すべての感染者の状態、死亡者の数の把握を行わないと、今回の新型インフルエンザの「致死率」等が正しく表す事が出来ない。
仮に29日の時点での感染確認と死亡者数は、感染確認は99人、8人が死亡であるので、8÷99=0.08、、、となり、致死率は8%となる。
しかも、感染未確認の死体があり、数が多過ぎるなどの理由でそのまま死体を葬れば、「本当にインフルエンザで死亡したのか?」と言う事も疑問がでてくる。
場合によっては第三者が意図的にバラまいた「別のウイルスの可能性」があるかもしれないのだ!。
又、法的な立場で考えれば、「検死もせず、「記録に残らず」葬る事自体」問題がある。
メキシコ政府は、手間を惜しまず、「正確な数値」を世界に向け公表すべきだ。
メキシコはこんな事も正しく出来ないのか?、と言う事になり、国家として「どうなのか?」と言う事にも繋がる。
又、WHOは保健衛生を優先し、経済効率を考えるべきではない。
米国などの食肉産業が揺らぐからと言って、今回のインフルエンザの名称を変更したり、すべきではない。
米国の全米食肉協会や、USTRなどから圧力を受けているのであろうか?、、、。
あくまでも「独立機関」としての使命を果たしてもらいたい、、、。
妙な変更や、隠蔽を行えば行うだけ、「WHO」としての信頼性は揺らぐ事になる。
記事参照
【新型インフル】確認312人、死者12人に メキシコ
2009.5.1 11:31
このニュースのトピックス:新型インフルエンザ
メキシコのコルドバ保健相は30日、同日までに312人の新型インフルエンザ感染が確認され、うち12人が死亡したと発表した。
保健相は前日の29日、感染確認は99人でうち8人が死亡したとしていたが、「(確認された)死者数が増えたのは、新たに死者が出たということではない」と述べ、解析速度の向上によるものだと強調した。
死亡した12人のうち、男性は4人で、女性は8人。7人がメキシコ市、4人が中部メキシコ州、1人が南部オアハカ州の住民という。
保健相はまた、今後、感染未確認の死者数は公表せず、確認された死者の数だけを公表する考えを示した。(共同)
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元ハゲタカのやる事は「ボロボロになってもしゃぶり尽くす」と言う事か、、、。
記事参照
八木啓代のひとりごと
豚インフルに関する、もうひとつの疑惑
http://nobuyoyagi.blog16.fc2.com/blog-entry-358.html
米国の経済関係者が問題に加わると、「正しい事も、正しくなくなる」事になる事が多い。
このような部分が「世界各国から嫌がられる事」に気付くべきだ。
未だに繰り返しているようだ、、、。
記事参照
新型インフル:警戒度引き上げ、米などが先延ばし要請
【ジュネーブ澤田克己】新型インフルエンザ流行に関して世界保健機関(WHO)が先月25日に初めて開いた緊急委員会で、米国とメキシコが、世界的大流行に備えた警戒度をそれまでの「フェーズ3」から「4」へ引き上げる決定を先延ばしするよう求めていたことが分かった。
1日に会見した、緊急委メンバーの田代真人・国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長によると、緊急委が開かれた時点で、メキシコ国内での人から人への感染が継続して起きていることは疫学的に明らかだった。WHOの定義上は、この段階で「4」になってもおかしくなかった。
ただ、メキシコが「(警戒度引き上げは)経済や社会に与えるインパクトが大きい」と主張。同国と米国が「疫学的な証拠だけでは不十分だ。ウイルス学的な検査を行って、科学的な証拠を得るまで待ってほしい」と要請したため、3日後に再度会議を開いて検討することになったという。
実際には、その後も感染拡大が続いたため、2日後に第2回緊急委が前倒し招集されてフェーズ4への引き上げが決まった。
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毎日新聞 2009年5月2日 14時00分(最終更新 5月2日 14時08分)
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20090502k0000e030059000c.html
記事参照
メキシコ、新型インフル原因とみられる死者の数を下方修正
2009年 05月 2日 14:23 JST
[メキシコ市 1日 ロイター] メキシコのコルドバ保健相は1日、新型インフルエンザ(インフルエンザA型)感染が原因と疑われる死者の数について、これまでの最大176人から同101人に修正すると発表した。
コルドバ保健相によると、新型インフルエンザへの感染が疑われた死者の検体を調べたところ、一部は陰性だったと判明。死亡した人のうち、これまでに感染が確認できたのは16例で、そのほかの85例についても検査中だとしている。
同保健相はまた、これまでに新型インフルエンザへの感染が確認された症例が397件で、うち381件では既に完治したか抗ウイルス薬で治療中だと述べた。
© Thomson Reuters 2009 All rights reserved.
