世の中にはもの好きが多いようです。「変な看板」で検索するとYahooで48,000件、Googleで52,100件。しかし看板を「符丁」と見る視点は殆どなく、実例はゼロでした。みんな「うけ狙い」です。昔の「通り抜けできます」は「個人娼婦」の意味で「繕いものします」も要注意でした。何かの符丁か単なるアホか見切るのが元少年探偵団の好みです。港町はその宝庫です。神戸にもいい作品がありました。「別に予約は要りません」これはレストランの看板。予約不要なら何のための看板でしょうか。喫茶店の「チャイコフスキーを聴かせてピロシキを造ってます」も意味不明です。ステーキ屋のそれは「とても元気な源太でした」・・・源太と言うのはたぶん「生前」の牛の名前でしょう。更に怖いのは「・・・でした」と言う「過去形」。「食べてもいいけど源太(牛)の怨念がとり憑きますよ!」と客の勇気を試しているようです。しかし「問答無用」の看板は山の中にありました。
群馬県に「四万温泉」と言う鄙びた名湯があります。何といっても川魚と山菜の料理は見事で、更に渓流沿いの露天風呂は悦楽です。勿論、混浴です。某旅館の女将との縁で仲間とツーリングに行くことにしました。20年以上前です。但し途中が難所です。当時は中之条から先は真っ暗な一本道で、東京を出るのが遅いとこの辺りで8~9時を過ぎます。旅館には夜食のおにぎりしかない筈です。真っ暗な山道を走るには腹ごしらえは必須ですが、こうゆう時の人間の心理は同じです。食堂をより好みしているうちにもう食堂がないと言う不安です。やはり不安が的中して行けども行けども食堂がありません。そんな時です。突然、左手に大きな看板が出ます。「この先、食堂ありません!」これは問答無用の表現です。迷わずにバイクを停めます。
なぜか駐車場に他の車は一台もありません。店に入ると客どころか店の人もいません。「今晩わ!」大きな声で叫びます。なんの反応もありません。「もう終わったのか・・・」当然の見解です。しかし薄暗い店内の奥にストーブが燃えています。「ドッキリカメラか?」「いや、神隠しかも」なんて騒いでいる時でした。「いらっしゃい・・・」底冷えするような声が聞こえます。いつ現れたのかレジに目の細い太ったおやじがいます。呆然としながらも「店、やってるの?」「とんかつだけです」「・・・」店のどこにも「とんかつ」とは書いてありません。まあ、詮索は後です。「じゃあそれ!」と頼むとおやじは無言でレジに戻ります。
額を寄せ合いながら「他に誰がいるのか?」、と言うのは調理場から物音ひとつ聞こえてこないからです。その時、風に乗って悲鳴のようなものが聞こえてきました。「風が出てきたのかな・・・」変な想像をしないように話を逸らします。突然「とんかつ」を運んできたのは先ほどのおやじです。「・・・!」いつ調理場に「ワープ」したのでしょうか。みんな「とんかつ」を疑視しますが空腹には勝てません。一応ブタの味がします。おじさんは調理場に戻ります。とにかく食事を急いで速やかに店から離脱すべきです。一人まだ味噌汁を啜っているのを尻目に「お勘定!」と叫ぶ間もなく「はいっ!」とおじさんの声。振り向くといつの間にかレジにいます。レジと調理場を往復したら必ず我々の目に入る筈です。「双子かも知れない」そう思うことにして店を出ます。外は真っ暗です。到着後、旅館の人に聞いてもそんな店は知りません。まあ、帰りに確認すれば済むことです。しかし帰路にその店は発見できませんでした。地元の方でこの地域にまつわる「悲しいブタ伝説」のようなものがあれば教えて下さい。
群馬県に「四万温泉」と言う鄙びた名湯があります。何といっても川魚と山菜の料理は見事で、更に渓流沿いの露天風呂は悦楽です。勿論、混浴です。某旅館の女将との縁で仲間とツーリングに行くことにしました。20年以上前です。但し途中が難所です。当時は中之条から先は真っ暗な一本道で、東京を出るのが遅いとこの辺りで8~9時を過ぎます。旅館には夜食のおにぎりしかない筈です。真っ暗な山道を走るには腹ごしらえは必須ですが、こうゆう時の人間の心理は同じです。食堂をより好みしているうちにもう食堂がないと言う不安です。やはり不安が的中して行けども行けども食堂がありません。そんな時です。突然、左手に大きな看板が出ます。「この先、食堂ありません!」これは問答無用の表現です。迷わずにバイクを停めます。
なぜか駐車場に他の車は一台もありません。店に入ると客どころか店の人もいません。「今晩わ!」大きな声で叫びます。なんの反応もありません。「もう終わったのか・・・」当然の見解です。しかし薄暗い店内の奥にストーブが燃えています。「ドッキリカメラか?」「いや、神隠しかも」なんて騒いでいる時でした。「いらっしゃい・・・」底冷えするような声が聞こえます。いつ現れたのかレジに目の細い太ったおやじがいます。呆然としながらも「店、やってるの?」「とんかつだけです」「・・・」店のどこにも「とんかつ」とは書いてありません。まあ、詮索は後です。「じゃあそれ!」と頼むとおやじは無言でレジに戻ります。
額を寄せ合いながら「他に誰がいるのか?」、と言うのは調理場から物音ひとつ聞こえてこないからです。その時、風に乗って悲鳴のようなものが聞こえてきました。「風が出てきたのかな・・・」変な想像をしないように話を逸らします。突然「とんかつ」を運んできたのは先ほどのおやじです。「・・・!」いつ調理場に「ワープ」したのでしょうか。みんな「とんかつ」を疑視しますが空腹には勝てません。一応ブタの味がします。おじさんは調理場に戻ります。とにかく食事を急いで速やかに店から離脱すべきです。一人まだ味噌汁を啜っているのを尻目に「お勘定!」と叫ぶ間もなく「はいっ!」とおじさんの声。振り向くといつの間にかレジにいます。レジと調理場を往復したら必ず我々の目に入る筈です。「双子かも知れない」そう思うことにして店を出ます。外は真っ暗です。到着後、旅館の人に聞いてもそんな店は知りません。まあ、帰りに確認すれば済むことです。しかし帰路にその店は発見できませんでした。地元の方でこの地域にまつわる「悲しいブタ伝説」のようなものがあれば教えて下さい。