こんな本を読んでいる

日々出版される本の洪水。翻弄されながらも気ままに楽しむ。あんな本。こんな本。
新しい出会いをありがとう。

『メディアの支配者』を読みはじめた。

2005年09月09日 | 読書ノート
メディアの支配者 上

講談社

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 巨大メディア複合体,フジサンケイグループの権力抗争を追ったノン・フィクション。その総帥であった,鹿内信隆による,ムーアとピカソの作品を集めた「彫刻の森美術館」。ネルソン・ロックフェラーから,ヘンリー・ムーアの作品16点をまとめ買いするところから,話は始まる。

 財界の大物の絵画趣味は,バブルのピーク期における大昭和製紙の齋藤名誉会長のゴッホの「医師ガッシュの肖像」と,ルノワール「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」の,あわせて,100億を超える投資で極まった感があったが,鹿内議長のそれは,バブルに火がついたばかりの,1986年のことだった。

 そして,お話は,今のリーダー日枝氏による,後継議長,鹿内宏明解任クーデターへと続く。西武の堤といい,ダイエーの中内といい,戦後の日本経済を支えた同族支配構造が,いまや,次々に,音をたてて崩れて行く様が見て取れる。そういえば,10年前くらい,鹿内という名前は,新聞に掲載された週刊誌の見出しに,結構,のっていたなと,おぼろげに記憶している。

 ライブドアによるニッポン放送株の買収騒ぎが起こったとき,ホリエモンは,「採取は知らなかったけど,歴史を調べると鹿内さんも乗っ取ったんだよなあ,なるほどなあと思った。うまいことやりましたよね,鹿内一族」とコメントしている。政治にしても経済にしても,世襲的なもの因習的なものが壊されて再構築されていくとき,その再構築の過程で,新たな変革のエネルギーが生じ,社会に活力をもたらすのではないのか,そんな展開期が訪れているように思う。

 人口が減少に転じた今,さほど,余裕はないけれど,子供たちの将来に希望の二文字を示す責務が,我々親父世代にはあるのではないか,なんて考えさせられてしまった。


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