揚げ足取りPart4、おそらく最終回…は、
Wikipedia(日本版)のXEROX Star に関する記事
「ゼロックスは"GlobalView"というPC/AT互換機用ソフトウェア製品を発売…」は正しくない
UNIX、OS2、Windowsでも動作した
のWindows 編である。
◆Windows編(GlobalView for Windows)
日本では
'96年にWindows上で動作する GlobalViewは、
「GlobalView for Windows」として販売されている。
Wikipediaの編集者が参考にしたと思われる
Nathan's Toasty Technology pageサイトには、
Xerox GlobalView 2.1 とだけ紹介されている。
また、同サイトでは GlobalView for Windowsを
「Mesaのエミュレーター」としているようだ。
そのほうが分かりやすく、
それでもいいのかなと思うが、
ここではもう少し詳しい説明を。
Star/JStar は、コード名DandelionやDaisyなど
XEROX社オリジナルのハードで動作していた。
だが、実際はJavaのように
仮想マシン上で動いていたのだ。
だから、本来Star/JStar はハードに依存しない。
Javaのように仮想マシン部分を対応させれば、
他のハードやOS等で動作するのである。
(JavaがXEROXの技術を元にしているのだけどね…)
つまり、GlobalView for Windowsは、
Mesa仮想マシンのWindows対応版なのである。
時代が遡り、
'80年代後半XEROXと富士ゼロックスは、
StarのViewPointをUNIXに移植するために
MesaコードのC言語書き換えに追われていた。
その頃、
非公式ではあるが
日米のMesa担当の技術者有志により
サンマイクロシステムズ社のSPARC プロセッサで動作する
Mesaプロセッサの開発が行われている。
たしか、“Mesa on SPARC”と言ったと思うが、
この技術によって
DandelionなどのMesaプロセッサに使用された
旧式な4bitスライスMPU(AMD2901)を
当時最新のSPARCプロセッサにすることが
可能になった。
が、またしてもこの技術は商品化されなかった。
しかし、この技術がのちに
“Mesa on Intel Pentium”じゃなくて…
GlobalView for Windowsに転用されたようだ。
実装に当たっては、
Mesa仮想マシンだけでなくOS(Pilot)の一部も
Windows のAPI対応等で手が加えられたが、
GlobalView for Windowsは、
C言語に書き換えられたUNIX版と違い
JStar で動作していたソフトがそのまま動いた。
おまけに、
長年JStar は遅い遅いといわれたが、
'96年の秋に購入した私のノートパソコン
(CPU:100MHz、メモリ:42MB程度)でも、
GlobalView for Windowsは、
Dマシン以上のスピードでサクサク動いた。
ディスク容量も
ViewPointのソフトだけでなく
ユーザーデータを保存する領域込みで
100MBもあれば十分というコンパクトさだった。
(JStarのHDDが50~80MB程度だったので当たり前だが)
おしむなくは、Windows NT への対応と
ViewCardsのプロテクト解除機能を
しといてほしかった。
そうすれば、
今でも
GlobalView for Windowsを
使ってたろうに…
Star/JStar
Alto Computerの後継機のひとつ
・Star:'81年にXEROX社が発表したオフィスワークステーション
・JStar:'82年に富士ゼロックスが発表したStarの日本版
'99年に販売・サポートが終了している。