快読日記

日々の読書記録

「『善人』のやめ方」ひろさちや

2012年07月26日 | 総記・書評・人生訓・哲学・宗教など
《7/24読了 角川oneテーマ21 2012年刊 【人生】 ひろさちや(1936~)》

これまで読んださちや本の中での暫定1位はこれに決定。
今、ひろさちやに聞きたいことが網羅されている気がします。

「人生の危機」とは何か?という話に端を発し、サマセット・モームの「人間の絆」などを例に“本当に自由に生きるとはどういうことか”を説いています。
ちなみに“リストラに遭った”“大学入試に落ちた”“失業した”は「生活の危機」であって「人生の危機」ではありません。
そして「人間の絆」の原題「OF HUMAN BONDAGE」、この“BONDAGE”の訳として使われている「絆」には元来、現在使われる「連帯」の意味はなかったそうです。
現代人に誤解されないように訳すなら「ほだし、しがらみ、束縛」という方が適切だと指摘しています。

タイトルについて。
「善人」「悪人」というのは親鸞の悪人正機説(善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや 云々)に出てくる言葉です。
「悪人」はいわゆる犯罪者とは区別されます。

「ともかく、われわれはみんな悪人なんです。(略)人間はみんな凡夫であって、完全ではない。(略)その悪人であることを自覚せずに、俺はあいつよりも悪人じゃない、あいつにくらべて善人だ、なんて思っている人は偽善者です。わたしはそう思います」(153p)

人間はみな不完全だ、自分の不完全さを棚に上げ、善人づらをして、人を糾弾するのはやめよう、ということです。

この話に関わらず、さちや本を読む度にそのさまざまな指摘に「たしかにそうだなあ」と思うわけですが、いざ実践となると難しい。
でも、それができないからって気に病む必要はない、とりあえずそっちを向くだけでもいいんだ、という気になれるといいかなと思います。

さちや本は読む人を追い詰めない。

/「『善人』のやめ方」ひろさちや
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