快読日記

日々の読書記録

「贅沢貧乏のマリア」群 ようこ

2009年10月21日 | エッセイ・自叙伝・手記・紀行
《10/20読了 角川文庫(角川書店) 1996年刊 (1994年に同社から刊行された単行本を文庫化) 【日本のエッセイ】 むれ・ようこ(1954~) 》

巻末の松本侑子の解説で「評伝エッセイ」という言葉を初めて知りました。
わたしはいわゆる耽美系やBLが苦手で、だから森茉莉の小説よりもエッセイが好き、
しかも「父の娘」としての茉莉にとても興味があるので、この「評伝エッセイ」はどんぴしゃでした。

解説でも言われていることですが、筆者が茉莉との間にとっている距離が絶妙です。
遠くから冷静に眺めたり肉薄したり、
共感したりぴしゃりと批判したり、
苦笑いで見つめたかと思えば、身につまされる思いを吐き出したり。
読者は森茉莉と群ようこという二人の女性が実寸大で堪能できる、というお得な1冊です。