《6/24読了 文藝春秋 2009年刊 【日本の小説】 むらた・きよこ(1945~)》
マサヨの娘(妊娠4ヶ月)がイタリア人の夫と帰国しました。
そしてマサヨの耳に届いたのは、娘の腹の中から響く悪魔の声。
「おれは向こうから旅してきた者だ」
彼は何百万年もの長い旅を語り始めます。
水の中にいた頃のこと、
陸に上がり初めて肺で呼吸したこと、
初めて重力を感じたこと、
四つ足で歩きながら、肉食の竜におびえたこと、
初めて「希望」というものを知ったこと…。
気が遠くなるほどの太古の景色を、この作家が確かに見てきているのも、
それを読んで懐かしさを感じてしまうのも、
不思議といえば不思議、当然といえば当然かもしれません。
それから9ヶ月間、腹に悪魔を住まわせこの世に送り込む、女性の体のおもしろさといったらないですね。
娘婿がイタリア人という仕掛けも効果的で、
話のスケールに合っているし、彼が日本人だったらこの作品は成立しないだろうと思います。
ときたま聞こえる犬猫のセリフもたまらなくよかったです。
「村田喜代子にハズレなし!」を家訓にしたいです。
マサヨの娘(妊娠4ヶ月)がイタリア人の夫と帰国しました。
そしてマサヨの耳に届いたのは、娘の腹の中から響く悪魔の声。
「おれは向こうから旅してきた者だ」
彼は何百万年もの長い旅を語り始めます。
水の中にいた頃のこと、
陸に上がり初めて肺で呼吸したこと、
初めて重力を感じたこと、
四つ足で歩きながら、肉食の竜におびえたこと、
初めて「希望」というものを知ったこと…。
気が遠くなるほどの太古の景色を、この作家が確かに見てきているのも、
それを読んで懐かしさを感じてしまうのも、
不思議といえば不思議、当然といえば当然かもしれません。
それから9ヶ月間、腹に悪魔を住まわせこの世に送り込む、女性の体のおもしろさといったらないですね。
娘婿がイタリア人という仕掛けも効果的で、
話のスケールに合っているし、彼が日本人だったらこの作品は成立しないだろうと思います。
ときたま聞こえる犬猫のセリフもたまらなくよかったです。
「村田喜代子にハズレなし!」を家訓にしたいです。