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-37830320090502
一部は陰性(新型ではない)と言う結果になったようだが、どんな病気で大量に死亡したのであろうか?、、、。
Aソ連型?、、、考えにくい、、、。
それとも、他の疾患?、、、。
とりあえず、正確な状況を作り出す事が重要だ。
これをこなせば、メキシコ国の信用も上がるのである。
米国の食肉産業に負けてはならない。
ガンバレ!。
記事参照
低アレルギー卵産む鶏誕生へ、インフルワクチン製造に期待
広島大の堀内浩幸助教(免疫生物学)らのグループが、アレルギー性を抑えた鶏卵の開発につながる、鶏の万能細胞「ES細胞」の遺伝子組み換えに成功した。年内にも低アレルギー性の卵を産む鶏が誕生する見通し。
有精卵は、新型を含むインフルエンザワクチンの製造に使われ、卵アレルギーの人にも接種可能なワクチンができると期待されている。
卵アレルギーは乳幼児から10歳代に多く、発疹(ほっしん)や呼吸異常を招き、重篤な場合は意識障害などを起こすアナフィラキシーショックで死亡することもある。鶏卵に熱や酵素を加えても、アレルギー性の強いたんぱく質・オボムコイド(OVM)は除去できなかった。
堀内助教らは2001年、鶏の血液や骨など組織のもとになるES細胞を作製する方法を発見。今年4月には、ES細胞内で、OVMを発現させる遺伝子の塩基配列を並べ替えることで発現を止める技術を確立した。遺伝子を組み換えたES細胞を受精卵に戻しており、5~6月に第1世代約10羽が生まれる。掛け合わせで遺伝子が完全に組み換わり、OVMを含まない卵を産む第2世代が早ければ12月に誕生するという。
インフルエンザワクチンは、鶏卵内で増殖させたウイルスを無毒化して作るのが一般的。卵の成分がわずかに残るため、重い卵アレルギーの人は接種を避けるのが望ましいとされる。堀内助教は長男(3)にアレルギーがあり、「同じ不安を持つ親子のためにも実用化を急ぎたい」と話す。
手島玲子・国立医薬品食品衛生研究所代謝生化学部長の話「食品としては安全性のハードルがあるが、医薬品には早期の応用が期待でき、アレルギーのある人に朗報」
(2009年5月2日16時08分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090502-OYT1T00544.htm
Blog Rails で行こう!より
文章の一部を抜粋
私はメキシコ国立健康研究所(the Mexican National Institute of Health)の呼吸器疾病と集中治療の専門医です。ここでは豚インフルエンザについて重大な緊急事態になっています。集中治療室に、次々と新しい患者が運びこまれてきています。スタッフ全員(医師・看護士・専門家)の果敢な努力にもかかわらず、患者たちの死を回避することができません。実のところ、たとえ大量投与したとしても、抗ウィルス治療とワクチンはなんの効果もないと考えられています。これはスタッフにとって大きな恐怖です。医師と医療スタッフに対する感染リスクは非常に高いです。
他の病院でも混乱した状況になっており、私たちは何をすべきかわからない状態です。スタッフは現場を去り始めており、多くの人たちが退職を選択したり、休暇を申請しています。当局が発表しているものより、さらに致死率が高いのが真実です。すくなくとも私が働いている病院ではそうです。ここでは、一日に3人から4人の患者が亡くなっており、この状態が3週間以上続いています。これは恥ずべきことであり、大きな恐怖を感じています。20歳から30歳の若い患者たちが、私たちの絶望的なまなざしの中で死んでいき、ここの医療専門家の間には大きな悲しみが広がっています。
