店長の自殺が多発 ヤマダ電機で過酷ノルマや長時間残業原因

2013-12-13 15:17:04 | 報道

ヤマダ電機、過酷ノルマや長時間残業で店長の自殺相次ぐ~架空売り上げも発覚か

 本日(12月12日)発売の「週刊文春」(文藝春秋/12月19日号)が、家電量販店最大手のあの企業のブラック企業体質について報じている。

 その企業の名は、ヤマダ電機。家電量販店業界では、昨年、ヤマダ電機がベスト電器を買収し、ヤマダ・ベスト、ビック・コジマ、エディオン、ケーズホールディングス、ヨドバシカメラ、上新電機の6グループに再編され、競争が激化している。

 中でもヤマダ電機は業界最大手だが、文春の記事によれば、その裏には売上ノルマ達成への激しいプレッシャーが各店舗の店長に課せられているという。今年9月から行われている取締役本部長主催のテレビ会議には、全国の店長が出席し、前年比の売り上げを落とした店長が、1時間近くつるし上げにあうという。

 そうしたノルマ達成の厳しいプレッシャーにさらされたことが原因なのか、福島県にオープンしたテックランド船引店の店長は、営業不振に苦しんだ揚げ句に架空売上を計上するなどして、今年7月には自殺にまで追い込まれたという。ほかにも、2007年にテックランド柏崎店に勤務していた男性社員が、長時間労働の末にうつ病を発症し自殺。今月11日に遺族が損害賠償を求め提訴したと報じられている(http://mainichi.jp/select/news/20131212k0000m040029000c.html)。

 店長に課せられるノルマはどれほどなのか。記事では「近所のケーズデンキの売り上げをすべて奪ったとしても達成できない数字が課せられている」という現役店長の証言がある。さらには、今年から店長には点数が付けられ、2半期連続で点数が悪いと降格処分になるともいう。こうした背景から店長の長時間労働が常態化。文春が入手した内部資料によれば「今年の9月7日以降の4週間で残業時間が40時間を超えた者が、全国607店舗で1819人にものぼった」とのこと。さらに、厚労省が定めた月80時間の過労死ラインを超えた者が46人もいるというのだ。その上、店長の給与は平均で月40万円程度でボーナスはなく、残業時間を考えると決して高くはない。

 こうした背景のためか、11月7日号の文春では「管理職による商品泥棒や現金盗難などの不正が横行している」と、内部資料をもとに報じられていた。

 また、すでに10年に月刊誌「サイゾー」(サイゾー)は、『ヤマダ電機の激安快進撃の裏に法令不尊守と社員の酷使アリ』(http://www.premiumcyzo.com/modules/member/2010/02/post_823/)と題し、同社のブラック企業ぶりを報じている。その記事によれば、売上を達成するために店員の自腹購入があることや、フロア責任者や店長が、店員全員がつけているインカムを通して「今日の自分の売上額、言ってみろ」「そのお客落とせなかったら、転職候補な」などと暴言を吹き込んでいるとも。さらにそうした暴言が理由で急性ストレス障害と診断され退職した店員までいるという

文春はここ数年、ブラック企業と噂される有名企業の闇を暴いてきた。今年6月には外食チェーン大手のワタミを特集。6月13日号では「自民党参院候補 ワタミ渡邉美樹会長は“ミスターブラック企業”これだけの根拠」と題し、社員が長時間労働にもかかわらずほとんど休憩時間を取れない実態を報じ、続く6月20日号では、ワタミのグループ会社「ワタミの介護」が運営する施設で事件や事故が続出しているとも報じた。また、6月27日号では「“ブラック”過ぎる学校経営」という特集で、渡邊氏が理事長を務める学校で、教師の携帯電話番号を生徒に教え、24時間365日いつでも電話していいという“斬新な”教育方針を報じていた。

 ワタミのほかにも、文春のユニクロに関する記事は訴訟にまで発展。ユニクロを展開するファーストリテイリングなど2社が、文春の記事や11年に出版された『ユニクロ帝国の光と影』(横田増生/文藝春秋)に名誉を毀損されたとし、出版差し止めや損害賠償を求めていた裁判の判決が10月18日にあり、東京地裁は「月300時間以上働いている」という元店長の話は信用性が高いとして、ユニクロの訴えを退けている(その後、ユニクロとファーストリテイリングは東京高裁に控訴)。

 毎年恒例となった「2013 ユーキャン新語・流行語大賞」のトップテンにも選ばれた「ブラック企業」という言葉。今後、どの有名企業が、文春にブラック企業認定されるのか注目が集まる。



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