快読日記

日々の読書記録

「船場」花登筐

2011年03月08日 | 日本の小説
《2/26読了 花登筐長篇選集第五巻 講談社 1973年刊 【日本の小説】 はなと・こばこ 1928~1983》

明治から昭和にかけての大阪・船場を舞台に、伊予の藍染職人 清兵衛・清吉父子と、清吉の子・清太郎の人生を描く三代記。
泥まみれの硬貨を子供の口に押し込んで「銭をねぶれ!」って叫ぶとか、自分の葬式の見積もりを計算するとか、もう何というか「花登筐ワールド」です。
あらすじみたいなザクザクした語り口が、すごいスピード感を生み、
そこにどうにもならない人間の業や欲望、知恵と愚かさ、悲しみと滑稽さ、狡さや真心なんかがみっちり詰まっていて、ゾクゾク来る傑作でした。
主人公の3人もさることながら、船場の大店「糸由」主人・由之助が「これぞ商人(あきんど)!」というかんじの人物で、その知恵と洞察力と度胸に惚れ惚れします。
例えるならドラマ「ナニワ金融道」で緒形拳がやった社長がちょっと近いような。
逆に、ものの道理がわからず、自業自得と言ってしまえばそれまでだけど、哀れで残酷な人生を歩む源助みたいな人を徹底的に描くのもすごいです。
どんな端役であっても、その人がどんな性質でどんなものの考え方をし、どんな人生を送るのかが、手に取るように伝わりました。
おもしろかった~!

花登筐の作品を読むと、人間を骨の髄までしゃぶり尽した!っていうか、「あ~! うまかった! 食った食った!」みたいなすごい満腹感&満足感があります。

すべてネタばれあり。
→「あかんたれ~土性っ骨」花登筐
→「どてらい男」1~3巻 花登筐
→「どてらい男」4巻 花登筐
→「どてらい男」5巻 花登筐
→「どてらい男」6巻 花登筐


/「船場」花登筐
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