク。
今回はどれにするかのぅ・・・


新作のクラフティーと、今までここで食べた中で一番お気に入りのエキノクスを持ってまいれ~!


右のクラフティーは、アメリカンチェリーとキルシュ風味のカスタードタルト。
わたくしにはちとあっさりじゃの。

左のマカロンの乗ったエキノクスは、ベリー風味のチョコレートムースの中にミルクティーのクレームブリュレ。
濃厚でウマウマ~♪

断面なのよ。


あと食べておらぬケーキは酸味のありそうなものばかりじゃが、次回トライしてみるかの。
次回の練馬区立美術館は「藤島武二展」でございます。