消費生活アドバイザーが食品表示をわかりにくく解説するブログ

消費生活アドバイザーが、食品表示を、妄想や推測、人から聞いた噂などを交えて、わかりにくく解説していきます。

景品表示法のさじ加減が難しい

2017-03-07 19:43:35 | 表示に関する話題
景品表示法がクローズアップされたのは、有名ホテルでのメニューの表示が問題になったのが原因だったかと記憶しています。
そのはるか前にも、某外食チェーン店で、成型肉を「ステーキ」として顧客に提供して問題になっていたと思うのですが。
あまり大きく報道されなかったせいか、同じ轍を踏んだ業者が沢山いたようです。
見せしめ良くない!という意見もなくもない現代ですが、見せしめにすることによって違法行為に気付く中小企業もいるかもしれませんので、見せしめ行為にも一種の効能があるのかなぁ、などと思います。
成型肉の他に、バナメイエビなのに芝エビと述べたり、ロブスターを使っているのにイセエビと書いたり、などなど、消費者もビックリの行為が行われていました。
とはいえ、まぁ、昔々は、供給できなくなったら代替品、というのは平然と行われていた行為で、例えば片栗粉、なんて、元々はカタクリという植物からとっていたでん粉でしたが、とれないくなって馬鈴薯でん粉に中身を変えたけど、用途は変わらないからずっと片栗粉という名前で売っていますね。
ただ、昔と違って、必需品で行われる代替行為ではなく、儲けの為に行われる代替行為が増えてきましたので、業界ではそれが通説だとしても、やっぱり駄目でしょう、ってことでしょう。

景品表示法の難しいところは、食品表示法のように「○○を表示しなさい」といった義務表示を定めたものではない、ということです。
義務表示や表示方法が定められているならば、その通りにしておけば良いのです。
しかし、景品表示法は、商品、陳列や宣伝全てを総合的に判断して消費者が誤認しないかどうか、という、事業者にとってはあやふやこの上ないものなのです。
かつ、「ちょっとでも良く言ったらだめ」という訳ではなく「パッフィングの範囲を超えて」という「常識的に考えろ」という常識とは何かという哲学的な問題をはらんでいます。

消費者にとってみれば
「事業者が沢山情報を持っていて、全部教えてくれるわけじゃないんだから、お前ら自分で判断しろ」
っていう話なんですが。
情報を持っているからといって、まともな判断ができるかどうかというと、それはまた別の問題なんですよね…。
自分のところの事業にばかり目をやってしまって、いかに周りの見えていない人達が広告文句を作っているか…という…。

かといって、偉そうに説明してくれる人が消費者感覚を持っているかというと、それもまたわからない部分がありまして…。
例えば、消費者庁が「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について(案)」に関する意見募集の開始についてというのを出していたんですけど。
私はこの中で「えっ…」と思ったのが下記のQ&Aです。
引用開始------
Q-19トビウオの卵を使用した料理なのですが、「レッドキャビア」と表示しても問題ありませんか。
A 表示の仕方によっては問題となります。
------引用ここまで
いやいや、ドビウオの卵にレッドキャビアは駄目でしょう、と私は思いました。
現に昔私の母親はキャビア風のトビウオの卵を騙されて買ってしまったことがあります。
表示の仕方によっては、と言わず、トビウオの卵にキャビアと書いたらアウトでしょ、と思ったら、案でなくなったものには「レッドキャビア」の記載は消えていました。
最初に考えた人は表示の仕方によっては問題ないと考えていた訳ですが、ご意見募集によって消えたということは、消費者感覚ではなかった、ということなのでしょう。

他にも、フレッシュオレンジジュースというと、しぼりたてを連想するけれど、安居酒屋で100円程度のオレンジジュースに「フレッシュオレンジジュース」と付けたからといって、絞りたてが出てくるとシチュエーションから消費者が誤認するとは考えにくい、といったご意見を伺ったこともありますが、「安くても良い物が出てきて然るべき」といった方もいらっしゃるので、どうだろう、と思った記憶があります。
ていうか、フレッシュなジュースが出せない場末の居酒屋ならそもそもメニューにフレッシュオレンジジュースと付けなければ良いだけだろうに…と思います。

