地下水空調で電力半減 コマツ粟津と金大
コマツ粟津工場(小松市)と金大の共同研究グループは、地下水を空調に活用する省エ ネ技術を確立した。建設機械のラジエーターに地下水を通して空気を冷却、加熱する仕組 みで、工場内の8施設で実証試験を行い、従来のエアコンによる空調と比べて電気使用量 を5割削減する効果を確認した。粟津工場は建設中の新組立工場で導入し、「エコ工場」 の実現を目指す。
コマツと金大は2005年に産学連携協定を締結している。粟津工場は14年度の電気 使用量を10年度比で半減させる目標を掲げており、12年6月から金大理工研究域の瀧 本昭教授のグループと空調システムの技術開発を進めてきた。
コマツ粟津工場や瀧本教授によると、地下水は地表より40~70メートル下からくみ 上げ、年間を通して水温17度で安定している。夏場は地下水で冷やした空気を配管で建 物内に循環させることで、室内を涼しくする。冬場は地下水をいったん生産設備の冷却に 使い、温排水を循環させて暖かくするという。
空調システムは粟津工場の溶接工場や合同事務所などに順次導入されており、それぞれ 年間の電気使用量を半減させる効果があった。電気使用量を減らすだけでなく、シミュレ ーションに基づいて空気の吹き出しの位置や方向を工夫しており、瀧本教授は「においや 衛生面に考慮したシステムとなり、空調の快適性が高い」としている。
粟津工場の新組立工場は今春完成する予定であり、システム導入で電気使用量を大幅に 減らし、コスト削減につなげる。粟津工場プロジェクト室省エネルギー推進課の上田和則 課長によると、コマツの他工場での導入も検討しているという。
コマツは5日までに、共同研究チームの5人に「コマツ産学連携実用化賞」を授与した 。粟津工場で表彰式が行われ、山下修二工場長が表彰状を贈った。