こんな本を読んでいる

日々出版される本の洪水。翻弄されながらも気ままに楽しむ。あんな本。こんな本。
新しい出会いをありがとう。

シュリーマン『古代への情熱』

2005年04月20日 | 読書ノート
トロイと言えばトロイヤの遺跡。シュリーマンが発見したあの遺跡。例の『古代への情熱』(2005年ブックレビュー1月)である。小学校高学年の時,担任の先生から,ダーウインの『種の起源』とともに読むように勧められながら,手に取ることのないまま徒に時をかさね,中年になってやっと,そして,この元旦,悲願を果たし『古代への情熱』を読み終えた。思えば,長い道のりだった。

 シュリーマンと同じくらいな歳になってみて初めて,彼の成し遂げたことのすごさが理解できた。情熱を失うことなくホメロスの詩の実在を信じつづけた,シュリーマンのねばり強さに感嘆してしまう。その偉業をあらためて再評価したい気持ちだ。語学の天才であることに加え,クリミア戦争での破産・破滅のリスクを首の皮一枚でかわした幸運さも,彼をして偉大な発見をすることになった要因のひとつ。学校で教える語学の実践力のなさを指摘するあたり昔も今も変わらんなと思うし,初恋の人への思いを赤裸々に語るくだりでは,おいおい,奥さんいるのに大丈夫かよ,などと,いらない心配もしてしまう。元旦読書に相応しい良書であった。




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