私はメキシコ・シティの最も大きな病院の一つの常駐医師ですが、残念ながら、状況は「コントロール可能」とは程遠い状態です。医師として、メディアが真実を伝えてないことに気づいています。当局は、すべての医療関係者にワクチンを配布していますが、効果をあげていません。というのも、ワクチン接種を受けていたにもかかわらず、この病院で働いていた2人のパートナー(インターン)が6日以内にこの新しいウィルスによって亡くなりました。公式の死者数は20名ですが、本当の数字は200名以上です。われわれがパニックを回避しなければならないのは理解できますが、これ以上の死者を出さないためには、本当のことを言うほうがよいと思います。
私は医師で、メキシコ州で働いています。ショックチーム*1ではなく、心エコー検査チームで働いているのですが、病院の同僚からいくつか情報を得ています。これまでに呼吸器感染症から亡くなった若い人たちの症例がいくつかあります。しかし、これは警報発令以前に発生して、必要な検査が行われなかったため、報告されていません。われわれ医師は、警報が発令される一週間前にはこれが起きていることを知っていて、ワクチン接種を受けるように言われました。私は、夫のために抗ウィルス剤を買いに行きました。夫も医師なのですが、彼は、インフルエンザの症状を示し死亡した若い患者に接触したためです。薬局には抗ウィルス剤の十分な在庫がないと思います。
続く、、、。
*下記のURLで読んでください。
http://d.hatena.ne.jp/elm200/20090427/1240802086
今回のメキシコでのインフルエンザ関連を、いろいろと調べていたら、このような記事が見つかったので、一応、載せておく事にした。
ふと、考えたが、研究機関や、ゲノム登録機関の情報漏洩などは起こりえるのであろうか?。
やはりディジタル・データ化しているとなると、「一気に大量の情報が盗まれる事」は起こりやすくなるのかもしれない。
ネットワーク化している現代を考えた場合、条件が揃えば、地球上のどこからでも情報取得が可能である。
記事参照
「ブタから人工インフルエンザ・ウイルス発見」の謎
2005年3月10日
Kristen Philipkoski 2005年03月10日
韓国のブタから採取されたウイルスに、数十年前に科学者が人間のインフルエンザ・ウイルスから人工的に作り出したウイルスの遺伝子が含まれていた。米国のあるインフルエンザ研究者によると、今回見つかった遺伝子は人間にとって危険な状況を表しているかもしれないという。
全世界のインフルエンザの蔓延を監視する世界保健機関(WHO)は、ブタのサンプルの調査が終わっていないという理由からコメントを控えている。
人工のインフルエンザ・ウイルスがブタの体内に存在することは、いくつかの理由から問題となるおそれがある。まず、人工ウイルスがブタの体内で発見されること自体おかしい。自然感染したのだろうか? それとも、研究所で偶発的にサンプルにウイルスが混入しただけだろうか? 可能性こそ低いものの、バイオテロというさらに恐ろしい原因も考えられる。そして、第2の問題は、ウイルスがブタを媒体として人間に感染することが多い点だ。今回見つかったインフルエンザ・ウイルスに関しては、これまでこれに感染した人が誰一人いないため、人間にはまったく免疫がないか、あっても少ししかないだろう。
