こんな本を読んでいる

日々出版される本の洪水。翻弄されながらも気ままに楽しむ。あんな本。こんな本。
新しい出会いをありがとう。

『野口英世は眠らない』を読んだ。

2005年08月15日 | 読書ノート
野口英世は眠らない

綜合社

このアイテムの詳細を見る

 山本厚子さんの『野口英世は眠らない』を読んだ。米国のロックフェラー研究所で働き世界的な名声を得た野口英世。医学上の貢献から,三度もノーベル賞の候補となっている。当時はイチローやナカタよりも有名であったに違いない。

 黄熱病の救済で訪れた中・南米の諸都市には,野口どおりや胸像,野口の名を冠した学校までもあり,いまでも,地域の人々から尊敬を受けている。それほどまでに,命の救済への貢献は高かったのである。ガーナのアクラで倒れたため,ともすれば,野口=アフリカ救済とイメージが固定されがちであるが,彼の貢献はもっと広い地域に及んでいたのである。

 子供向けの本から,野口のイメージは幼少時のヤケドのハンディの克服の部分に偏りがちだが,この本からは,子供向けの定本では得られない,野口の様々な顔をみることができる。(その一部を次に列挙してみる。)

・ 世界的な名声の高まりから,功をあせってのアクラ行きであったこと。
・ 金銭感覚はあまりなく,借金や放蕩を繰り返していたこと。
・ 米国妻は貧困なアイルランド移民。体の大きいくケンカではいつも彼女がまさっていたし,家庭的な支援がえられなかったこと。
・ 彼の研究スタイルはまさしく眠らないであったが,初恋の人へのアプローチもまさしく同じで,ストーカーもどきの執拗さであったこと。研究者の粘りといべきか。

いずれにせよ,1,000札になるだけの価値ある人の意外な面を読めて良かった。

 

 

 


最新の画像もっと見る