プラチンブリの風 第25章 タイ政局 By Harry H.
タイでは、5月10日に国会(下院)が解散され、7月3日に、総選挙が行われることになった。選挙区制(CONSTITUENCY)が375議席、比例代表制(LIST)が125議席の合計500議席をめぐっての総選挙だ。現時点での主要政党の議席数を見ると、以下のようになっている。現政権与党のDemocrat(民主党)は、Bhumjaithaiとの連立である。
選挙区 |
比例代表 |
合計 |
|
Pheu Thai |
161 |
27 |
188 |
Democrat |
137 |
33 |
170 |
Bhumjaithai |
28 |
3 |
31 |
Puea Pandin |
24 |
6 |
30 |
今度の総選挙で、以下の通り、3政党が獲得予想議席数を出している。過半数は、250議席となる。
選挙区 |
比例代表 |
合計 |
|
Pheu Thai |
180-190 |
60 |
240-250 |
Democrat |
155-175 |
55 |
210-230 |
Bhumjaithai |
50-60 |
10-12 |
60-72 |
5月初め、有権者1200人を対象に行われた経営大学院(NIDA)の調査結果は、野党でタクシン派のPheu Thai(タイ貢献党)が、与党第一党のDemocrat(民主党)を、一歩リードしている。しかしながら、タイ貢献党は、単独で政権を取ることは難しく、一方、民主党は、少数野党との連立で、政権維持を狙っている。日本の選挙と同様、浮動票(選挙区:53%、比例区:36%)の動向が、決め手となるので、激しい選挙戦が、予想される。
タイ貢献党の比例者名簿の第一位に、タクシン元首相の実妹のYingluck Shinawattaが指名された。政治経験はまったくないが、女性であること、実業界での実績があることなど、話題性はある。今回の総選挙で勝利を収めれば、タイでは初めての女性首相の誕生となる。
また、タイ貢献党は、今回の選挙で政権を取った暁には、政治恩赦を実行することを宣言した。勿論、現在海外に居るタクシン元首相に対する恩赦も含まれている。これに対し、早速にも、現政権アピシット首相は、政治恩赦は、更にタイの政局を混乱をもたらすと、反対声明を出した。
いずれにしても、現政権与党の民主党と、政権奪還を目論むタイ貢献党との熱い選挙戦となることは、間違いない。今月28日までで、立候補者の受付が終わり、月末から、激しい選挙戦に入る。 (2011年5月20日記)