WHOの広報担当者は「インフルエンザに関して言うと、ブタはつねに人間への危険を表している。というのも、ブタはさまざまなインフルエンザ・ウイルスの混合容器として働いているのだ」と話す。
それでもWHOは、もっと多くの研究所がサンプルを確認するまで、データが真実であることを――つまりこの遺伝子が研究所での混入などではなく、ほんとうにブタの体内に人間に感染するウイルスが存在していたのだと――認めるつもりはないという。
リコンビノミクス社の創立者であるヘンリー・ナイマン社長(写真)によると、目下行なわれているブタのサンプル調査は進め方が遅すぎるという。研究者でもあるナイマン社長はこの2年間、鳥インフルエンザの拡大と変わりゆくウイルスの遺伝子構造を追跡しつづけてきた。もし韓国のブタが人工のヒトインフルエンザに感染しているとしたら、当局はただちに感染拡大の防止策を講じなければならない。
韓国のデジョン(大田)にあるチュンナム(忠南)大学のソ・サンヒ教授は昨年10月下旬、ブタのサンプルから取り出したウイルスの遺伝物質の塩基配列断片を『ジーンバンク』に登録した。ナイマン社長は11月にこのデータと偶然出会い、6つの断片に『WSN/33』ウイルスの遺伝子が3個から7個含まれていることに気付いた。このウイルスは、1918年のインフルエンザの流行を調査していたロンドンの研究所が1933年にはじめて分離し、それをマウスに感染させて作り出したもの。ナイマン社長によると、このウイルスは人間への感染もありうるという。ナイマン社長は12月上旬、ソ教授のサンプルにWSN/33ウイルスの遺伝子が含まれていることをWHOに報告した。
『サイエンス』誌の記事によると、WHOは当初、聖ユダ小児研究病院(テネシー州メンフィス)の研究者がWSN/33ウイルスのサンプルをソ教授の研究所に送ったと述べた事実を受け、ソ教授のデータを研究所での混入として片付けたという。ところが、ソ教授はサイエンス誌に、WSN/33ウイルスを受け取ったことはないと話している。
聖ユダ小児研究病院は韓国のブタについてのコメントを控えており、ソ教授にも電子メールでコメントを求めたが、回答は得られなかった。
ソ教授はブタのサンプルのデータをサイエンス誌に掲載してもらおうと同誌に送ったが、編集部はこれを却下し、第三者機関の検査によってデータの正当性を証明するよう求めた。現在、香港の研究所とウィスコンシン大学マディソン校の研究所がサンプルの検証を進めている。WHOもこの結果を待ってから、このブタが人間にとって危険かどうかを判断することにしている。
ナイマン社長は「韓国の農場にいるブタの体内、そしてひょっとすると鳥の体内に、WSN/33の遺伝物質が本当に存在するとしたら、とてつもなく大きな問題になる」と話す。
ナイマン社長によると、データの正当性が認められた場合、理由としては次のいずれかが考えられるという。どこかの研究施設から人工ウイルスが流出したか、ウイルスの遺伝子が組み換わり、インフルエンザ研究者のほとんどが不可能だと思っている方法で変異したかのどちらかだ。
「どこかの研究所から流出した可能性がもっとも高いが、(WHOは)そのような現実を考えたく(ないはずだ)。もちろん、遺伝子の組み換えについても想像したくないだろう」とナイマン社長は語った。
[日本語版:米井香織/岩坂 彰]
WIRED NEWS 原文(English)
Translations and other portions of original articles: Copyright © 2009 NTT Resonant Inc. and CondéNet, Inc. All rights reserved.
