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【栗東市職員が論文発表】広域的街づくり考察/新駅中止手がかりに

2009年03月02日 | 朝日新聞
 京都橘大学大学院(京都市山科区)に通う栗東市都市計画課の竹山和弘さん(36)が、新幹線新駅事業の中止問題を手がかりに、広域的な街づくりのあり方を考察する論文を発表した。街づくりには、情報の提供や地域住民との連携が必要と提言。学内の評価は高く、7月にある日本地域政策学会で発表される予定だ。(安田琢典)


 竹山さんは07年4月、同大学院文化政策学研究科博士前期課程に社会人入学。嘉田由紀子知事が前年に就任し、新駅事業の凍結の是非が問題化していたころだった。「新幹線を切り口に行政施策のあり方を学んでみたい」。同市の都市計画マスタープランの策定委員長を務めた織田直文教授から薦められ、研究に取り組み始めた。


 論文は「地方都市における広域プロジェクトのあり方に関する研究―新幹線新駅問題による事例研究」。効果が広域に及ぶ公共事業の方針転換が、街づくりにどう影響するかを考察している。


 新駅事業については、「行政や政治主導で進められ、地域住民を主体的に巻き込むことができなかった」と指摘。市の取り組みにも、「市主導の事業として進められたことで『効果の囲い込み』につながった」と批判した。一方で、嘉田知事のマニフェストについても、「凍結による公的資金の発生に言及しておらず、財源や実現手法にも問題点が多い」と疑問を示した。


 その上で、広域的な街づくりを進めるのに必要なのは、事業効果を広域で共有できる情報の提供と世論の形成▽地域住民との協働と連携、と提言。また、公共事業を計画する時には、「政策転換によって、途中で中止される状況も想定したシナリオをあらかじめ示す必要がある」と問題提起した。


 同大では論文の出版も検討中。織田教授は「渦中の自治体職員が、感情論ではなく、事象を丁寧に切り取った秀作。公共事業の中止は全国で起こりうるだけに、この論文は貴重な提言になる」と話している。

<写真>修士論文を執筆した竹山和弘さん(右)と、指導した織田直文教授=京都市山科区大宅山田町の京都橘大学



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