快読日記

日々の読書記録

「在中日本人108人の それでも私たちが中国に住む理由」在中日本人108人プロジェクト編

2013年11月01日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
《10/29読了 阪急コミュニケーションズ 2013年刊 【ノンフィクション 日中関係】》

ここに登場する在中日本人108人のほとんどはいわゆる知的な人たち。
付き合う中国人もおのずと同レベル以上の人になるわけで、そんな中では反日暴動に関して「政府と民衆は別」「あれが中国人のすべてだと思わないで」「同じ中国人として恥ずかしい」という反応が多いのは予想通りです。
情報量の少ない人ほど反日意識が強い。


中国人が抱く日本に対する複雑な感情(恨みや妬みや憧れ)を、中国人自身が冷静に見つめてくれたらいいけど、そんなことできるわけないなあというのが、できるはず!に変わったのがこの本を読んだ効用です。
こちら側だって、中国の文化に対する敬意や憧憬と「何をするかわからない怖い人たち」という矛盾したイメージを抱えていて、それを払拭することも不可能ではない。
そう。それは容易なことではないけど、可能性はゼロではない(古田新太)。
そんな意味でも、やっぱり今こそ読まれるべき本ではないかと思いました。


それから、中国の報道は党の規制のせいで偏っていて、日本はいくらなんでももうちょっとマシなんじゃないかとつい甘く考えてしまうけど、
反日デモを現地で経験した彼らの話を読めば、日本のニュースも何らかの意図を持って編集されていることは改めて認めざるを得ないです。
すべての出来事で当事者目線の正確な情報をつかむのは到底無理としても、できるだけ思い込みや偏見を捨てようとする、っていうんならちょっとできそうです。


/「在中日本人108人の それでも私たちが中国に住む理由」在中日本人108人プロジェクト編