Tosh's 生活Show百科

1950年生れのToshが、慣れない料理をはじめ家事全般についてチャレンジする様子を気ままに綴る体験記

「ゴールデン・サークル」と「アンパンのマーチ」

2013-11-12 | 経営理念
 季刊誌「考える人」2013年秋号(新潮社刊)の特集「人を動かすスピーチ」から、「インスパイアするリーダーは何が違うか?」のテーマで、コンサルタントのサイモン・シネック(Simon Sineck)へのインタビュー記事に興味を惹かれた。
 アメリカをはじめ世界を変えた、”I have a dream”に始まるマーティン・ルーサー牧師による名演説、ここには半世紀を経てなお人々の心を揺さぶるものがあるが、その理由を尋ねられ、「キング牧師には、自身がなぜその行動をとっているのか、理由(Why)が明確だった。」と答えている。
 ここに彼が提唱する「ゴールデン・サークル」の中心、WHYが登場する。彼はこう続ける…「いちばん外側にあるのが、WHAT(何)、企業や組織、あるいは個人は、自分が何をしているのかは大体わかっていて、うまく説明できる。次にHOW(手法)。どのような方法で物事を進めているかも説明できることが多い。ただ、核心にあるWHY-なぜそれをしているか-となると、説明できる人や企業が途端に少なくなってしまう。」
 そして…「ぼくはある時、気づいたのです。人々を鼓舞し、活力を与えるリーダーや、すぐれた経営者をもつ企業はみな、WHATではなくWHYからスタートしていることに。」
 そこで、一例として、アップルの名を挙げて、「我々は、現実に挑戦し、違うものの考え方をする(WHY)。我々は、美しいデザイン、シンプルな操作の製品で現状に挑戦する(HOW)。そして結果として、素晴らしい製品ができる(WHAT)。」というマーケティング手法を紹介している。つまり、「アップルを買う人は、アップルの製品を買うのではなく、その思想やライフスタイルに共感して、アップルのWHYを買うのだと説く。
 一方、先月94年の生涯を閉じた、やなせたかし氏のアンパンマンは、今や子供だけでなく、知らない人のない名作となったが、そのテーマ曲になった「アンパンマンのマーチ」を改めて読んでみると、これはとても子供に向けだけの詞ではないことに気付く。
  
  そうだ!嬉しいんだ生きる喜び たとえ胸の傷が痛んでも
  何の為に生まれて 何をして生きるのか
  答えられないなんて そんなのは嫌だ!
  今を生きることで 熱いこころ燃える
  だから君は行くんだ微笑んで (詞:やなせ たかし)

 私は、ゴーデン・サークルの記事を読んで、この詞に中に「WHY」があることに気付いた。
 「何の為に生まれて 何をして生きるのか 答えられないなんて そんなのは嫌だ」…まさにここがWHYであり、言い換えれば、私たちが求めてきた理念経営の核心がここにあるということに気付いたわけだ。WHYから説き起こされた経営理念をHOWからWHATに向けて展開することで、多くの人に共感をもっていただく企業の実現が見えてくるのだと信じたい。
 腹を減らした人がいれば、自分の顔を食べさせ、自分はボロボロになってしまうアンパンパン。多くの高邁な経営理論より、私はこの方が素直に理解できる(単純な性格!)。
 ここに来るまで、63年の馬齢を重ねてしまったが、やなせたかしさんも、人生の花を咲かせたのは、70歳に近くなってからだった。
 まだまだこれからだな、今私はそう思い始めている。


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