快読日記

日々の読書記録

「人生を狂わせずに親の「老い」とつき合う」和田秀樹

2013年10月04日 | 暮らし・健康・理科っぽい話
《9/25読了 講談社+α新書 2012年刊 【介護】 わだ・ひでき(1960~)》

なんだか苦手なイメージがあった和田秀樹を初めて読んでみました。
タイトルの「人生を狂わせずに」というのがポイントです。
介護によって家族の人生が狂ってしまえば、する人・される人双方にとって不幸だもんね。

介護中の人にも、今はまだだけどいつかはという人にもおすすめしたい1冊です。

現在の日本の介護制度の問題点や介護の実状だけでなく、
当事者になったらどうしたらいいか、何に気をつけるべきか、
さらに、介護はまだ先の話という人もこれは知っておいた方がいい、ということまで、
論評だけでなくかなり実用的な内容が充実していて役立つ本です。
文体も歯切れがよくて読みやすいし、この手の本にたまにある「他人事感」「きれいごと言い」がないのがいい。

「「施設で死ぬのはかわいそう」という偏った発想は、中高年の女性や、老老介護を強いられているお年寄りの負担を、さらに増やす危険がある。
それよりは施設をもっと増やし、施設の労働者の待遇をもっとよくすることに金を使えといいたいし、それをマニフェストにしない政党ばかりなのが不愉快でならない。
(略)「親が元気だったから、見回りに行かないうちに孤独死をさせてしまった」と罪悪感を持つ人も多いようだが、「親が元気だったから行かなかった」のだ。だから、必要以上に気にしてほしくない。
施設死や孤独死を目の敵にする、ものの道理のわからない報道は、女性の敵、中高年の敵だという認識が、ぜひ日本中に広まってほしい」(76p)

とにかくとことん現実的なことしか書いてないところがうれしいし、なかなか人に相談しにくいお金のこともかなり率直に教えてくれます。

/「人生を狂わせずに親の「老い」とつき合う」和田秀樹