大学ニュース

某大学で職員をやってる中年おっちゃんです。少しでも若い受験生たちの役に立てばと思い綴っていきます。

行きたい大学を受けたほうがいい

2012年09月16日 | 日記
最近受験雑誌や大学関係の記事を読むと「受けたい大学より受かる大学に人気が集中」なんてのがよく見受けられます。
きっとこれを信じて素直に真に受けてしまう受験生も少なくないでしょう。しかし私はこうした受験方法にはあまり賛成しませんね。大学というのは最終学歴です。ほとんどの人がこの過程で学生生活を終了するわけです。だからこそ受験する大学にはこだわって本当に行きたいと思う大学を受けるべきだと思いますね。

こうした記事でよく引き合いに出されるのが早稲田と明治の関係です。本当は早稲田に入りたいけど落ちたら金もかかる、親に負担はかけられない、だから明治にしておこうなんてね。そうするとこれはもう明治の思う壺となるわけです。先の中大の記事でも触れましたがこうした記事は情報誌が自発的に書いているものではなく大抵大学から依頼を受けて対価をもらって書いているものです。しかしいざ大学に入ってみると早稲田と明治の差というのは受験生が考えているよりもずっと大きいものだということがわかるでしょう。就職での両大学の扱われ方の差を抜きにしても学生生活には大きな差があります。

一言で言うと早稲田というのはキャンパスのあらゆるところに刺激が転がっているようなそんな大学です。勉強をしたい者は徹底的に勉強する場がある、そのための仲間もたくさんいる。学生時代に何か新しいことをしたいと考えているなら早稲田ほどそのチャンスに恵まれる大学はないでしょう。多種雑多でいろいろな価値観が交錯する。しかしいざとなったら心がひとつにつながる。それが早稲田大学です。海外の大学に比べ広くはないキャンパスですが大隈銅像から大隈講堂を望む風景は在校生だけでなく卒業生の心にも一生残るものです。

それに対し明治大学というのはかなりあっさりしています。その大きな原因は明治が学年割れキャンパスであること、それと早稲田のように印象的なキャンパスがないということに大きく起因している気がします。1,2年生と3,4年生が分かれているので先輩と後輩の関係というのが希薄であり、また明治の最大の宣伝材料はリバティタワーという高層ビルですからキャンパスというイメージはほとんどありません。明治では3年生になれば実質的に学生生活は卒業という雰囲気があります。いちおう御茶ノ水という都心部にはあるけど、いわゆるビルキャンパスですから一生印象に残る光景というものが皆無です。だからキャンパスがただ授業を受けるだけの場になってしまっているのです。キャンパスというのはじつは学生生活においてとても大切なものです。自分が最後の学生生活を過ごす場だからこそキャンパスの中にはいろいろ多様な場がある、勉強だけでなく生活の場でもあるほうが通っていてきっと充実感があると思います。

その点中央大学なんかは立地は悪いけどすべての文系学部が4学年同じキャンパスで過ごすわけですからけっして損な大学ではないと思うのです。ただ都心部にキャンパスがあればこれはもう言うことないですけどね。都会にはやはりいろいろな刺激がありますから、キャンパスと街がつながっていればそれだけ可能性やチャンスも増えるのは当然のことです。まあそうした条件をかなり満たしているのが早慶以外だと上智や立教(池袋の学部)学習院といったところでしょう。それと受験地図に相当大きな影響を与えるだろう要素として、青学も来年からいよいよ都心(渋谷)にあるメインキャンパスで文系の全学部が4年間をすべて一緒に過ごすことになります。奇しくも学習院以外すべてミッションスクールということになります。これは明治だの中央だのといった実学系の大学に比べてミッション系大学は規模が小さいことがあります。だからなんとか工夫をしてメインキャンパスでほとんどの学部が過ごせているのでしょう。それに対し実学系の大学というのはその多くが法律の専門学校から出発したものなのでキャンパスという場があまり重要視されず授業を受ける空間があればよかったのです。ただしミッション系というのは価値観がけっこう縛られているから早稻田や慶應ほどいろいろなタイプはいないかもしれません。女子の方が元気がいいっていうのもミッション系の特徴です。それでも4年間を都心部のキャンパスで過ごせることによるメリットは大きいでしょうね。特に女子ならこの4大学(上智、青学、立教、学習院)というのは買いだと思います。ここでひとつ蛇足ですが私立大学の起源というのは大きく分けて3つのタイプがあります。ひとつは早稻田や慶応のように創立者の人望が強力で政府の影響から独立して作られたもの、ふたつめは明治、中央、法政、専修、日大などのように一応個人が創立者になっているけど実は政府の影響を受けて作られたもの、これらは高級官僚の養成は帝大によって行うけど下級の官吏や法律の実務を行うものの養成を民間に任せようという意図で主に政府関係の役人などが創立者になって作られたものです。そしてみっつめは先ほど紹介した上智、青学、立教などのようなミッションスクール(他の宗教も)です。これらは当初は布教を目的としてその一貫に教育活動があって作られたものです。なぜ昔から早慶が私学の中で別格の存在だったかというと、ミッション系以外ではこの政府の影響を受けずに独立した学校だったというのが大きな理由です。私学の場合建学の精神というのがあって、そうしたものはやはり伝統的なメインキャンパスで色濃く現れていますからきちんとしたキャンパスを持った大学というのは学生が通っていてやはり少なからぬ影響を受けていくものです。そしてそれが真の愛校心になっていくのでしょう。


大学を受けるときに妥協をするとその後人生のいろいろなところで妥協を繰り返す可能性があります。大学の宣伝記事に惑わされず本当に行きたい大学を受けたほうが後悔はないですよ。最近は現役主義だなんて言われますが1浪くらいしたっていいじゃないですか。いま高3であと半年でとても早稲田に受からないと思う人は浪人を前提で1.5年計画で受験すればいいのです。ただしも今回も必ずその大学を受けるべきです。一回でも受けると自分の現在の力との格差にメタメタに打ちのめされますから、浪人をするときの覚悟が違います。浪人をするとスタートダッシュで現役との差がありますから最初はけっこう偏差値が伸びたりします。8月くらいの模試までは早稻田の合格率も悪くなかったりするものです。しかし本当に受かる人というのは9月以降成績を伸ばせる人です。現役の時の甘い自分を捨てて徹底的に頑張れる人、それは浪人して早稲田や慶応など有名大学に受かる人なのです。そういう覚悟があるなら1浪してでも早稻田などを目指したほうがきっと人生のためになると思います。

ちなみによく雑誌などでは就職で浪人はマイナス材料なだけと言われていますがこれは真っ赤なウソです。今の時代でもマーチ以上のランクの大学なら1浪くらいは男女ともまったくマイナスになりません。ただし2浪は厳しくなります。もし就職活動の時に「なぜ浪人したか?」と聞かれたら堂々と「入りたい大学があって妥協できなかったから浪人し頑張って合格しました」と言えばいいのです。いま企業で採用関係の担当をやっている年代の人たちは厳しい受験競争を勝ち抜いてきた人達が多いですから、そういう答えに逆に逞しさを感じることが多いはずです。

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