快読日記

日々の読書記録

「多読術」松岡正剛

2011年07月17日 | 総記・書評・人生訓・哲学・宗教など
《7/16読了 ちくまプリマー新書(筑摩書房) 2009年刊 【読書】 まつおか・せいごう(1944~)》

先日、直木賞を受賞した小説家が「読んだ人が、明日からまたがんばろうと思えるようなものを書きたい」みたいなことを言っていて、
そういう作家と作品と読者がいるのは素晴らしいけど、わたしはいいや~、遠慮しとく、と思いながら、じゃあ、わたしは本にいったい何を求めてるの?とふと疑問が湧いた、というわけで、この本。

「多読術」といっても、いわゆる“速読”や“効率的な読書”指南ではなく(そんなの読みたくない)、「本を読むとはどういう行為なのか」の入り口をみっちり教えてくれる本。

繰り返し説明されるのが、読書とは編集である、ということ。
本からメッセージを受信するという単純なことだけではなく、「自己編集」であり「相互編集」であり、書かれていることと自分が感じていることとが「まざる」ことである、という定義は実に腑に落ちます。
いい読書って、自分に何かが足されるというより、自分をほんのわずかでも「変化」させるもんね、納得です。
他にも、
・本棚の整理の仕方
・(小説以外の本は)目次をしっかり読め
みたいな話から、
・本によってレセプターを使い分ける
・読書は他者との交際である
・「無知から未知へ」というのが読書の醍醐味である など。
読書を水たまりに例えたこんな名言もありました。
「そこを覗くと大きな青い空とか近くの建物とかが映っている。(略)もっと真上から覗くと、自分の顔が映る。(141p)」

欲望の赴くままに読んでるだけの「読書野人」のわたしでも、なんかこう、脳内が耕されて風通しが少しよくなったような気がします。

→松岡正剛の千夜千冊

/「多読術」松岡正剛
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