快読日記

日々の読書記録

「辰巳芳子 食の位置づけ ~そのはじまり~」辰巳芳子

2008年12月19日 | 暮らし・健康・理科っぽい話
《12/17読了 東京書籍 2008年刊 【食 食文化】 たつみ・よしこ(1924~)》


ここんとこ、メキメキ増量中のわたしです。
たしかによく食べています。
では「食べること」を大事にしているのかと言うと、むしろ逆。
食をないがしろにしてきたような。

だから本書の"食べものはガソリンではない。何でもエネルギーになればよいというものではない"という主張にはどきっとしました。

福岡伸一氏の「食べることによって固体の身体は、分子レベルで日々刷新される」発言を入口に、遺伝子組み換え食品の問題点、日本食の伝統、風土と食、「理をはかる」と書く料理の重要性など、食を巡る様々な考察は読み応え十分です。

第3章には、実際に生産に携わる酪農家、牡蠣の養殖家、有機農法に取り組む農家、みそ・しょうゆの醸造家が登場します。
その理念の確かさと、それを実行している人の迫力に圧倒されました。

最後、カトリック神父との対談で"食は祝福である。食は祈りである"との結論にたどり着くと、なんだか自分も浄化されるような、変な錯覚に陥ります。
そう。錯覚です。だってこれを読み終えたのはモ○バーガーの客席ですから。

食を変えることは人生そのものを変えることなんです、たぶん。