快読日記

日々の読書記録

「変愛小説集」岸本佐知子/編訳

2010年03月26日 | 翻訳小説
《3/25読了 アリ・スミス 他 講談社 2008年刊 【翻訳小説集 米英】 きしもと・さちこ(1960~)》

岸本佐知子のエッセイの新刊がなかなか出ないので、ついに本業に手を伸ばしてみました、まずはとっつきやすそうな短編集。

そこで、タイトルをもう一度見てください。
「変」愛 なんですね、うははは~!
編訳者あとがきによると、ここに収められた11篇は「普通の恋愛小説の基準からはかなりはずれた、グロテスクだったり極端だったり変てこだったりする(276p)」作品で、
その作品のラインナップが素晴らしいです。
訳者が本当に好きなものをチョイスしてくれているのがひしひしと伝わり、そのどれもがちょっと奇妙で不気味で狂おしくて、ハズレなし!
落語「あたま山」を彷彿とさせる「まる呑み」は、女が男を飲み込む話。
これは言葉でしか表現できない世界なんですね~、映像化不可能。
他にも、たった8ページの「セーター」の不気味さ、彼女が乗った飛行船を追いかける「ブルー・ヨーデル」の気が狂うような悲しさも印象的です。

全体的に、心や脳みそをぐわんぐわん揺すられるような話が最高の翻訳で読めた本、ってかんじ。おすすめです。