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「タイムバール」少年探偵団の時代

元少年探偵団、現ダメ社長が「記憶と夢」を語ります。

偉大な苦し紛れ

2007年06月26日 | Weblog
インチキな「牛肉ミンチ」がバレて会社解散に追い込まれた社長が「客が安いものばかり求めるからだ・・・」と開き直っていました。こんな「下衆」を社長に持った従業員こそいい面の皮です。この事件が陰湿なのは「我々の口に入るもの」だからです。本当はもっと恐ろしいものを混入していた筈で、これでは某国と変わりません。そんな悪質な偽装に比べると、昔の観光業者の「偽装」は愉快です。この妖しい絵葉書は、フランスはマルセイユの80年以上前の風景です。少年探偵団を楽しませるために作られたとしか思えません(タイトルクリックで画像拡大)。

左側の「一人乗りヨット」に注目です。右側の建物に比べてヨットが異様に大きいのに気づきます。実際の絵葉書で確認するとこのヨットを操っているおじさんは「象」より巨大です。次はヨットのバウ(舳先)とスターン(船尾)の位置関係です。この風景の水平線はかなり上ですが、このヨットは「降下」しています。次は建物やヨットの海面への反射の不自然さ、ヨットから右の海面にご注目。反射が「切れて」います。しかもヨットの下と手前の背の高い建物の下の「反射」は白インクで描かれています。素人目にもあとからヨットを「追加」し、波を描き、写真を合成したのは明らかです。この絵葉書の偽装者がもしインタビューを受けたら苦し紛れにこう言うでしょう。「マルセイユにはヨットが浮かんでないと客が納得しないからだよ!」帆掛け舟は風呂屋の絵と同じで、当時の海の「必須アイテム」だったからです。海が「凪いで」いる時に写真を撮ってはいけません。

同じ「苦し紛れ」でも科学者のそれは偉大です。彼らは普通の人なら何とも思わない事象に「疑問」を持ちます。しかし満足な観測機器ない昔は科学者である前に、大いなる空想者でなければなりません。その最も妖しい科学者がH.オルバースです。1823年、彼はとてつもないことを考えました。「この宇宙が無限に大きいとしたら、星の数も無限にある筈。ならば宇宙全体から、地球に届く星の光で、夜でも空は昼のように明るいはずでだ・・・」もう少し科学的に言えば、星からの光は星までの距離の2乗に反比例して暗くなる・・・もし星が無限で一様に分布していれば距離が遠い星の数はそれを打ち消すように増えるので、夜空は一様に明るく輝かなければならない・・・しかし現実の夜が暗いのは「ミミズ」意外はみんな知っています。

少年探偵団が一番好きなこの「オルバースのパラドックス」の楽しさは「何故そんな疑問を持ったか」に尽きます。月を眺めて「何故落ちてこないか」なんて考えた日本人は聞いたことがありません。月は疑問の対象ではなく、風流の対象です。だから日本人の感性は素晴しい・・・と言いたいところですが、ひとつだけ負けています。遠ざかる音が急に小さくなるドップラー効果は昔から知られていましが、オルバースは光も似たようなものだと考えます。そして苦し紛れにこう言います。「宇宙の星々は遠ざかっているんだよ!だから暗く見える・・・」この「荒唐無稽な言い訳」にみんな笑いました。・・・E・ハッブルによって宇宙が本当に膨張していることが発見されたのは100年後の1929年でした。

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