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「タイムバール」少年探偵団の時代

元少年探偵団、現ダメ社長が「記憶と夢」を語ります。

現地の掟

2008年05月26日 | Weblog
モンテカルロを駆け抜けるF1マシン・・・自家製のエスプレッソを片手に次々と切り替わる美しいモナコの街並みを見ていると、高いお金を払って「現地」の固定席にいる客よりもリッチな気分になります。こんな臨場感もデジタルハイビジョン映像とステレオ音声のおかげです。昔はF1に限らず海外からの中継映像は今に較べればザラザラでそれも時々途切れるのが普通で、金持ちは「現地」で、貧乏人は「テレビ」で、を痛感したものです。尤も大昔に較べればこれも贅沢な話で、丸いブラウン管に何やら人が動いているのを見て「力道山だ!」なんて興奮したのは50年前です。受信状態が悪いと画面は吹雪になりますが、リアルタイムで「何かが写っている」だけでガキ共は興奮したものです。

しかし人間の感覚には上限がないのか「よりリアルに、より面白く・・・」結果、デジタルハイビジョン映像は現地で観戦している「金持ち」とテレビを見ている「貧乏人」との格差を埋めるどころか逆転もアリです。いずれ「観戦メニュー」から自分が好きな場所を選んで美麗な映像を堪能できるようになるに違いなく、こうなると「旅行」の価値観も変わるでしょう。うっかり現地のテレビに写ったりすると「可哀想に!液晶テレビを買うお金がないのね・・・」なんて言われかねません。実は老少年探偵団も以前から「長旅」の落とし穴に気付いていました。

「半年かけて地中海の街々を旅する・・・」勤め人から見れば夢のような話ですが、今の日本人なら意思さえあればそれ程難しいことではありません。難しいと考えるのは社会通念と旅行屋に騙されているからです。高級ホテルやレストランなんて愚の骨頂で、「自由な時間」こそ最大の贅沢と考えれば俄然局面が違ってきます。車を活用してヒッチハイカーに飯をおごらせる、なんてのは序の口で、巡礼を装う、旅芸人になる、修行のフリをして稼ぎながら旅する・・・中には本職の乞食も呆れるような強者もいて、ヘタな旅行本より実体は遥かに多彩です。「いいなあ~」なんて憧れる人に水を差すようですが、何ヶ月も何年も「現地」にいると全てが日常化して風物に新鮮な感動を覚えなくなります。

ニューヨークに3年も居れば出会う日本人は大抵顔見知り、自由の女神もエンパイアビルも行ったことがない、それよりどうしたら今夜の客から沢山チップを稼ぐか・・・「異邦人」どころか完全に「生活者」です。むしろパリから流れてきた短期滞在の画家や写真家、作家なんて連中の方がハイカラに見えたものです。彼等は感動を表現として残す事が出来るからです。旅は鮮度が命です。我々凡人は「後から記憶として楽しむのさ」と割り切って感動が薄れないうちに切り上げるのが吉です。

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