上原正稔日記

ドキュメンタリー作家の上原正稔(しょうねん)が綴る日記です。
この日記はドキュメンタリーでフィクションではありません。

人名、地名の謎を解くには先ず、古名を知ること

2013-10-10 08:49:02 | ウチナー口の秘密

人名、地名の謎を解くには先ず、古名を知ること

平良はビイサラ、イシガキはイシャナギ

平良という地名がある。タイラと発音しては永遠に意味をつかめない。ヒララという発音もそうだ。宮古の平良は本来ビイサラと発音していたものだ。ここから発見の旅が始まり、ぼくらのジンブン(人文)が試される時だ。

梵語辞典を引いたり押したりして、ようやく「ヴィシャーラ」(viśāla)に辿り着く。ヴィシャーラとは「王様や菩薩の名」であり「聖地の名」であることを知る。

「平良」に住む人々は「聖なる地名」を知り、誇らしく思うだろう。

ぼくらは石垣島をイシガキ島と発音しているが、「イシガキ」からは何も生まれない。石垣の古名はイシャナギだ。これも「人文」を働かさせて、ようやく「イーシャ」(īśya)「ナガ」(naga)に辿り着く。イーシャは「シヴァ神」の別名で、ナガは「山」のことだ。つまり「神の山」が語源だ。ところでイシャナギという発音からピンと来るものがある。それは「古事記」のイサナギ、イサナミだ。イサナギ→イザナギ、イサナミ→イザナミの語源がイーシャナガ(神の山)あるいは(山の神)であることにつながるのだ。サンスクリットでは修飾語が前に来たり、後ろに来たり、かなり自由だからイサナギは「山の神」ということになる。イサナミはこれからの研究事項にして、しばらくこのままにしておこう。「古事記」まで調べ直す必要が出てくるとは大変な発見の旅になりそうだ。

ところでジンブンとは「人文」で「知恵」のことだ。ジンブンとは何か難しそうな漢字だろうと思っているのがほとんどだが、こんな簡単なことだったのだ。


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