
~ココロに宿るマダラ模様~
いつのころから始まったのか、ステンレスの2本用タンクを3分差で2個同時に現像するやりかた。それは、言うまでもなく手元にもう一つのタンクが揃ってからだ。最初から2本使いではなかった。たしか、分厚い写真雑誌を立ち読みした時。白黒の何かしらの記事があって、そこに多分良く知られた写真を撮る方の談話に、そのようなやり方の記述あったからだと思う。誰かに聞いて教わることなく、なにもかも物の本から身に付けてきた事の証しでもあろう。そして、思い出せないくらいの昔。とは大袈裟だけれど、ボクが写真を始めたのは1997年秋だ。やっぱり、つい最近のこと、という気分はまだまだ強い。初めから、撮るならモノクロという漠然とした気持ちだけはあった。
そのころ、毎週のようにあった近所のフリーマーケット巡り。と言っても、駒沢公園と三宿にある世田谷公園の二カ所だけれど。規模の大小こそあれ、ほんとに家庭にある不要品が並ぶ店ばかりで、当然雰囲気もいい。気合いが入れば、午前中に駒沢公園に見切りをつけ、歩いて三宿へ向かった時もあった。懐かしい。あっ、最初のころは自転車だったかも。
たしか、初夏のころだったのか。朝から駒沢公園でのフリマへ出かけていた。その出向く回数に比べ、獲物というか収穫は本当に少ない。空振りばかりとも。時間帯のことやタイミングもあるけれど、むしろボクの捜し物が希少品種なだけなのかもしれない。だけど、先に書いたように雰囲気がいいから、ボクの好みでなくとも充分に楽しめるのだ。
ボクは決まって、会場を何度も何度も回る。売り物を、それは良い物とか掘り出し物ほど小出しにする店があれば、遅れて開店する店もあるからだ。微かな記憶を辿れば、相当混雑していたと思う。そんななか、何周目かのとき、ごく普通の日曜雑貨ばかりの店だったと思うのだけれど、そこにポツンと現像タンクがあった。ステンレスだから、よく目立った。2本用のものだ。
もう一個欲しいと以前より思っていたものの、ヨドバシカメラで買うならその分フィルムを買いたいと、いつも直前になって思いとどまり、2本用一個で充分だよな、と自分に言い聞かせていたのだった。効率のことなんて眼中になかったというか、知らなかっただけ。後に、何かしらの写真雑誌をいつものように立ち読みしていたら、どなたかの暗室が映っていて、膨大なリールの山と幾種類ものタンクが並んでいて唖然となった。その辺から、そんな仕方があるんだと思い始めたものだった。それに、何と言っても一度に沢山撮ることはないから。
早速、店主に聞けば500円という。即座に買った。その時、リールが一緒だったかは、何故か記憶にない。恐らく、そのお子さんが使用していたものだろう。写真学校へ通ったのだろうか。それとも、高校の時に熱中したとか。そんな風に思ったものだった。そうして、一度に4本のフィルムが現像できる環境が揃ったのだ。嬉しかった。
(不定期に続く)
*実録・幻像村物語 (2) (3)
だなんて、大胆にして大いなる勇気!
凄すぎ。
で~もでもでも、その何というのか、出来ることなら避けて通りたい村ですよね。