上野裕之の実践ブログ

TOSSランド用の実践ブログです。

CO2を減らす工夫

2010-05-29 09:18:19 | Weblog
CO2を減らす工夫

                     TOSS長崎・中学サークル 上野裕之
                     ha_ueno@ybb.ne.jp

テーマ:以前と比べると、エネルギーに対する意識は高まったが、実際は「エコ」
   「環境に良い」「地球に優しい」などの言葉のもと、ステレオタイプの情報を
   無批判に受け入れていることが多い。
    実際は様々な意見があることを知り、その上で将来のためにどのように
   していけばいいか考える。
    

対象学年 中学3年生
教科:理科

2時間で実施した。

「夜の地球」の写真を見せる。
画像は
NASAのHP 
 http://earthobservatory.nasa.gov/IOTD/view.php?id=36008
 http://astro.ysc.go.jp/earthlights.html
で見ることができる。

発問1 人工衛星から撮影した夜の地球の写真です。白く見えるものは何でしょうか。
「街の明かり」である。都市部が明るく光っている。日本は形がはっきり見える。
ほかにも「オーロラ」「焼き畑の火」「漁り火」なども写っている。

発問2 この白い光はこれから、増えた方が良いでしょうか。それとも減った方が
   良いでしょうか。
どちらか意見を決め、その理由を書かせ、発表させる。

発問3 今度は反対の立場になって理由を書きなさい。

初めは「減った方がいい」の意見が圧倒的であった(増:1名、減31名)。
理由は「地球に優しい」「環境に良い」「二酸化炭素の排出が減る」などである。
しかし、反対の立場に立って考えることで明かりがあることの利点に気付く。
発展中の国は「増えた方が良い」と考えていることも話す。
「じゃあ、長崎は暗くなったほうがいいですか?」
と聞くと、「それは困る」と生徒。
ほとんどの生徒は増えた方が良いのか、減った方が良いのか分からなくなる。

発問:昨年、鳩山総理があるものを25%減らすと宣言しました。それはなんですか。
  二酸化炭素である。

説明:鳩山総理は1990年に比べて25%二酸化炭素の排出量を減らすと宣言しました。
現在は排出量は増えているので今よりおよそ3分の1に減らすことになります。これは、1970年代の二酸化炭素排出量と同じです。

1970年代の生活(家電・車など)を紹介する。
参考HP:パナソニックキッズスクール タイムマシン作戦
http://pks.panasonic.co.jp/kyoushitsu/sougou/social/time/index.html
当時の電化製品などが紹介されている。

発問:1週間のうち、1日電気もガスも自動車も使わなかったとすると何%減らすことが
   できるでしょうか。

   正解は「6%」。目標には遠く及ばない。25%削減しようとすると、1週間のうち
   6日間も電気を使わないことになる。

発問:25%削減はできると思いますか?
   全員が「できない」に挙手。

説明:これを「できる」と言っている人がいます。小宮山宏さん。前の東京大学の総長をしていた人です。
 参考:東京大学HP
  http://www.alumni.u-tokyo.ac.jp/gakuyukai/hcd2005/president.html

発問:小宮山さんは2050年までに何%減らすことができると言っているでしょうか。
 予想させる。正解はなんと「80%」である。

説明:小宮山さんはその条件として2つ挙げています。その一つは
  「エネルギー効率が現在(1998年)の3倍」です。
  つまり、同じ電気消費量で3倍の能力を持つようになれば、消費量は3分の1で済みます。

発問:エアコンを例に考えてみます。当時(1998年)最もエネルギー効率の良かった
  エアコンの性能を「4」とすると、目標は3倍の「12」になります。
  2004年でのエアコンの性能はいくらだったでしょうか。

説明:正解は「6」です。2005年には「7」に上がりました。
   「2050年までに目標は達成できるでしょうか」と聞くと多くは「できる」に手を挙げた。

説明:もう一つの条件は「自然エネルギーが2倍」です。現在、有力な自然エネルギーは
   「太陽光」「水力」「風力」「バイオマス」です。この中でエネルギー量の割合が
   一番割合が多いのが水力発電の3%です。
   期待されている太陽光発電は0.1%程しかありません。

発問:もし、全ての家の屋根に太陽電池をつけたら何%になるでしょうか。
   生徒に予想させる。低い生徒で10%、80%という生徒もいた。

説明:正解は5%です。水力発電と合わせて8%になります。「少ないな」と思った人も
  いるでしょうが、エネルギー効率が3倍になったとすると、8/33で、エネルギー
  消費の約4分の1を自然エネルギーで生み出すことが出来ます。

説明:小宮山さんは自宅をエコハウスにして消費エネルギーを8割減らすことができま
   した。皆さんの家庭でもエネルギー消費を減らす工夫を考えてみましょう。

   「小宮山エコハウス」がどのような工夫をしているか考えさせた。
参考:環境とエネルギーフォーラムHP
http://nikkei.hi-ho.ne.jp/ecoene/archive/session4/presen_2.html



参考文献
地球持続の技術(岩波新書) 著 小宮山宏
課題先進国日本(中央公論社)著 小宮山宏
弘兼憲史 日本の議(ランダムハウスジャパン)