現状としては、あからさまにダメだろうという偽装レベルのものが摘発されていくことでしょう。
○○産とかいているけれど、実際は××産だった、とか、ブランド肉使用と記載していたけれど、実際は使用していなかった、などなど。
ただ、そういった「明らかな偽装」ではない、誇大広告、については、なかなかさじ加減が難しい気がします。
受け手の消費者も多種多様ですし、全体的にみてこう判断しました、と言われたときに「その発想はなかった」と事業者側がなる可能性もあり。
まぁ、良いと誤認させた時点で、故意・過失を問わず事業者が悪となるので、消費者サイドの方はご安心なさってください。
そして、事業者サイドのかたは…頑張ってください!(丸投げ)

水素水とはなんだったのか

2017-03-07 00:14:29 | 直接表示じゃないけれど
今年の1月ごろだったでしょうか。
「水素水とはなんだったのか」という記事を見ました。
私が水素水が流行っている、という話を聞いたのが、ちょうど去年の1月ごろだったので、大体1年で過去のものにされてしまった水素水です。
しかし、最近近所の某大手GMS系スーパーで、プライベートブランドで水素水を販売していて驚愕しました。
今更…?
まぁ、プライベートブランドは、周りが流行り始めたものを取り入れようと、企画・開発し、なんやかんやして店頭に並ぶまで時間的にブランクがあるのかもしれませんが、あんまりだよね、と思いました。

さて、水素水とはなんだったのか。
メーカーにその効能を聞けば「水分が補給できます」という、なら水道水で良いじゃないか、という噴飯ものの返答が来ます。
消費者にとっては噴飯ものですが、メーカーにとってみれば、酷く当り前の返答です。
だって、消費者が勝手に効果効能を期待してくれることを期待して売ってる訳ですから。

水素水がどうなのか?
本当のところはわかりません。
私は科学者ではないですし、実際世に出ている水素水に対し「ただの水」という烙印を押したのは国民生活センターにヒアリングされた事業者たち自身です。
残念ながら、かれらはそれ以上に述べうる何かを持っていなかったのだろうと想像できます。
なぜなら彼らが売っていたものは「清涼飲料水」だから。
医薬品でもなんでもないですから、もちろん効果効能は謳えません。
トクホや機能性食品ならまだ、保健機能を謳えたかもしれませんが、そんなものでもありません。
誰が流行らせ始めたのかわかりませんが、誰も届出などをしなかったのを見るに、「このビジネスは長続きしない」と考えられたのか「論文を集めても届出するほどのエビデンスが集まらない」と判断されたのか。
理由ははっきりしませんが、保健機能や効果効能を言える後ろ盾がない彼らです。
他に期待できる何か、といえば、水素と水だけで構成されるその商品に対して「水分補給」以外言えることなどないでしょうね。
フレーバーでもついていれば、清涼感、とか、何か色々あったでしょうが、シンプルなのが逆に災いしていくスタイルです。

今でこそ、様々な健康食品が、トクホや機能性食品として大手を振って「体脂肪を云々」などと述べていますが。
昔はなんやかんや仄めかすことで消費者が勝手に推測してくれるのを待っていたのです。
一応、昔、仄めかしで売り上げていた頃も、きちんと論文などで発表された成分などを使っていた商品もあったでしょう。
本当に仄めかすだけでなんともない商品もあったでしょう。
玉石混合状態だった健康食品の世界。
闇を排除すべく、トクホ、機能性食品というメスを入れ、消費者が正しい判断を自分で行うように、と明朗化されたかに見えた食品業界。
そんな光溢れん状態の業界に、ある意味彗星のごとく現れた水素水。
突然の先祖がえりのような状況に私は相当困惑したのを覚えています。

結局のところ、どんなにエビデンスを集めようが届出しようが関係ないんですよね。
派手に一発ぶちかまして逃げる、そういった商法が、現代でもまだ有効、ということなんですよね。
まぁ、1年で駄目になった、というのはありますが、清涼飲料の商品サイクルがそんなに長くないことを考えると、初期から参入していた事業者はそれなりに儲かったのではないでしょうか。
とはいえ、粉やエキスと違い、気体ですから、水に溶かすにはそれなりに技術が必要だったかもしれません。
真面目に取り組んだ会社があったら、もしかしたらコスパが悪かったかもしれないですね。