快読日記

日々の読書記録

「戦場から女優へ」サヘル・ローズ

2011年05月28日 | エッセイ・自叙伝・手記・紀行
《5/27読了 文藝春秋 2009年刊 【ノンフィクション 自叙伝】 Sahel Rosa(1985~)》

彼女が4歳のとき、イラクの空爆によって家族12人全員をいっぺんに失った、というのをテレビでチラッと見て、
そういえば吉田豪がこの本をどこかで取り上げてたなあ、と思い出しまして。
その前か後か忘れたけど、NHK FMに出演したときには、すごく情熱的な語り口と、社会問題に対する関心の深さが印象に残りました。

で、この本です。
本としてはかなりざっくりしてはいますが、その内容には読む価値あり。
帯に「戦争、空爆、孤児院、ホームレス、いじめ」とあるように、とくに子供時代の苦労には驚きます。
彼女に時折差し伸べられる救いの手に安堵しつつ(戦場イランより日本の中学でのいじめの方が惨いというのが情けない)、
日本でも震災後、大勢の子供が孤児になってしまったわけで、彼らに対して何ができるだろうかと考えました。
瓦礫の中からサヘルを救い出し、結果的には引き取って一人で育てたこの養母とは一体どういう人なのか、そこももっと知りたいです。
サヘルをこの養母役に、ぜひドラマ化を!

それはそうと、この本を作った人に言いたいことがひとつ。
表紙カバー裏と巻末に、筆者のプロフィールと一緒に経歴、つまりこの本のあらすじがしっかり紹介されているんです。
本編を読む必要がないくらいみごとなダイジェストが!
これはちょっと犯罪的。
次回、重版の際にはぜひ直していただきたい。

/「戦場から女優へ」サヘル・ローズ
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