慶留間島の山頂から続く尾根の向こうで猛烈な銃撃戦が行われていた。
「救援を頼む」との無線連絡が入ってきた。 現場に向かう途中、5,6人の日本兵がおれたちの方に逃げてきたところを、やつらが気付く前に撃ち殺した。 一時間ほど何事も起こらなかった。
山腹に洞くつを見つけた。そこには島の住民が何人かいた。おれたちが強かんして、虐殺すると信じたに違いない。彼らは自分の子供たちをナイフとナタで殺し始め、そして自殺し始めた。
みすぼらしい着物を着た老人(男)がはだしておれたちの方に向かって走ってきた。 手には鉄の銛(もり)を付けた竹やりを握っている。 日本軍が老人に槍(やり)を支給したに違いない。 老人は何か叫びながら、突進してきた。
自動小銃が火を吹き、その老人は倒れた。 その時、ようやく日系アメリカ兵が現場に到着し、日本語で壕の中の住民に「やめろ、やめろ」と説得した。 ようやく惨劇が終わった。
-つづく
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