うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

にんげんはじめました  吉岡平  う

2008年05月20日 | 読書感想
ラノベ。全二巻らしい。

何者かによって突如として巨大な結界の中に隔離されてしまった群馬県I市。
フリーライターの陽一は、知り合ったタクシードライバー佐伯とともに脱出を試みるがどうしてもうまくいかない。その最中、二人はエリンという名の少女と出会い、三人で暮らすことになる。
指揮系統の麻痺した警察、自衛隊は混乱する住民を抑えることはできず、その状況下で市長はなにかを企みはじめる。
そして街には異形の化け物が現われた。
I市を隔離したのは、何者かに呼び出された十三体の悪魔だったのだ。
悪魔の前に立ちふさがるエリン。彼女は悪魔達の同類であり、彼らを罰する異端審問官だったのだ。
彼女の望みはただ一つ、すべての悪魔を罰し、人間になることなのだ……

という、さして複雑でもない設定を理解したのは読み終わったころだった。
隔離された都市、という唐突な設定からはじまるのは、なかなかミステリアスでよかったのだが(首都消失みたいだし)結局その理由が「悪魔かよ!」という感じで、非常に萎えた。
とにかく説明をしてくれないのがイライラする。
おまけに場面転換をコロコロするし、だれが主役でなにを目的としているのか、まっくたもってよくわからん。おまけにところどころに寒いギャグが入ってくるし、いかにもラノベですという風に戦闘がはじまったと思えばあっという間に終わったり、とにかくチグハグなつくり。
描写のせいか会話文のせいか説明不足のせいか、逼迫しているはずの住人の事情もまったく伝わってこず、自衛隊の身動きのにぶさと内面事情の説明だけがリアルで「ああ、作者は軍事オタなんだな」というのがわかっただけだった。

なんか作者がなにをしたいのかまるでわからなかった。やたら丁寧にあとがきで次回を煽っていたのもなんか寒々しかったし。全二巻らしいが、下巻を読みたいという気がまったくしない。

『火星の土方歳三』が面白かったのでいままで何冊か読んでみたが、結局、あれが面白かったのは色々な要素が奇跡的にうまくいった結果であって、基本的にこの作者は面白くないようだ。残念な話である。



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