http://wiredvision.jp/archives/200503/2005031002.html
やはり地続きである隣国、米国政府の行動にかかっているのではなかろうか?。
現地では「医師も逃げ出す状態」になっているが、現地の医師のヘルパー派遣などは行わないのであろうか?、、、。
日本政府はこの事をどのように考えているのであろうか?。
やはり、「自殺と同等」、リスクが高過ぎるという事なのか?、、、。
この時期、誰も言わないと考えたので、あえて投稿する事にした。
WHOや赤十字はどのように考えているのであろうか?、、、。
又、メキシコから感染は広がったが、現状でも増え続けていると言う事であるならば、経済面でのマイナスはあるものの「今からでも国境や貿易の封鎖」は効果的ではなかろうか?。
数日前に、「感染が既に広がっているから「封鎖」はしない」とWHOの幹部はコメントしていたが、今からでも「効果はあるのではなかろうか?」。
一時的に「国境や貿易の封鎖」を行う事により、各国からすれば感染者の侵入リスクは極端に低く出来、仮に侵入した場合でも集中的に処置が行える。
しばらくの間、各国がそれぞれ「これ」を行い患者の減少が確認出来れば、残るはメキシコの感染者の処置(各国から応援)が可能ではなかろうか?。
一時的な「国境や貿易の封鎖」を行えるなら、「結果は異なってくる」はずだ。
上記が出来ないと言う事であれば、「最低限、人の移動」については、行う事により効果的な各国への感染リスク減少効果が見られるのではなかろうか?、、、。
記事参照
1976年の豚インフル:集団予防接種で副作用による死者多発
2009年4月30日
Tony Long
1976年2月、ニュージャージー州フォート・ディクスで、豚インフルエンザ患者が出現した。19歳のDavid Lewis二等兵が、訓練教官に対して疲労と体調不良を訴えたときのことだ。訓練を休むほど重症ではなかったが、Lewis二等兵はそれから24時間以内に死亡した。
解剖の結果、Lewis二等兵の死因は豚インフルエンザと判明した。豚インフルエンザとは、豚に由来するインフルエンザ・ウイルスのことだ。
その頃には、数人の兵士が発症し、入院していた。同じ基地で、無症状ながら感染している兵士が500人以上いると分かり、医師たちは危機感を募らせた。
これは1918年のスペイン風邪を想起させる出来事だった。同年、第一次世界大戦の前線から、インフルエンザに感染した兵士たちが帰還し、たちまち世界中に感染が拡大。これにより、少なくとも2000万人が死亡したのだ。
[スペイン風邪の感染者は、世界全体では6億人(当時の全人口の約3割)、死者4000~5000万人という数字もある。
発生源は1918年3月米国シカゴ付近で、米軍のヨーロッパ進軍とともに大西洋を渡り、5月-6月にヨーロッパで流行。情報がスペイン発であったためスペイン風邪と呼ばれた。のちにアラスカの凍土から発掘された遺体から採取されたウイルスの分析(日本語版記事)で、H1N1亜型であったことと、鳥インフルエンザウイルスに由来するものであった可能性が高いことがわかっている]
米国の保健当局は新たな流行を恐れ、国中の老若男女を対象にした予防接種プログラムの承認を、当時のフォード大統領に求めた。フォード大統領は1億3500万ドル(現在の価値では5億ドルに相当)という巨額を投じ、実行に移すことを決めた。
1976年10月、集団予防接種が開始された。ところが数週間もたたないうちに、注射の直後にギラン・バレー症候群を発症した人の報告が入り始めた。ギラン・バレー症候群とは、麻痺を伴う神経疾患だ。2カ月足らずで500人が発症し、30人以上が死亡した。
[ギラン・バレー症候群は一般に、カンピロバクター、マイコプラズマなどのウイルスや細菌の先行感染に引き続いて発症する。感染源に対する抗体が、誤って自己の末梢神経も攻撃してしまうという自己免疫応答によって発症すると考えられている。主に筋肉を動かす運動神経が障害され、四肢に力が入らなくなるが、重症の場合、中枢神経障害性の呼吸不全が生じる]
騒動は拡大し、危険を冒してまで予防接種を受けたくないという人が増え、12月16日、当局は突然プログラムを中止した。
結局、4000万の米国人が予防接種を受け、豚インフルエンザは流行しなかった。より精密な調査を実施した結果、1918年のインフルエンザ・ウイルスよりはるかに致死性の低いウイルスだということが分かった。豚インフルエンザそのものによる死者は、確認されている限り、不運なLewis二等兵のみだった。
このプログラムに対する評価は賛否両論だ。フォード大統領の決断は同年の大統領選挙を意識したもので、さらに、製薬会社の言いなりになったという批判もある(フォード大統領は選挙に敗れたため、前者については効果がなかったようだ)。一方、官僚主義の保健当局がこれだけ効率的に動いたことに対しては称賛の声もある。
[日本語版:ガリレオ-米井香織]
WIRED NEWS 原文(English)
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